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麻耶雄嵩

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(2018年6月)
麻耶 雄嵩
(まや ゆたか)
誕生 (1969年05月29日) 1969年 5月29日(55歳)
三重県 上野市
職業 推理作家
国籍 日本の旗 日本
活動期間 1991年 -
ジャンル ミステリー
代表作貴族探偵
主な受賞歴 日本推理作家協会賞(2011年)
本格ミステリ大賞(2011年・2015年)
デビュー作翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件
ウィキポータル 文学
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麻耶 雄嵩(まや ゆたか、1969年 5月29日 - )は、日本小説家推理作家。本名、堀井良彦三重県 上野市(現・伊賀市)出身。「摩耶雄嵩」「麻耶雄高」などは誤り。

三重県立上野高等学校京都大学工学部卒業。在学中は推理小説研究会に所属、この時に短篇の執筆を始める。そこで知り合った綾辻行人法月綸太郎島田荘司の推薦をうけ、1991年翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビュー。

いわゆる「問題作」を一貫して書き続けており、長編・短篇を問わず寡作ではあるが、独特の世界観と手法的アプローチに強いこだわりを持った癖のある作風で、マニアックかつカルト的な支持を得ている。同業者やミステリ界隈からの評価に関わらず長い間無冠であったが、2011年に『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞・第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。2015年、『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞受賞。2017年、『貴族探偵』がフジテレビ系月9枠でドラマ化。2018年には「貴族探偵対怪盗マダム」連載がスタートした。

作風

根幹にあるのはエラリー・クイーンピーター・ディキンスンのような、ロジカルな謎解きと、事件トリックの構築性に厳格な本格ミステリである。しかし物理トリックは破天荒で、プロットには意図的な落差が存在するため、読後の印象は一般的なミステリとは異なる。

シリーズ キャラクターとしてはピカレスク的側面の強い探偵・メルカトル鮎と腐れ縁の売れない推理作家・美袋三条、力量はありつつも頼りない名探偵・木更津悠也と複数の意味で優秀なワトソン役の推理作家・香月実朝、更に便宜的な意味での探偵役には深甚な心的外傷を抱える現代モラトリアム 青年・如月烏有がいる。

プロットにおいては、人工的な意匠と関係性、非日常性を誇張した舞台 設定、様々な意味で攪乱をもたらす伏線、読者の解釈に委ねられたラディカル不確定性、そしてほぼ例外なく訪れるカタルシスと両立しないカタストロフを大きな特徴とする。

麻耶独自の特色としては、様々な予備知識を要する独特の仕掛けが挙げられる。登場人物の人名や台詞固有名詞小道具、あるいは本筋と関与しない点景などの細部に至るまで小ネタを多用しており、作品によってはそれが展開や解決の糸口にもなりうるガジェットの役割も果たす。そのネタの範囲はクラシック(作中の言及やタイトルの引用からバルトーク・ベーラヨハン・シュトラウス2世を好むと思われる)、刑事ドラマ(『隻眼の少女』に登場する刑事4名の下の名前は『特捜最前線』のレギュラー刑事から全て引用)、アニメ(代表的なものでは『機動武闘伝Gガンダム』から東方不敗マスター・アジアの台詞を引用、『美少女戦士セーラームーン』から怪人名やキャラ名を引用など)、漫画(代表として、『きんぎょ注意報』、『こどものおもちゃ』などの少女漫画から固有名詞を引用している他、『エースをねらえ!』から登場人物の関係性を敷衍させたり、闇雲A子の名は恐らく陸奥A子からの発想である等)、特撮(『兄弟拳バイクロッサー』『仮面ライダーBLACK』『鳥人戦隊ジェットマン』からキャラ名の引用、また『美少女仮面ポワトリン』『超人機メタルダー』『ウルトラマンA』など、実は一番ネタが膨大な分野)、野球(某作において作者いわく「阪神ファンには犯人がわかる」仕掛けが用いられた)、推理小説の先行作(某作では事件の根幹に関わる重要な役割を果たした)など多岐にわたる。

また『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』では全編小栗虫太郎(ことに『黒死館殺人事件』)へのオマージュと関連した名探偵の存在・謎解きの様式への問題提起を行い、『夏と冬の奏鳴曲』では探偵役が解決を明示しないという大胆な手法で本格ミステリの枠組みそのものを問い、『メルカトルと美袋のための殺人』や『名探偵 木更津悠也』では、それぞれ名探偵と事件/名探偵と助手の関係性について顛倒を試み、『貴族探偵』ではいわゆる安楽椅子探偵へのアンチテーゼを打ち出し、『神様ゲーム』ではジュヴナイルの枠組みを借りて探偵役に本来の役目を放棄させることでその存在意義を突き詰め、『隻眼の少女』では探偵の存在とロジックの関係をミステリの定石に則って懐疑的に描き、『メルカトルかく語りき』においては自身の作風を否定しかねないほどに過剰に論理性を突き詰めるなど、ミステリ小説の構造自体に対する独特の問題意識が強い。

ミステリ・ランキング

週刊文春ミステリーベスト10

  • 2010年 - 『隻眼の少女』4位、『貴族探偵』13位
  • 2011年 - 『メルカトルかく語りき』8位
  • 2014年 - 『さよなら神様』3位

このミステリーがすごい!

  • 1992年 - 『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』12位
  • 1994年 - 『夏と冬の奏鳴曲』17位
  • 1998年 - 『鴉』16位
  • 2001年 - 『木製の王子』12位
  • 2005年 - 『螢』11位
  • 2006年 - 『神様ゲーム』5位
  • 2011年 - 『隻眼の少女』4位、『貴族探偵』20位
  • 2012年 - 『メルカトルかく語りき』7位
  • 2014年 - 『貴族探偵対女探偵』13位
  • 2015年 - 『さよなら神様』2位

本格ミステリ・ベスト10

  • 1998年 - 『鴉』1位、『メルカトルと美袋のための殺人』5位
  • 2001年 - 『木製の王子』4位
  • 2005年 - 『螢』3位、『名探偵 木更津悠也』16位
  • 2006年 - 『神様ゲーム』5位
  • 2011年 - 『隻眼の少女』1位、『貴族探偵』6位
  • 2012年 - 『メルカトルかく語りき』2位
  • 2014年 - 『貴族探偵対女探偵』1位
  • 2015年 - 『さよなら神様』1位

本格ミステリこれがベストだ!

  • 2001年 - 『木製の王子』2位

ミステリが読みたい!

  • 2011年 - 『隻眼の少女』7位、『貴族探偵』13位
  • 2012年 - 『メルカトルかく語りき』2位
  • 2015年 - 『さよなら神様』2位

作品リスト

メルカトル鮎&木更津悠也シリーズ

メルカトル鮎シリーズ

  • 夏と冬の奏鳴曲(ソナタ) (1993年8月、講談社ノベルス / 1998年8月、講談社文庫)
  • メルカトルと美袋のための殺人 (1997年6月、講談社ノベルス / 2000年8月、講談社文庫 / 2011年8月、集英社文庫)(注記)短編集
    • 収録作品:「遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる」「化粧した男の冒険」「小人間居為不善」「水難」「ノスタルジア」「彷徨える美袋」「シベリア急行西へ」
  • (1997年9月、幻冬舎 / 1999年4月、幻冬舎ノベルス / 2000年10月、幻冬舎文庫)
  • メルカトルかく語りき (2011年5月、講談社ノベルス / 2014年5月 講談社文庫)(注記)短編集
    • 収録作品:「死人を起こす」「九州旅行」「収束」「答えのない絵本」「密室荘」

木更津悠也シリーズ

  • 木製の王子 (2000年8月、講談社ノベルス / 2003年8月、講談社文庫)
  • 名探偵 木更津悠也 (2004年5月、光文社 カッパ・ノベルス/ 2007年5月、光文社文庫)(注記)短編集
    • 収録作品:「白幽霊」「禁区」「交換殺人」「時間外返却」

神様シリーズ

  • 神様ゲーム (2005年7月、講談社ミステリーランド / 2012年5月、講談社ノベルス / 2015年7月、講談社文庫)
  • さよなら神様 (2014年8月 文藝春秋 / 2017年7月、文春文庫)
    • 収録作品:「少年探偵団と神様」「アリバイくずし」「ダムからの遠い道」「バレンタイン昔語り」「比土との対決」「さよなら、神様」

貴族探偵シリーズ

詳細は「貴族探偵シリーズ」を参照
  • 貴族探偵 (2010年5月、集英社 / 2013年10月 集英社文庫 / 2017年5月、集英社みらい文庫)(注記)短編集
    • 収録作品:「ウィーンの森の物語」「トリッチ・トラッチ・ポルカ」「こうもり」「加速度円舞曲」「春の声」 (注記)集英社みらい文庫版は「加速度円舞曲」「春の声」のみ収録
  • 貴族探偵対女探偵 (2013年10月、集英社 / 2016年9月、集英社文庫 / 2017年5月、集英社みらい文庫)(注記)短編集
    • 収録作品:「白きを見れば」「色に出でにけり」「むべ山風を」「幣もとりあへず」「なほあまりある」 (注記)集英社みらい文庫版は「白きを見れば」「色に出でにけり」「なほあまりある」のみ収録

化石少女シリーズ

  • 化石少女 (2014年11月、徳間書店 / 2017年11月、徳間文庫)(注記)短編集
    • 収録作品:「古生物部、推理する」「真実の壁」「移行突人」「自動車墓場」「幽霊クラブ」「赤と黒」「エピローグ」

その他の作品

  • あいにくの雨で (1996年5月、講談社ノベルス / 1999年5月、講談社文庫 / 2014年6月 集英社文庫)
  • まほろ市の殺人 秋―闇雲A子と憂鬱刑事 (2002年6月、 祥伝社文庫)、(2009年3月、祥伝社 ノン・ノベル / 2013年2月、祥伝社文庫 【春:倉知淳、夏:我孫子武丸、冬:有栖川有栖との合本版】)
  • 螢 (2004年8月、幻冬舎 / 2006年1月、幻冬舎ノベルス / 2007年10月、幻冬舎文庫)
  • 隻眼の少女 (2010年9月、文藝春秋 / 2013年3月、文春文庫)
  • あぶない叔父さん(2015年4月 新潮社 / 2018年2月、新潮文庫)
    • 収録作品:「失くした御守」「転校生と放火魔」「最後の海」「旧友」「あかずの扉」「藁をも掴む」
  • 友達以上探偵未満 (2018年3月、角川書店)
    • 収録作品:「伊賀の里殺人事件」「夢うつつ殺人事件」「夏の合宿殺人事件」

単著未収録

  • メルカトル鮎シリーズ
    • 名探偵の自筆調書 其の6(講談社『IN★POCKET』1997年8月号)
    • 愛護精神(講談社『メフィスト』1997年9月号)
    • 氷山の一角(角川書店『血文字パズル』2003年2月)
    • メルカトル鮎 悪人狩り 第一話 囁くもの(講談社『メフィスト 2011 Vol.3』2011年12月)
    • 水曜日と金曜日が嫌い-大鏡家殺人事件-(講談社ノベルス『7人の名探偵』2017年9月)
  • 木更津悠也シリーズ
    • ヘリオスの神像(東京創元社『ミステリーズ!』Vol.04 - 05)
    • 二つの凶器(産業経済新聞社夕刊フジ』2005年6月7日 - 7月1日)
    • おみくじと紙切れ(光文社『宝石 ザ ミステリー』2011年12月)
    • 弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人(光文社『小説宝石』2012年10月号、2013年1月号、2013年4月号、2013年9月号、2013年11月号、2014年2月号、2014年7月号、2014年10月号、2015年4月号、2015年7月号、2015年11月号、2016年2月号)(注記)完結
  • 貴族探偵シリーズ
    • 貴族探偵対女探偵対怪盗マダム(集英社『小説すばる』2017年5月号)
    • ホタルの叫び(たばこを嗜む大人のためのウェブサイト『ちょっと一服ひろば』にて2017年11月6日〜5回に分けて連載)
    • 貴族探偵対怪盗マダム(集英社『小説すばる』2018年5月号、2018年6月号)(注記)連載中
  • 単発作品
    • ホワイト・クリスマス(祥伝社『小説NON』1998年2月号)
    • バッド・テイスト(マガジンハウス『ウフ.』75号)

アンソロジー等採録作品

解説作品

  • 毒の神託(1998年3月 原書房)著者:ピーター ディキンスン
  • 妻に捧げる犯罪/盲目の鴉(2000年12月 創元推理文庫)著者:土屋隆夫
  • おとり捜査官5 味覚(2009年7月 朝日文庫)著者:山田正紀
  • 死のある風景(2002年9月 創元推理文庫)著者:鮎川哲也
  • 翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件(2012年3月 講談社ノベルス (注記)新装版)(注記)自作解説
  • 丸太町ルヴォワール(2012年9月 講談社文庫)著者:円居挽
  • キャットフード(2013年9月 講談社文庫)著者:森川智喜
  • 殺人者と恐喝者(2014年1月 創元推理文庫)著者:カーター・ディクスン
  • 私たちが星座を盗んだ理由(2014年4月 講談社文庫)著者:北山猛邦
  • 明智小五郎事件簿7「吸血鬼」(2016年11月 集英社文庫)著者:江戸川乱歩
  • しろまるしろまるしろまるしろまるしろまるしろまるしろまるしろまる殺人事件(2017年4月 講談社文庫)著者:早坂吝

対談

  • 相葉雅紀 「世界一エレガントな探偵へ」(『小説すばる』2017年5月号)
  • 高里椎奈 『友達以上探偵未満』刊行記念対談!(『カドブン』2018・4・24)
  • 米澤穂信 「超笑えるミステリー10選」(『女性自身』2018年5月8・15日合併号)

関連本

  • ウロボロスの基礎論(竹本健治・著/1995年10月、講談社/1997年9月、講談社ノベルス/2018年5月、講談社文庫*上下巻)
    • 作中人物として実名で登場。単行本版帯に推薦文を寄せている(文庫版の巻末にも掲載)
  • 人狼作家(2015年10月、徳間書店)
    • 青崎有吾・我孫子武丸・天祢涼・乾くるみ・北山猛邦・千澤のり子・深水黎一郎・汀こるもの・遊井かなめと人狼ゲームに参戦。

ゲーム

  • ×ばつLOGIC
    • Season1・事件ファイルNo.3「雪降る女子寮にて」
    • Season2・事件ファイルNo.7「ライフリングマーダー」

TVドラマ

日本国外での刊行

中国大陸

  • (2011年5月、新星出版社) - 鴉
  • 夏与冬的奏鸣曲 (2012年6月、新星出版社) - 夏と冬の奏鳴曲
  • (2012年9月、新星出版社)- 螢
  • 贵族侦探 (2013年6月、新星出版社)- 貴族探偵
  • 独眼少女 (2014年8月、新星出版社) - 隻眼の少女
  • 有翼之暗 (2014年8月、新星出版社) - 翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件

台湾

関連項目

  • 風祭壮太 ー「化粧した男の冒険」の漫画化で作画を担当。
  • ひうらさとるー「貴族探偵」(マーガレットコミックス)の漫画化で作画を担当。
  • 葉月めぐみー「貴族探偵」(『りぼん』2017年7月号)の漫画化で作画を担当。

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