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ローレンツ曲線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
典型的なローレンツ曲線
平成17年度国勢調査速報を元に作成したローレンツ曲線(都道府県別)

ローレンツ曲線(ローレンツきょくせん、: Lorenz curve)とは、ある分布を持つ事象について、確率変数が取り得る値を変数とし、確率変数の値が与えられた変数の値を超えない範囲における確率変数と対応する確率(あるいは確率変数と確率密度関数の積の積分)を、その分布に対する確率変数の期待値で割って規格化したものとして与えられる関数幾何学的な表現のことである。言い換えると、ある集団に含まれる下位集団に対する期待値を全体の期待値で割ったものをその下位集団ごとにプロットしたものとも言える。 あるいは、確率変数の値がある値を下回る集団の割合はそれらがとり得る確率変数の値の上限一対一に対応付けられるため、全体に対する下位集団の割合を変数とする関数としても表すことができる。

ローレンツ曲線は下位集団の割合を変数 F として、関数 L(F) によって定義される。集団全体の期待値を μ で表せば、連続的な分布に対するローレンツ曲線 L(F) は次のように定義される。

L ( F ) = 0 F x ( F ) d F μ {\displaystyle L(F)={\frac {\int _{0}^{F}x(F'),円dF'}{\mu }}} {\displaystyle L(F)={\frac {\int _{0}^{F}x(F'),円dF'}{\mu }}}

この定義から明らかなように、期待値 μ0 または ±∞ であるような分布に対しては、ローレンツ曲線を定めることができない。言い換えると、期待値が 0 でない有限の値をとるような集団に対してのみローレンツ曲線が定義される。

ローレンツ曲線は事象の集中度合いを評価するために用いられる。1905年にアメリカの経済学者マックス・O・ローレンツが発表した[1] 。富の集中を論じる際に用いられることが多い。

概要

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国家の所得格差の統計に当てはめて、ローレンツ曲線について説明する。国民一人一人を所得が小さい順に並べ、下から 10F 割に属する人の所得の合計値が、国民全員の所得の合計値の 10y 割であるとき、

y = L ( F ) {\displaystyle y=L(F)} {\displaystyle y=L(F)}

と表される関数 L(F)ローレンツ曲線という。

社会に所得格差が全く存在しなかった場合、ローレンツ曲線は45度線(均等分配線: line of perfect equality)と一致する。45度線とローレンツ曲線とで囲まれる部分の面積を 2 倍したものはジニ係数 を与える。所得格差が全く存在しない場合、ローレンツ曲線は45度線と一致するので、ジニ係数は 0 になる。一方で、たった一人に全ての富が集中している場合(=最も所得格差が激しい場合)、ローレンツ曲線は"┘"の形になるので、ジニ係数は 1 になる。以上からジニ係数は所得格差を計る尺度と見なせる。

どんな分布でも、ローレンツ曲線 L(F)確率密度関数 f(x) または累積分布関数 F(x) を用いて以下のように書くことができる。

L ( F ) = x ( F ) x f ( x ) d x x f ( x ) d x = 0 F x ( F ) d F 0 1 x ( F ) d F {\displaystyle L(F)={\frac {\int _{-\infty }^{x(F)}xf(x),円dx}{\int _{-\infty }^{\infty }xf(x),円dx}}={\frac {\int _{0}^{F}x(F'),円dF'}{\int _{0}^{1}x(F'),円dF'}}} {\displaystyle L(F)={\frac {\int _{-\infty }^{x(F)}xf(x),円dx}{\int _{-\infty }^{\infty }xf(x),円dx}}={\frac {\int _{0}^{F}x(F'),円dF'}{\int _{0}^{1}x(F'),円dF'}}}

ここで x(F)累積分布関数 F(x)逆関数である。逆関数の性質より、

d x ( F ) d F = 1 d F ( x ) d x | x = x ( F ) = 1 { d F ( x ( F ) ) d x } {\displaystyle {\frac {dx(F)}{dF}}={\frac {1}{\left.{\frac {dF(x)}{dx}}\right|_{x=x(F)}}}={\frac {1}{\left\{{\frac {dF(x(F))}{dx}}\right\}}}} {\displaystyle {\frac {dx(F)}{dF}}={\frac {1}{\left.{\frac {dF(x)}{dx}}\right|_{x=x(F)}}}={\frac {1}{\left\{{\frac {dF(x(F))}{dx}}\right\}}}}

を満たすので、積分

x ( F ) x f ( x ) d x {\displaystyle \int _{-\infty }^{x(F)}xf(x),円dx} {\displaystyle \int _{-\infty }^{x(F)}xf(x),円dx}

の積分変数を x から F' に変えたものは、累積分布関数の定義より F(−∞) = 0 となるから、次のように書き換えられる。

0 F x ( F ) f ( x ( F ) ) d x ( F ) d F d F = 0 F x ( F ) f ( x ( F ) ) 1 { d F ( x ( F ) ) d x } d F {\displaystyle \int _{0}^{F}x(F')f(x(F')),円{\frac {dx(F')}{dF'}}dF'=\int _{0}^{F}x(F')f(x(F')),円{\frac {1}{\left\{{\frac {dF(x(F'))}{dx}}\right\}}}dF'} {\displaystyle \int _{0}^{F}x(F')f(x(F')),円{\frac {dx(F')}{dF'}}dF'=\int _{0}^{F}x(F')f(x(F')),円{\frac {1}{\left\{{\frac {dF(x(F'))}{dx}}\right\}}}dF'}

また累積分布関数 F(x) は、対応する確率密度関数の積分 f(x) で置き換えられる。従って、その導関数 dF(x)/dx は確率密度関数 f(x) を与えるから、変数変換後の積分からは確率密度関数を消去することができ、上記の積分は以下のように書くことができる。

x ( F ) x f ( x ) d x = 0 F x ( F ) d F {\displaystyle \int _{-\infty }^{x(F)}xf(x),円dx=\int _{0}^{F}x(F')dF'} {\displaystyle \int _{-\infty }^{x(F)}xf(x),円dx=\int _{0}^{F}x(F')dF'}

出典

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参考文献

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関連項目

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理論
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関数形
実証
法則
仮説
実証概念
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概念
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その他
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