クスサン
表示
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クスサン |
---|
分類 |
種
:
クスサン S. japonica
|
学名 |
Saturnia japonica (Moore, 1872) |
和名 |
クスサン |
クスサン(樟蚕/楠蚕、Caligula japonica)はチョウ目・ヤママユガ科のガの一種。身近に生息する大型の蛾であり、幼虫、蛹に別名がある。
特徴
[編集 ]成虫は開張100mm以上、褐色の大きな翅をもつ。
幼虫はクリ、クヌギ、コナラ、サクラ、ウメ、イチョウ、クスノキなど様々な樹木の葉を食べる。年1回の発生。卵で越冬し、幼虫は4-7月に出現する。幼虫は体長80mmにも及ぶ青白色の大型のケムシで、白色の長毛を生やしているためにシラガタロウと呼ばれる[1] 。この長毛は寄生蜂に対する防御の役割があると考えられている。
繭は糸を寄り合わせた楕円形のものだが、壁面は網目状に穴が開いているので、スカシダワラ(透かし俵)と呼ばれる。 ナイロン製の釣り糸が普及する前は、ヤママユガの仲間の繭をほぐして天蚕糸とすることがあったが、クスサンの場合、繭を作る前の幼虫の頭を落として糸を出す絹糸腺という器官を取り出し、細く引き延ばして酢で固定するなどの手法で天蚕糸が作られていた[2] 。
7月前半頃に楕円形の固い網目の繭を作って蛹になり北海道では8月から、本州などでは9月から10月にかけて羽化する。 都市部で大発生して話題となることがあるが、寿命は1週間程度であるため僅かな期間で収束する[3] 。
天敵というほど目撃例は多いわけではないが、2023年にはアライグマがクスサンを捕食している姿が記録されている[4] 。
亜種
[編集 ]- クスサン屋久島以北亜種 S. j. japonica (Moore, 1872)
- クスサン奄美以南亜種 S. j. ryukyuensis (Inoue, 1984)
- クスサン台湾亜種 S. j. arisana (Shiraki, 1913)
近縁種
[編集 ]- ヒメヤママユ北海道亜種 S. jonasii fallax Jordan, 1911
- ヒメヤママユ本州以南亜種 S. jonasii jonasii (Butler, 1877)
ギャラリー
[編集 ]-
終齢幼虫
-
繭
-
幼虫大発生の様子
脚注
[編集 ]- ^ 刺さない毛虫3 クスサン/庭の刺す毛虫・刺さない毛虫 - 公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会
- ^ "クスサン三寸の虫には多数の智恵". 島根県 中山間地域研究センター (2015年6月23日). 2024年9月6日閲覧。
- ^ "大型ガ「クスサン」札幌で大発生から2週間 今どこへ<デジタル発>". 北海道新聞 (2023年8月9日). 2024年9月6日閲覧。
- ^ "巨大なガ「クスサン」大量発生に住民困惑 "救世主"はまさか". FNN (2023年). 2024年9月6日閲覧。
参考文献
[編集 ]- 福田晴夫ほか 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方 - 野山の宝石たち』 南方新社、2005年、ISBN 4-86124-057-3。
- 森上信夫・林将之 『昆虫の食草・食樹ハンドブック』 文一総合出版、2007年、ISBN 978-4-8299-0026-0。
関連項目
[編集 ]ウィキメディア・コモンズには、クスサン に関連するメディアがあります。
外部リンク
[編集 ]- Saturnia japonica クスサン(Digital Moths of Japan)