引導を渡す
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概要
[編集 ]引導を渡すというのは現代の日本社会においては、相手に教え諭すような態度で言ったり、相手と縁を切ったり、相手に死の宣告をするという行為のことを意味して用いられている。見込みの無い志願者に対して、諦めるように最終的な宣告をする場合などのことも引導を渡すと言う[1] 。
仏教においての引導とは人を悟りへと導くための真理や教えのことであり、亡くなった人が問題なく仏の世界へと進めるために故人に唱えられる法語でもある。仏教では亡くなった人が自身の死に気付かずにこの世に留まり続けて亡霊となることを防ぐために引導を渡すということが行われている[2] 。仏教においての引導を渡すという儀式は葬式において行われる事柄で、亡くなった人が無事にあの世に行けるように導く儀式。引導を渡す儀式というのは読経中か読経の前か後に行われている。この引導を渡すというのは個人の魂が現世から浄土に旅立つ瞬間でもあり、葬儀の中のクライマックスでもある。宗派によっては「喝」や「露」などと大きな声を出して行っているところがある。松明を燃やして行う宗派もあるが、現在は防火上の問題もあるため、棒状のものに赤い布などを付けて燃える火を模して代用している場合もある[3] 。
漢の時代の中国の王充の『論衡』に「薬を服して引導す」という文章がある。これは大気を体内に引き入れる道教の養成術である。『南史』の王僧弁伝には「群魚有りて水に躍り空に飛びて引導す」とあり、手引きや案内のことが意味されている[4] 。
脚注
[編集 ]- ^ 日本国語大辞典,デジタル大辞泉, 精選版. "引導を渡す(いんどうをわたす)とは? 意味や使い方". コトバンク. 2024年3月5日閲覧。
- ^ "「引導を渡す」の意味や使い方は?類対義語・他の仏教用語と合わせて学ぼう". Domani (2023年8月7日). 2024年3月5日閲覧。
- ^ "引導(いんどう)を渡すってなんでしょうか? | 小平市・国分寺地区の葬儀・家族葬なら【京典】" (2023年3月4日). 2024年3月5日閲覧。
- ^ "じつは身近な仏教用語|日蓮宗ポータルサイト". 日蓮宗ポータルサイト. 2024年3月5日閲覧。