ハナカイドウ
ハナカイドウ |
---|
ハナカイドウ
|
分類 |
種
:
ハナカイドウ M. halliana
|
学名 |
Malus halliana Koehne (1890)[1] |
和名 |
ハナカイドウ(花海棠) |
英名 |
Hall crabapple |
ハナカイドウ(花海棠[2] 、学名:Malus halliana)は、バラ科 リンゴ属の耐寒性落葉高木。中国原産。別名はカイドウ、スイシカイドウ、ナンキンカイドウなど。春に淡紅色の花を咲かせる花木として、各地で庭木などにして植栽される。
名称
[編集 ]和名 ハナカイドウの由来は、中国名の「海棠」をそのまま読んだもの。別名で、ナンキンカイドウ(南京海棠)[1] 、スイシカイドウ(垂絲海棠)[3] 、カイドウ(海棠)[3] ともよばれる。また、楊貴妃の故事から「睡れる花」ともいう。[4] 中国名は、垂絲海棠(すいしかいどう)[1] 。
近縁種はホンカイドウ(本海棠、Malus spectabilis)、ミカイドウ(実海棠、Malus micromalus)、ノカイドウ(野海棠、Malus spontanea)などがあり、これらもまとめてカイドウとよぶ場合もある[5] 。ホンカイドウ、ミカイドウ、ハナカイドウは中国原産で、日本に渡ってきたのは14世紀ごろの室町時代のことである[5] 。現在カイドウとして知られるのは、ハナカイドウという種類であるが、ときにミカイドウも見られる[5] 。
特徴
[編集 ]中国原産で[2] 、日本では北海道南西部、本州、四国、九州で植栽される[3] [6] 。
落葉 広葉樹で、低木から小高木 [3] [6] 。幹の下部から枝分かれするように乱れながら樹形を形成し[7] 、樹高は4 - 8メートル (m) になる。樹皮は暗灰色で皮目があり、ほぼ滑らかである[2] 。一年枝は明るい褐色でつやがあり、小枝には短枝がよく発達する[2] 。性質は強健で育てやすい。
花期は4月ごろで[2] 、短枝の先に淡紅色の花を4 - 6個垂れ下がって咲かせる[6] 。花の直径は3.5 - 5センチメートル、花弁は一重または半八重になり、花弁数は5 - 10枚つく[6] 。花柄がつき、長さ3 - 6 cmある。八重咲きの品種もある[5] 。
果実は直径2 cmで、暗赤色から黄色で秋(10月)に熟す[3] [2] 。花が咲いた後のリンゴに似た小さな赤い実は、食することができる。しかし、雄蕊が退化している花が多いため、めったに結実しない[2] 。
冬芽は5 - 7枚の芽鱗に包まれた鱗芽で、卵形や長卵形で赤褐色をしている[2] 。枝の先には頂芽をつけ、側芽が枝に沿って互生し、頂芽は側芽よりも大きい[2] 。短枝の先には花芽がつく[2] 。葉痕は半円形や三日月形で、維管束痕が3個つく[2] 。葉には托葉がある。[4]
花弁の色変わりをする品種もある。紅の蕾が開花するとピンクに変わり、徐々に色が薄くなり白い花弁に変わり、散り際に葉が生えてくる種類がある。
利用
[編集 ]春にサクラに似た花を咲かせるハナカイドウは、樹高1 mくらいの幼木でも、樹木全体に花をつけることから、狭い空間に植栽する花木として重宝される[7] 。芽吹きと共に咲く花は、優しげな風情が愛でられ、庭木あるいは生け垣に向いている[3] 。庭木としての人気は高いが、栽培地は日本の場合、関東地方以南にほぼ限られる[5] 。
栽培は日当たりの良い、土壌が適湿度をもつ砂壌土に植えられ、根は深く張る[3] 。植栽適期は2 - 3月か6月下旬 - 7月中旬[6] 、あるいは3月下旬 - 4月上旬か10月中旬 - 11月[3] と言われている。生長は速く、剪定は11 - 3月、6月中旬に行い、施肥は2月と5月の年2回行うこととされる[3] 。高温や乾燥には弱く、真夏は水やりが必要である[3] 。
材は緻密で堅いため、器具材などに用いられることがある[4] 。
多花性を利用して、近縁のリンゴの受粉樹として利用されることがある。小さな実のなるクラブアップルは、リンゴとカイドウなどの雑種である[8] 。
脚注
[編集 ]- ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). "Malus halliana Koehne ハナカイドウ(標準)". BG Plants 和名−学名インデックス(YList) . 2024年5月6日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 166
- ^ a b c d e f g h i j 正木覚 2012, p. 89.
- ^ a b c 新村出 編『広辞苑』(第六版)岩波書店、2008年1月11日、468頁。
- ^ a b c d e 辻井達一 2006, p. 81.
- ^ a b c d e 山﨑誠子 2019, p. 168.
- ^ a b 山﨑誠子 2019, p. 169.
- ^ 辻井達一 2006, p. 82.
参考文献
[編集 ]- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、166頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社〈中公新書〉、2006年2月25日、81 - 82頁。ISBN 4-12-101834-6。
- 正木覚『ナチュラルガーデン樹木図鑑』講談社、2012年4月26日、89頁。ISBN 978-4-06-217528-9。
- 山﨑誠子『植栽大図鑑[改訂版]』エクスナレッジ、2019年6月7日、168 - 169頁。ISBN 978-4-7678-2625-7。
関連項目
[編集 ]この項目は、植物に関連した書きかけの項目 です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:植物/Portal:植物)。