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生活も経験も「ミクスチャー系」。ファーストサマーウイカさんの自分らしい挑戦

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2025年04月24日

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早くに両親を亡くした兄と妹。兄の俊樹は親代わりとして妹のフミ子を守り続けてきた。そんな大切な妹の結婚が決まり、ようやく肩の荷が下ろせると思っていた矢先、幼かった日に封印したはずのフミ子の「秘密」がよみがえり——。

朱川湊人さんの直木賞受賞作「花まんま」を原作にした同名の映画は、大阪の下町を舞台に、兄と妹の家族愛を、ファンタジックな世界観で温かく描いている。

生活も経験も「ミクスチャー系」。ファーストサマーウイカさんの自分らしい挑戦
©2025「花まんま」製作委員会

監督から託されたオリジナルキャラクター

大阪らしい人情あふれる登場人物が顔をそろえる中、近所のお好み焼き屋の看板娘であり、俊樹の幼なじみでフミ子が姉のように慕う三好駒子を、ファーストサマーウイカさんが演じている。実はこの役、小説には登場しない映画オリジナルのキャラクターだ。衣装合わせで初めて会ったとき、目の前に現れたウイカさんに前田監督は開口一番、こう言ったという。

「駒子やん!」

そのときのことを思い出し、「うれしかったですね」とウイカさんは目を細める。

「私自身が生まれ育ってきた大阪の風景の中にいそうな『世話焼きのお姉ちゃん』な駒子は、親近感を持って感情移入できる存在だなと思いました。監督が見つけてくれた、私の中にすでにあった駒子の雰囲気に全身全霊で寄り添いながら、髪形やメイクから日常の所作まで、スタッフの皆さんと一緒に、魅力的で、生活感のあるキャラクターをふくらませていきました」

生活も経験も「ミクスチャー系」。ファーストサマーウイカさんの自分らしい挑戦

俊樹を演じる鈴木亮平さんが兵庫県出身ということもあり、カメラが回っていないところでも関西弁で雑談していたという。「旅行や音楽、学生時代の話などいろんなお話をさせていただきました。何気ない雑談を生まれ育った言語で共有することで幼いころからずっと一緒に育ってきたという空気感が作れていったように思います」

さらに、2人の距離がグッと縮まる出来事が。

「商店街で撮影していたとき、私の父がたまたま仕事で近くまで来ていて。亮平さんに『うちのオヤジ来てるんスよ』って言ったら、わざわざ父に挨拶(あいさつ)してくれたんです。『鈴木亮平です!』って。もう家族ぐるみ(笑)。幼なじみの関係に一気に飛び級できた気分でした」

フミ子(有村架純)の結婚が決まり、強がりながらも寂しそうな俊樹に寄り添い、ウダウダと悩んでいるときは叱り飛ばす。チャキチャキと気っ風がよく頼りになる駒子だが、俊樹への秘めたる恋心が見え隠れする。

「思ったことはなんでもはっきりと言う。それは駒子と私に共通していると思います。でも一方で、家族のような関係性を壊したくないからと俊樹への思いをグッとこらえている。それは決して遠慮とか自己犠牲とかではなく、相手を思いやることが駒子自身にとって幸せ......みたいな。そこは私とは違う。私は好きな人ができたらすぐ伝えます。関係が壊れたらまた再構築したらええやん、って」

豪快に笑い、こう続ける。

「『花まんま』はフミ子が抱える秘密の物語ですが、駒子の秘密というのも存在していると思うのです」

生活も経験も「ミクスチャー系」。ファーストサマーウイカさんの自分らしい挑戦

そんな映画の中の駒子にインスピレーションを得て、原作の著者である朱川さんは、駒子の青春時代を描いた短編「花のたましい」を新たに書き下ろした。

「きっと朱川さんも駒子がどういう人物でどんな秘密を抱えているのかを知りたくなったのかな、と。私も気になるので、そこを深掘りしていただき新しいストーリーが生まれたというのは、本当にうれしいですね」

ハミガキ粉も仕事も、ミクスチャー

ここ数年、役者としての活躍が目覚ましいウイカさん。ホラー映画『禁じられた遊び』では怨霊モンスターを、昨年のNHK大河ドラマ『光る君へ』では清少納言と、濃厚なキャラクターを見事に演じ切った。対して今回の駒子は、大阪の下町にいそうな、いわば「市井の人」。役の捉え方、演じる上で違いはあるのだろうか。

「あまり意識したことはなくて。どんな作品でもどんな人物でも、私は役の人生を生きる。現実もそうですよね、皆それぞれ自分が主人公の人生で。今作も主人公は俊樹とフミ子だけど、駒子の中では駒子が主人公。たとえ画面には一瞬しか出てこない人物でも、決して『その他大勢』ではなく、その人にはその人の人生があるから」

駒子という人物への向き合い方に、その思いが感じられる。

「確かに俊樹とフミ子を近くで支えてはいるんだけど、実際の駒子はそれだけじゃない。披露宴のシーンがあるのですが、感動して涙を流しながら、きっと『お父ちゃんが元気なうちに私も式を挙げたいな』とか『帰りのタクシーそろそろ呼んどかなアカンか?』とか(笑)、頭の隅っこであれこれ考えてるはず。そこも含めて駒子を演じられたら、と」

役者はもちろん、バラエティークイーンとしては瞬発力あるトークが人気のウイカさん。まさに二刀流だが、それぞれの仕事で使う「筋肉」に違いはあるのか?

「セリフがある、ないという違いはあるけれど、バラエティー番組でもドラマや映画でも、相手と掛け合いながらその場を作っていくチームプレーという点では同じかな。相手のセリフや動きに対してこう切り返す、といったお芝居での経験や学んだことが、バラエティーで生きたりする。逆もあります」

生活も経験も「ミクスチャー系」。ファーストサマーウイカさんの自分らしい挑戦

自らについて、こんなユニークな「分析」をする。

「ハミガキ粉は2種類混ぜるし、味噌(みそ)汁も何種類もの味噌と出汁(だし)を混ぜて作るし、ビュッフェでも並んでるドレッシングもあれこれ混ぜるし......。私、なんでも混ぜたくなるミクスチャー系女子なんです(笑)。バラエティーの私と役者の私、どちらか一方にしぼってしまった瞬間に自分らしさを失ってしまう気がする。どちらの経験も混ぜることで、私らしく挑戦できると思っています」

最後に、改めて映画『花まんま』の見どころを聞いた。

「物語の核となるのは『家族』です。人生はさまざまだけど、誰にも家族はいる。いとおしいのか、ちょっとこじれちゃってるのか、あるいははるか昔にお別れしてしまったのか......。形や思いは違っても、この作品を通して『もしかしたらあのとき、家族はこんなふうに思っていたのかも』と感じてもらえる瞬間があるのでは。そしてその瞬間が、救いや許しにつながることもある。そう思うのです」

ファンタジックでありながら、家族の普遍的な愛と大阪の人情に心温まる今作。ウイカさんは最後に、静かにこう言葉を結んだ。

「家族はもちろん、これまで出会った人たち、これから出会う人に対しても、温かく接したくなるはずです」

文・中津海麻子
写真・野呂美帆

PROFILE
ファーストサマーウイカ

1990年生まれ、大阪府出身。2013年にアイドルグループ「BiS」に新メンバーとして加入しメジャーデビュー。解散後ガールズユニット「BILLIE IDLE®」を経て、現在はバラエティー、ドラマ、ラジオなど多岐にわたって活動している。主なテレビドラマ出演作にNHK連続テレビ小説『おちょやん』、日本テレビ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』、NHK大河ドラマ『光る君へ』など。

『花まんま』

大阪の下町で暮らす二人きりの兄妹。兄・俊樹(鈴木亮平)は、死んだ父と交わした「どんなことがあっても妹を守る」という約束を胸に、兄として妹のフミ子(有村架純)を守り続けてきた。妹の結婚が決まり、親代わりの兄としてはやっと肩の荷が下りるはずだったのだが、遠い昔に2人で封印したはずの、フミ子の〈秘密〉が今になってよみがえり......。4月25日(金)全国公開。配給・東映。

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©2025「花まんま」製作委員会
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