民事訴訟の種類
民事訴訟の種類は大きく次のように分類することができます。
(1) 通常訴訟
個人の間の法的な紛争,主として財産権に関する紛争の解決を求める訴訟です。例えば,貸金の返還,不動産の明渡し,人身損害に対する損害賠償を求める訴えは,この類型に入ります。この類型の訴訟は「通常訴訟」と呼ばれ,民事訴訟法に従って審理が行われます。
(2) 手形小切手訴訟
民事訴訟法の特別の規定によって審理される手形・小切手金の支払を求める訴訟です。この類型の訴訟は,「手形小切手訴訟」と呼ばれます。この訴訟では,判決を早期に言い渡すことができるようにするため,証拠は書証と当事者尋問に限られます。もっとも,第一審の通常訴訟の手続による再審理を要求する機会は保障されています。手形・小切手金の支払を求める原告は,この類型の訴訟を提起するか,通常訴訟を提起するかを選択することができます。
(3) 少額訴訟
簡易迅速な手続により60万円以下の金銭の支払を求める訴訟です。この類型の訴訟は,「少額訴訟」と呼ばれます。この訴訟については,簡易裁判所の民事事件とその手続をご覧ください。
(4) その他
その他の類型としては,離婚や認知の訴えなどの家族関係についての紛争に関する訴訟である「人事訴訟」(詳しくは,「家事事件」の「人事訴訟手続」を御覧ください。)と,公権力の行使に当たる行政庁の行為の取消しを求める訴訟などの「行政訴訟」があります。