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女性活躍を妨害する悪質なケースには断固とした対応を「少し前なら昇進できたはずなのに...」女性に機会を奪われたと嘆く"普通の男性"に必要な居場所と肩書

女性活躍推進によって、自分のポジションが脅かされていることに危機感をもつ男性が増えている。彼らの不安と不満を払拭し、組織にネガティブな影響が及ばないようにする手立てはないか――。

(注記)本稿は、木下明子『図解!ダイバーシティの教科書』(プレジデント社)を再編集したものです。

女性のグループ
写真=iStock.com/metamorworks
(注記)写真はイメージです

「女性活躍なんて大企業だけ」の大間違い

上場していない企業や中小企業では「女性活躍なんて外圧で数値目標を持たされて、経営的にも余裕ある大企業だけだから」、まだ平気でこんなことを言う男性がいます。これこそが女性活躍の意味を理解できておらず、勘違いしている人の発言そのものですし、現実はむしろ逆だと感じています。

3年ほど前、中小企業の経営者に向けて女性活躍の講演をしたことがありました。コロナ禍の行動制限が始まる前で、参加者はおおむね男性でしたが、皆さん本当に熱心でした。

「3歳児神話(3歳までは子供は母親が育てたほうがよいという説で、科学的根拠はないとされている)を信じている、子持ち女性のモチベーションを上げるにはどうしたらいいでしょうか」「フルリモートで雇っている方の中で、管理職になってほしい女性がいます。優秀ですが、家庭第一であまり気が進まない様子です。どう説得したらいいでしょうか?」といった質問もたくさん出て、私のほうがびっくりしたくらいです(ダイバーシティ関連のイベントでは、男性参加者からは、あまり質問が出ないことも多いのです)。参考書籍などを紹介すると、すぐメモを取ったり、その場でネット注文したりしていました。

中小企業の経営者のほうが女性に注目している

日本は、いまだに大企業志向の人が少なくありません。知名度が乏しい、好条件を提示できない中小企業は、どうしても大企業のように優秀な男性を採用しにくい傾向があります。となると、女性に注目がいくのです。特に今の40代以上で、ライフイベントによっていったん社会を離れた女性たちの中に、優秀な人材が隠れていることをわかっているのは、むしろ中小企業の経営者たちだと思います。誰であろうと、入社してくれる優秀な人をしっかり活用しないと会社存亡の危機ですから、男だ女だなどと言っていられないわけです。

今、女性活躍の先進企業であるリクルートやオリックスなどは、まさに、その典型例といえます。今でこそ2社とも大企業ですが、いわゆるベンチャーとしてスタートした頃は、今よりもっと大企業志向が強かったであろう優秀な男性の採用が難しかったことでしょう。当時、男性と比べて就職が不利だった女性に目を向け、男女雇用機会均等法前から、女性を積極的に戦力化してきたと聞いています。

同じく先進企業のりそな銀行は、経営危機で国有化されたときに、家計を担う男性たちが次々に転職してしまい、残った女性たちを戦力化せざるを得なかったところから女性活躍がスタートしています。むしろ今どき、景気がいい時代に入社した「ろくに働かない中高年」を正社員だというだけで会社に置いておき、それなりの給料を払う余裕があるのは、それこそ大企業か、中小であっても、それなりに体力がある会社限定だといえますね。

『『図解!ダイバーシティの教科書』』(プレジデント社)

国を挙げて日本が進めてきた女性活躍。その結果、働く女性は増え、ライフイベントとの両立制度の手厚さはすでに世界トップレベルなのに、管理職比率は一向に上向かず、むしろ世界の流れから取り残されるばかり。日本企業の女性活躍施策や、ダイバーシティ施策の何が一番悪いのか?そして本当のダイバーシティ経営とは何なのか? 当時としては珍しい完全共稼ぎ家庭に育ち、自らも管理職になってから出産、そしてその後も育児をしながら昇進を重ねた、日本で唯一の働く女性向けビジネス教養誌『プレジデント ウーマン』編集長が、長年の取材や調査、そして自らの経験から見た、日本のダイバーシティの現況と問題点について、図解しながらリアルに語ります。

掲載: PRESIDENT WOMAN Online

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