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プロカルバジン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
プロカルバジン
IUPAC命名法による物質名
  • N-Isopropyl-4-[(2-methylhydrazino)methyl]benzamide
臨床データ
販売名 Matulane
Drugs.com monograph
MedlinePlus a682094
胎児危険度分類
  • AU: D
  • US: D
    法的規制
    • (Prescription only)
    薬物動態データ
    代謝 Hepatic, Renal
    半減期 10 minutes
    排泄 Renal
    データベースID
    CAS番号
    671-16-9  チェック
    ATCコード L01XB01 (WHO )
    PubChem CID: 4915
    DrugBank DB01168  チェック
    ChemSpider 4746  チェック
    UNII 35S93Y190K  チェック
    KEGG D08423 en:Template:keggcite
    ChEBI CHEBI:71417 en:Template:ebicite
    ChEMBL CHEMBL1321 en:Template:ebicite
    化学的データ
    化学式
    C 12H 19N 3O
    分子量 221.299 g/mol
    • O=C(c1ccc(cc1)CNNC)NC(C)C
    • InChI=1S/C12H19N3O/c1-9(2)15-12(16)11-6-4-10(5-7-11)8-14-13-3/h4-7,9,13-14H,8H2,1-3H3,(H,15,16) チェック
    • Key:CPTBDICYNRMXFX-UHFFFAOYSA-N チェック
    テンプレートを表示

    プロカルバジン(Procarbazine)はホジキンリンパ腫膠芽腫などの悪性腫瘍に対する化学療法に用いるアルキル化剤系の抗悪性腫瘍薬である。肝臓で代謝されて活性体となる。他にMAOを阻害するので、アドレナリン作動薬抗うつ薬チラミンの作用が増強される。

    WHO必須医薬品モデル・リストに収載されている[1]

    承認

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    アメリカ食品医薬品局(FDA)に承認されたのは1969年である。日本でも1967年から臨床試験が始まり、1973年に悪性リンパ腫の治療薬として承認された。2005年2月には神経膠腫に対する承認を取得した[2] :19

    適応

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    ホジキンリンパ腫 (HL) の治療に用いる場合には、BEACOPP (英語版)レジュメ(ブレオマイシンエトポシドドキソルビシンシクロホスファミドビンクリスチン〈商品名オンコビン〉、プレドニゾン、プロカルバジン)の一部として用いられることが多い。HLの治療に一次選択で用いられるMOPP療法 (英語版)にも含まれている(現在はABVD療法の方が主流)。

    一方、悪性星細胞腫乏突起膠腫成分を有する神経膠腫に用いる場合には、PCVレジュメ(プロカルバジン、ロムスチン (CCNU) 、ビンクリスチン)などで用いられる。この場合、日本では他の抗悪性腫瘍剤との併用のみが認められており、単剤では使用できない。

    投与量

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    通常成人では、プロカルバジンとして1日50から100mg(1から2カプセル)を1から2回に分割して経口投与を開始する。その後約1週間以内に漸増し、プロカルバジンとして1日150から300mg(3から5カプセル)を3回に分割投与し、臨床効果が明らかとなるまで連日投与する。

    腎機能および肝機能に応じて投与量を調整すべきとの意見がある。

    副作用

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    重大な副作用として添付文書に記載されているものは、痙攣発作と間質性肺炎である。その他10%以上に発現する副作用として、白血球減少、血小板減少、食欲不振、悪心、嘔吐、脱毛が挙げられている。

    エタノールに対してジスルフィラム様作用を持つ。肝臓のCYP450系酵素を阻害して、同酵素で代謝されるバルビツール酸系睡眠薬、フェノチアジン系抗精神病薬、麻薬などの作用を増強する。MAO阻害作用があるので、抗うつ薬や一部の偏頭痛治療薬と併用すべきではない。消化管でのMAO阻害作用はチラミンが豊富な食品(熟成したチーズなど)を食べた際に高血圧性クリーゼを惹起する可能性がある。

    プロカルバジンは稀に化学療法起因性末梢神経障害 (英語版)(CIPN)[3] の原因となる。CIPNは四肢末端、時に四肢全体に起こる進行性・長期性・しばしば非可逆性の、疼き、痺れ、激しい疼痛、寒さに対する過敏症を呈する[4]

    作用機序

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    作用機序の詳細は明らかになっていない。代謝によってアゾプロカルバジンと過酸化水素が生じ、DNAを損傷するのではないかと言われている[要出典 ]。インタビューフォームに拠ると、核酸(DNA、RNA)および蛋白合成阻害作用による殺細胞効果ではないかとされている[2] :8

    出典

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    1. ^ "WHO Model List of EssentialMedicines". World Health Organization (October 2013). 22 April 2014閲覧。
    2. ^ a b "塩酸プロカルバジンカプセル50mg「中外」インタビューフォーム" (2012年11月). 2015年1月24日閲覧。
    3. ^ Lisa M. DeAngelis and Jerome B. Posner (2003). "Nonmetastatic Complications". In Kufe DW, Pollock RE, Weichselbaum RR, et al.. Holland-Frei Cancer Medicine (6th ed.). Hamilton (ON): BC Decker. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK12946/  
    4. ^ en:Template:vcite journal

    外部リンク

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