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ベッシー・ヘッド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ベッシー・ヘッド
Bessie Head
誕生 1937年 7月6日
南アフリカの旗 南アフリカ連邦 ナタール州 ピーターマリッツバーグ
死没 1986年 4月17日
ボツワナの旗 ボツワナ
職業 小説家
代表作 『力の問題』、『宝を集める人』
デビュー作 『雨雲のわく時』
公式サイト Bessie Head Heritage
ウィキポータル 文学
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ベッシー・ヘッド(Bessie Head, 1937年 7月6日 - 1986年 4月17日)はボツワナ作家南アフリカ出身。

生涯

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白人の母、黒人の父のもとで生まれる。母はピーターマリッツバーグの精神病院に入院しているときにベッシーを産む。ベッシーは里親のもとで暮らすが、養父は彼女が6歳のときに亡くなり、同じ頃に実の母も亡くなる。養母の暮らしが苦しくなったため、ベッシーは13歳のときに孤児院に入る。このときはじめて実の両親について知り、大きなショックを受けた。

その後は教師やジャーナリストとして働くが、アパルトヘイトのためにカラードとして不自由な暮らしを送る。結婚が破綻したのち、子供とともに英国の保護領ベチュアナランド(のちのボツワナ)へ移住する。その際、南アフリカ政府からパスポートが発行されなかったため、出国許可証(exit visa)による移住となった。

ボツワナではセロウェに住み、はじめは教師として暮らす。『ニューステイツマン』に掲載された記事がもとで、ニューヨークの出版社に小説を依頼され、長篇小説『雨雲のわく時』を発表した。孤独と貧困のなかで創作活動を続け、アパルトヘイトの撤廃を見ることなく1986年に肝炎により48歳で死亡するが、死後も評価が高まり、作品集や書簡集などが出版されている。

作品

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ボツワナや南アフリカを舞台とした作品を発表した。長篇第1作 『雨雲のわく時』は、南アフリカからボツワナへ亡命し、当地の生活になじんでゆく人物の物語だった。次の長篇小説『マル』では、サン人の女性をめぐるツワナ人の差別と、部族を越えた結婚を描いた。自伝的小説『力の問題』はブッカー賞の候補になり、国際的に知られるきっかけとなった。その他に、ボツワナの村人の話をもとにした短篇集『宝を集める人』、セロウェを題材とした『セロウェ 雨風の村』、ボツワナのセビナ族の19世紀の歴史を題材とした『魅せられた十字路』などを発表した。

主な著書

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  • When Rain Clouds Gather (1968) 『雨雲のわく時』 - 小説
  • Maru (1971) 邦訳『マル 愛と友情の物語』 楠瀬佳子訳、學藝書林、1995年。 - 小説
  • A Question of Power (1974) 邦訳『力の問題』 中村輝子訳、學藝書林、1993年。 - 自伝的小説
  • Looking for a Rain God (1977) - 小説
  • The Collector of Treasures and Other Botswana Village Tales (1977) 邦訳『宝を集める人 ボツワナの村の物語』 酒井格訳、創樹社、1992年。 - 短篇集
    • 「深い川、大昔の部族移住の物語」
    • 「天国は閉じていない」
    • 「村の聖女」
    • 「ヤコブ、ある信仰治療師の話」
    • 「ライフ」
    • 「呪術」
    • 「雨神を待ちうけて」
    • 「クゴツラ」
    • 「風と少年」
    • 「婚礼風景スナップ」
    • 「特別な人」
    • 「宝を集める人」
    • 「狩猟」
  • Serowe: Village of the Rain Wind (1981) 『セロウェ 雨風の村』 - セロウェの歴史を題材としたノンフィクション
  • A Bewitched Crossroad (1984) 『魅せられた十字路』 - 小説
  • Tales of Tenderness and Power (1989) 邦訳『優しさと力の物語』 くぼたのぞみ訳、スリーエーネットワーク、1996年。 - 死後に編集されたアンソロジー
    • 「さあ、話をはじめましょうか......」
    • 「オレンジとレモン」
    • 「スノーボール」
    • 「冷や飯食い」
    • 「チブクビールと独立」
    • 「村の人びと」 - 「老女」「夏の太陽」「緑の木」「タオ」の連作
    • 「アメリカからきた女」
    • 「セコト首長が法廷を開く」
    • 「財産」
    • 「権力争い」
    • 「闇の時代」
    • 「恋人たち」
    • 「アクサン将軍」
    • 「土の息子」
    • 「眼鏡をかけた囚人」
    • 「幼子キリストの降誕」
    • 「夢を語って歩く人」
  • A Woman Alone: Autobiographical Writings (1990) - エッセイ集
  • A Gesture of Belonging (1991) - 書簡集
  • The Cardinals (1993) - 小説

参考文献

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  • 酒井格 『宝を集める人』解説
  • くぼたのぞみ 『優しさと力の物語』解説

外部リンク

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