オクトパス・ガーデン
「オクトパス・ガーデン」 | |||||||
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ビートルズの楽曲 | |||||||
収録アルバム | 『アビイ・ロード 』 | ||||||
英語名 | Octopus's Garden | ||||||
リリース | 1969年9月26日 | ||||||
録音 |
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ジャンル | カントリーロック [1] | ||||||
時間 | 2分51秒 | ||||||
レーベル | アップル・レコード | ||||||
作詞者 | リチャード・スターキー | ||||||
作曲者 | リチャード・スターキー | ||||||
プロデュース | ジョージ・マーティン | ||||||
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「オクトパス・ガーデン」 (原題 : Octopus's Garden) は、ビートルズの楽曲である。1969年9月に発売された11作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『アビイ・ロード』に収録された。作詞作曲はリンゴ・スター [注釈 1] で、作曲面でジョージ・ハリスンも手伝っている。スターの作品としては「ドント・パス・ミー・バイ」に続く2曲目となり、ビートルズ時代にスターがリード・ボーカルを務めた最後の楽曲となった。
背景
[編集 ]「オクトパス・ガーデン」の歌詞の原案は、スターが1968年にサルデーニャ島で休暇を過ごしていた時にピーター・セラーズから聞いた話に由来している[2] 。スターはその日の昼食にフィッシュ・アンド・チップスを注文したが、魚の代わりにイカが出された。その時セラーズは、海の底を動き回りら光沢のある石やブリキやビンなどを探して、自分達が暮らす洞窟の前に飾るというタコの習性について話した[3] [2] 。
1969年1月より開始されたゲット・バック・セッションに向け、スターは本作と「テイキング・ア・トリップ・トゥ・キャロライナ」、「ピカソ」の3曲のスケッチを提出した[4] [2] 。同年1月26日にアップル・スタジオで行われたセッション時に、スターはハリスン、グリン・ジョンズ、ジョージ・マーティンの3人に既に完成していた曲の一部を聴かせた。曲を気に入ったハリスンは、アコースティック・ギターで伴奏しながら、様々な提案をした[2] 。このことについて、スターは「ヴァースとサビは問題ないけど、僕は絶対に曲を仕上げられなかった。ジョージが代わりに仕上げてくれたんだ。僕は3つのコードを弾くだけだった。それしか弾けなかったからね。ジョージが経過のコードを入れると、その数が10に増えて、僕は天才のような感じになった」と振り返っている[2] 。映画『レット・イット・ビー』にも、この時の模様が収録されており、この最中にスタジオに入ってきたジョン・レノンがドラムを演奏する場面も含まれている[5] 。
1969年9月の取材で、「子供にすごく受けるのでは?」という質問に対して、ハリスンは「何人かの大きな子供たちからも、この曲がアルバムで一番のお気に入りと聞いている。つまり、大抵の人達は『ああ、リンゴの曲か』となるんだけど、リンゴがこの曲をやったのは素晴らしいことだと僕は思ってる。すごくカントリー&ウエスタンっぽくって、ハッピーな曲だ」と答えており[6] 、「resting our head on the sea bed(海の底を枕代わりにして)」と「We would be warm below the storm(嵐が来たって暖かい)」というフレーズがお気に入りであると語っている[2] 。
レコーディング
[編集 ]「オクトパス・ガーデン」のレコーディングは、1969年4月26日にEMIレコーディング・スタジオのスタジオ2で開始された。8トラック・レコーダーのトラック1にポール・マッカートニーのベース、トラック2にスターのドラム、トラック3にハリスンのリードギター、トラック4にレノンの指弾きによるリズムギター、トラック8にスターのボーカルが録音された[2] 。レコーディング初日には歌詞が完成していたが、テイク23では「his little hideaway in a cave(洞窟の中の小さな隠れ家)」と韻を踏むために、「Octopus's garden in his grave(彼の墓の中のタコさんの庭)」と歌われている[2] 。同日は32回録音され、最終テイクとなるテイク32が、オーバー・ダビング用のマスターに採用された[2] [7] 。
4月29日にスターのリード・ボーカルがダブルトラックになり、マッカートニーのピアノを追加した後に4種類のステレオ・ミックスが作成された[2] 。
7月17日にテイク32に対して、コンプレッサーやリミッターの処理が施されたコーラスと、「イエロー・サブマリン」でも聴けるコップの水をストローで泡立てた音が加えられた[2] 。
最終段階で8トラック・レコーダーのトラック1にマッカートニーのベース、トラック2にスターのドラム、トラック3に効果音、トラック4にピアノの低音部とこれをなぞったギター、トラック5にタムタムとバッキング・ボーカル、トラック6に追加のバッキング・ボーカルとオーバー・ダビングされたリードギター、トラック7にピアノとリードギター、トラック8にリズムギターが収録された[2] 。
本作が完成した後に、試験的に7種類のモノラル・ミックスが作成されたが、いずれも未発表となっている。また、ステレオ・ミックスについても、現存しているのはマスターのみとなっている[2] 。
リリース・評価
[編集 ]「オクトパス・ガーデン」は、1969年9月26日に発売されたオリジナル・アルバム『アビイ・ロード』のA面5曲目に収録され、後にコンピレーション・アルバム『ザ・ビートルズ1967年〜1970年』、『リヴァプールより愛を込めて ザ・ビートルズ・ボックス』にも収録された。楽曲について、オールミュージックのトーマス・ワードは、「カントリー・スタイルで書かれた楽曲で、明白に馬鹿げでいるものの、これは意図的なもので、楽曲には気取らない魅力がある」「リンゴ・スターがこれまで書いた中で最高の曲」と評価している[8] 。
1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』には、1969年4月26日に録音されたテイク2が収録された[2] 。このテイクは、本作のセッションにおいて初めて完奏したテイクとなっている[2] 。
2006年に発売されたアルバム『LOVE』にリミックスされた音源が収録された。同作に収録のものは「グッド・ナイト」のストリングスをバックにしたスターのボーカルから始まり、バックでは「イエロー・サブマリン」の効果音が含まれている。「ラヴリー・リタ」のフィルインが入るとオリジナルのバッキング・トラックに移行する。曲の終盤には、「ヘルター・スケルター」のギターと「サン・キング」の冒頭が加えられている[9] 。
2019年に発売された『アビイ・ロード (スーパー・デラックス・エディション)』のCD2には、1969年4月26日に録音されたテイク9が収録された[2] 。
クレジット
[編集 ]※(注記)出典[2]
- リンゴ・スター - リード・ボーカル、ドラム、パーカッション、効果音
- ジョン・レノン - リズムギター
- ポール・マッカートニー - ベース、ピアノ、バッキング・ボーカル
- ジョージ・ハリスン - リードギター、バッキング・ボーカル
カバーやパロディ作品など
[編集 ]サミュエル・E・ライトは、アニメ映画『リトル・マーメイド』で自身が演じたセバスチャンとして本作をカバーしており、1991年に発売された『Party Gras!』に収録された[10] 。
オアシスのノエル・ギャラガーは、「ホワットエヴァー」をライブで演奏する際に、曲の最後に「オクトパス・ガーデン」のフレーズを歌うことがある[11] 。
コメディグループ・CollegeHumorは、2009年に本作のパロディ曲「Ringo Wants to Sing More」を発表している[12] 。
2013年10月24日にイギリスで本作を原作とした絵本『タコくんのおにわ』(Octopus's Garden)が発売され[13] 、日本でも2014年12月10日に発売された[14] 。絵はベン・コートが手がけた。絵本にはスターによる朗読や未発表のテイクを収録したCDが付属した[13] [14] 。
脚注
[編集 ]注釈
[編集 ]- ^ 本名のリチャード・スターキー名義。
出典
[編集 ]- ^ Halpin, Brooke (2017). Experiencing the Beatles: A Listener's Companion. Rowman & Littlefield. p. 104. https://books.google.co.jp/books?id=P5MtDwAAQBAJ&pg=PA104&dq=Octopus%27s+Garden+country&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwis36ePu9PsAhVF-WEKHWKpAgAQ6AEwAnoECAAQAg#v=onepage&q=Octopus's%20Garden%20country&f=false
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q Abbey Road 2019, p. 8.
- ^ The Beatles 2000, p. 312.
- ^ Everett 1999, p. 234.
- ^ Spizer 2003, p. 166.
- ^ Kahn 2020, p. 89.
- ^ Lewisohn 2004, p. 174.
- ^ Ward, Thomas. Octopus's Garden - The Beatles | Song Info - オールミュージック. 2020年9月8日閲覧。
- ^ Gundersen, Edna (2006年11月13日). "A likely lament: 'You can't do that to The Beatles". USA Today (Gannett). オリジナルの2012年10月25日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20121025005818/http://usatoday30.usatoday.com/life/music/news/2006-11-13-beatles-cover_x.htm 2018年11月1日閲覧。
- ^ Party Gras! - Sebastian | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月8日閲覧。
- ^ The Michigan Journal (University of Michigan-Dearbom) 26 (3): 11. (1996).
- ^ CollegeHumor (4 August 2009). Ringo Wants to Sing More (Music Video) . 2020年9月8日閲覧。
- ^ a b "リンゴ・スター、「オクトパス・ガーデン」が未発表ヴァージョンの曲入り絵本に". BARKS (ジャパンミュージックネットワーク). (2013年6月13日). https://www.barks.jp/news/?id=1000091247 2020年9月8日閲覧。
- ^ a b "なごむ! リンゴ・スターの絵本『タコくんのおにわ』12月に刊行". OTOTOY . オトトイ (2014年10月10日). 2020年9月8日閲覧。
参考文献
[編集 ]- The Beatles (2000). The Beatles Anthology . San Francisco, CA: Chronicle Books. ISBN 978-0-8118-2684-6
- Everett, Walter (1999). The Beatles as Musicians: Revolver Through the Anthology. Oxford University Press. ISBN 0-1951-2941-5
- ハウレット, ケヴィン (2019). アビイ・ロード (スーパー・デラックス・エディション) (ブックレット). アップル・レコード.
- Kahn, Ashley (2020). George Harrison on George Harrison: Interviews and Encounters. Chicago Review Press. ISBN 1-6416-0054-3
- Lewisohn, Mark (2004). The Complete Beatles Recording Sessions. London: Hamlyn. ISBN 0-681-03189-1
- Spizer, Bruce (2003). The Beatles on Apple Records. 498 Productions. ISBN 0-9662-6494-0
外部リンク
[編集 ]- Octopus's Garden - The Beatles