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てぃんさぐぬ花

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
みんなのうた
てんさぐの花
歌手 中村浩子杉並児童合唱団
作詞者 沖縄民謡
作曲者 沖縄民謡
編曲者 山本直純
映像 実写
初放送月 1966年 8月 - 9月
再放送月 2021年8月(ラジオのみ)
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てぃんさぐぬ花」(てぃんさぐぬはな)は、沖縄本島を中心に伝わる沖縄民謡の1曲である。表題は文献により「てぃんさぐの花」「てんさぐの花」「てんさごの花」と紹介される場合もある。

概要

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てんさぐの花の工工四

「てぃんさぐ」はホウセンカ(鳳仙花)のことで、沖縄県では古くからホウセンカの汁を爪に塗って染めるとマジムン(悪霊)除けの効果があると信じられていた[1] 。1番から10番まであり、親や年長者の教えに従うことの重要性を説く教訓歌となっている。

1972年(昭和47年)の沖縄返還以前、1966年(昭和41年)に「てんさぐの花」のタイトルでNHKみんなのうた』8-9月放送曲として山本直純編曲、中村浩子杉並児童合唱団の歌唱で放送された。同番組で沖縄民謡が放送されたのは初である。放送後、1970年(昭和45年)に刊行された西崎嘉太郎/日本青少年音楽教育センター監修『日本うたの地図』(しなの出版)ではこの時点で未制定だった都道府県民歌に代えて本曲が「てんさぐの花」の表題で「沖縄を代表する曲」として掲載されている[2]

2003年(平成15年)に開業した沖縄都市モノレール線(ゆいレール)では車内アナウンスで県庁前駅への到着を知らせるメロディに本曲が使用されている。また、2015年(平成27年)3月22日からはJR西日本 大阪環状線大正駅で、沖縄文化色の濃いまちのイメージにちなんで本曲が発車メロディに使用されている[3]

県民愛唱歌への指定

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沖縄は1972年5月15日アメリカ合衆国施政権下から日本へ返還され、日本の都道府県としての沖縄県が28年ぶりに再置された。同日には「沖縄県民の歌」が沖縄県章と合わせて制定されたが、県では2012年(平成24年)の復帰40周年を前に新しい県民愛唱歌「うちなぁかなさうた」の制定を検討していることが2011年(平成23年)の秋に報じられた[4] 。新規の愛唱歌を制作するか、伝統的に愛唱されて来た曲を指定するかの二通りの案が並行して議論された結果、県民を対象にしたアンケートで「てぃんさぐぬ花」が圧倒的な支持を集めたため新規の愛唱歌制作は見送られ、「てぃんさぐぬ花」を県民愛唱歌「うちなぁかなさうた」に指定することが2012年3月18日に発表された[5]

歌詞

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作詞・作曲者不明。歌詞には地域や採録された時期により様々なバリエーションがあるが、ここでは代表的なものを掲載する。

琉球語 日本語(訳)
一、
てぃんさぐぬ花や
爪先(ちみさち)()みてぃ
(うや)()(ぐとぅ)
(ちむ)に染みり

二、

(てぃん)()(ぶし)
()みば()まりしが
(うや)()(ぐとぅ)
()みやならぬ

三、

(ゆる)()らす(ふに)
()方星(ふぁぶし)目当(みあ)てぃ
()()ちぇる(うや)
()んどぅ目当(みあ)てぃ

四、

宝玉(たからだま)やてぃん
(みが)かにば(さび)
朝夕(あさゆ)肝磨(ちむみが)
浮世(うちゆ)(わた)

五、

(まくとぅ)する人や
後や何時(いち)(までぃ)
思事(うむくとぅ)(かな)てぃ
千代(ちゆ)(さかい)

六、

なしば何事(なんぐとぅ)
なゆる(くとぅ)やしが
なさぬ(ゆい)からどぅ
ならぬ定み

七、

()()らん(くとぅ)
一人(ちゅい)()れー()れー
(たげ)(うじな)てぃどぅ
年や寄ゆる

八、

あてぃん(ゆるく)ぶな
失てぃん泣くな
(ひとぅ)ぬよしあしや
(あとぅ)どぅ知ゆる

九、

(さか)てぃゆく中に
(ちち)しまななゆみ
ゆかるふどぅ(ぅんに)
あぶし枕

十、

朝夕(あさゆ)()(ぐとぅ)
他所(よそ)の上も見ちょてぃ
老いのい言葉(くとぅば)
余いとぅ(うむ)
一、
ホウセンカの花は
爪先に染めて
親の教訓は
心に染みなさい

二、

天上に群れる星は
数えれば数え切れても
親の教訓は
数え切れないものだ

三、

夜に走らせる船は
北極星を見つけ
私を生んだ親は
私をこそ見つける

四、

宝玉であっても
磨かなければ錆びる
朝夕と心を磨いて
浮世を渡ろう

五、

正直な人は
後々のいつまでも
希望は叶えられ
末永く栄える

六、

何事も為せば
成るものだが
為さぬせいだからこそ
成らないだろう

七、

行き届かないことは
互いに助け合って
互いに補い合ってこそ
歳をとる

八、

有っても喜ぶな
失っても嘆くな
人の善し悪しは
後々にこそわかる

九、

栄えていく時に
謙虚さを忘れてはならない
よく実るほど稲穂は(垂れて)
あぜ道を枕にするように

十、

老人の朝夕の言には
真摯に耳を傾けなさい
老い先短い者の与太話などと
侮るべきではない

歌唱

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他多数。

脚注

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  1. ^ "コラム「南風」 てぃんさぐの花". 琉球新報 (琉球新報社). (2013年5月13日). http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-206492-storytopic-64.html 2013年11月4日閲覧。 
  2. ^ 148 - 149ページ。
  3. ^ 『大阪環状線改造プロジェクト』進行中 大阪環状線発車メロディ全駅曲目決定!』(プレスリリース)JR西日本、2015年3月16日http://www.westjr.co.jp/press/article/2015/03/page_6940.html 2015年3月18日閲覧 
  4. ^ "復帰40周年に向け県民愛唱歌制定へ". 琉球朝日放送. (2011年10月27日). オリジナルの2013年11月5日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20131105091802/http://www.qab.co.jp/news_test/2011102731643.html 2013年11月4日閲覧。 
  5. ^ "「てぃんさぐぬ花」 県民愛唱歌に制定". 琉球新報 (琉球新報社). (2012年3月19日). オリジナルの2015年5月10日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150510082050/http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-188837-storytopic-6.html 2013年11月4日閲覧。 

外部リンク

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