1995年歌手デビュー。文化女子大学(現・文化学園大学)短期大学部服装学科デザイン専攻卒。映画、ドラマ、舞台など歌手・俳優活動を経て、現在はイラストレーター、テキスタイルデザイナーなどさまざまな企業ブランドとコラボレーションするほか、衣装デザイナーとしても松任谷由実コンサートツアー、嵐ドームコンサートなどアーティストのステージ・ジャケット衣装を多数手がける。2020年、アートディレクター・池澤樹と共にクリエーティブスタジオ「STUDEO」を設立。
1300年ものあいだ貴重な宝物を守り継いできた正倉院。その世界観を新しいアプローチで楽しむことができる特別展「正倉院 THE SHOW -感じる。いま、ここにある奇跡-」にて、正倉院宝物をファッションへと昇華させた「LACQUERED EWER SHOSOIN DRESS」を発表させていただいています。初開幕の大阪会場では10万人以上の来場があり、おかげさまで大盛況でした。
今月から東京・上野の森美術館での巡回を迎え、コラボレーションアーティストとして開幕のセレモニーに参加しました。登壇で着用したモノトーン衣装は、今回制作協力としてご一緒した安部陽光さんのデザイン。衣装のプレゼンテーションでは、3Dソフトでいくつかのデザインと4分の1サイズのトルソーでシルエットや素材感をご提案いただいたのです。
着用した衣装は、ベルベット素材を用いてクラシックな装いを演出してくださいました。前回のアイデアのありか「正倉院の宝物をファッションに。漆胡瓶の文様をひもとく」では文様の美しさについても執筆しましたが、宝物に宿る印象的なモチーフを、今回一点もののアクセサリーにしてくださり、トータルコーディネートも。宝物を通じて感じた想像や発見がインスピレーションとなり、こうして自身でも身に纏(まと)えることは大きな喜びであり私にとって特別な体験でした。
東京の展示会場では、新しい形で私たちの中に生きていく本作品の想いをお持ち帰りいただきたいと、ポストカードセットを手に取っていただくことができます。このビジュアル制作ひとつにしても、フォトグラファーの撮影やレタッチ作業など多くの時間を費やし完成へとたどり着きました。
ビジュアル制作はかつてのコラム「自然の美しさを余すことなく。日本の革をきものに」でもご紹介した「THE LEATHER SCRAP KIMONO」を撮影いただいた井上佐由紀さん。そして、夫である池澤樹がクリエイティブディレクターを担いました。
「LACQUERED EWER SHOSOIN DRESS」の作品そしてビジュアルが完成に至るまでには、ひとつひとつの工程に丁寧な時間が注がれてきました。これまでの道のりは決して平坦(へいたん)ではありませんでしたが、皆のアイデアそして手仕事が集結し、互いへの情熱を理解し合い「いまを生きる奇跡」として形になったのです。
チーム全体がクリエイティビティの波に乗るようにして、作品は進化してゆく。その対話と共鳴のなかに身を置けることは、私にとってこの上ない喜びでした。関わってくださったチームの皆さまへ、心から感謝を届けたいです。
東京会場ではこれまでの制作動画も初公開されています。愛を込めた本作品を皆さんの心で感じていただけたらとても嬉(うれ)しいです。
「正倉院 THE SHOW-感じる。いま、ここにある奇跡-」
東京会場/上野の森美術館
2025年9月20日(土) 〜11月9日(日)
Photo by Sayuki Inoue
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