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グリーンピース (NGO)

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グリーンピース(Greenpeace)は、国際的な環境 保護 団体(NGO)。オランダアムステルダムに本部を置く。環境保全自然保護の分野において、世界的に有名な団体である。

その一方で、米国のFBIからは国内テロリズムの団体として監視されている団体であることがACLUが情報公開法に基づいて入手したFBI資料で明らかとされている[1] 。日本国内でも、捕鯨問題を告発する過程で、グリーンピースが組織的に運送会社の倉庫から宅配物を窃盗したとして幹部二名が逮捕される事件があり、彼らの組織的な非合法活動について懸念が示されている[2] 。なおこの事件の捜査や逮捕には青森県警に加えて警視庁公安部が関わったことから国内でも公安当局の監視対象にあるとみられる。

(注記)本文中の原語表記部のリンクは英語版へのリンク。

歴史

1971年 アメリカ合衆国の核実験に反対する

アメリカ合衆国アリューシャン列島アムチトカ島で行おうとしている地下 核実験反対するために、1969年カナダバンクーバーに「波を立てるな委員会(Don't Make a Wave Committee)」という組織が誕生した。この組織は、のちに「名前がわかりにくい」という内部批判から、「環境」を意味する「グリーン(green)」と「平和」を意味する「ピース(peace)」をくっつけた「グリーンピース(Greenpeace)」という造語をつくり、改名した。

グリーンピースは、1971年、核実験を阻止することを目指し、アムチトカ島沖合いの公海にを居座らせて監視をするという方法で圧力をかけるために、底引き網漁船「フィリス・コーマック(Phyllis Cormack)」をチャーターして船出した。これがグリーンピースの最初の直接行動である。なお、「フィリス・コーマック」が「グリーンピース1号」、その航海への反響で新たに雇って追加派遣した元王室カナダ海軍退役 掃海艇をチャーターした「エッジウォーターフォーチュン(Edgewater Fortune)」が「グリーンピース2号」と呼ばれている。

この航海は、アムチトカ沖の目標地点まで行き着くことはできなかったものの、あまりの反対の強さ・反響の大きさに、アメリカ合衆国は、結局その後のアムチトカでの核実験を断念、同地は自然保護区(バードサンクチュアリ)と宣言された。

この航海を通じて、「目撃者となること」「目撃したことを広く伝えること」などのその後の路線がある程度確立された。また、翌1972年5月4日には、グリーンピース財団(Greenpeace Foundation)に組織を変更した。

注釈
この航海に関して、ボブ・ハンター(Bob Hunter/ロバート・ハンター Robert Hunter)著『虹の戦士たち〜グリーンピース反核航海記』(原題は「Warriors of the Rainbow: A Chronicle of the Greenpeace Movement」)という本が社会思想社より出版されていたが、同社の解散により、現在(=2005年)は入手できない。
また、しばしば日本国内では「欧米の手先」として批判を浴びる[要出典 ]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。グリーンピースだが、設立当初より「反米」的な性格も帯びていたことに注意。

なお、この航海の際にメンバーのひとりがネイティヴ・アメリカンの伝承本を持参していた。その中に記載されていた「炎の目(Eyes of Fire)」という老婆が語った物語に、「虹の戦士(Rainbow Warrior)」という登場人物がいた。これは、世界が滅亡の危機に瀕したときに立ち上がる伝説の勇者の称号であるとされる。そこから「虹の戦士」はグリーンピースの活動家の自称となり、またグリーンピースを象徴するキャンペーン船の名称ともなった。この当時のグリーンピースのメンバーの多くはサブカルチャーにも理解を示す(あるいはサブカルチャーにどっぷりつかった)人々であり、決して欧米の考え方を無批判に是認し欧米流の生き方をしてきたわけではない。

注釈
創立メンバーの経歴や個々の思想については、前述「Warriors of the Rainbow: A Chronicle of the Greenpeace Movement」のほか、同一作者によって翌年に書かれた「The Greenpeace Chronicle」に詳しい。

1972年 フランスの核実験に反対する

1972年には、フランス南太平洋ムルロア環礁で行おうとしていた核実験に反対する航海を企画した。

この航海は、この時からグリーンピースに参加し、のちに代表となるデビット・マクタガート(David McTaggart)が指揮を執り、1973年にマクタガート自身の38フィート・2本マストの小さなヨット「ヴェガ S.V.Vega」を「グリーンピース3号」として核実験エリアの風下につけることで核実験を阻止しようとした。「グリーンピース3号」がそこにいる限り核実験が行えないため、フランス軍軍艦を派遣して拿捕し排除した。しかしこのキャンペーンはイギリスなどでの大きな動きにつながり、グリーンピースの旗をエッフェル塔ノートルダム大聖堂に掲げるなどの行動が行われた。グリーンピースの行動方針のひとつである「非暴力直接行動(主義)」は、この時にはじまっている。

さらに翌1974年にもムルロア沖に船を出しての同様の抗議行動を行った。この時には、マクタガートらが拿捕しにきたフランス軍の兵士から過酷な暴行を受け重傷を負ったが、その暴行の写真の撮影と秘匿に成功し、直後にキャンペーンを行った。南太平洋における核実験反対運動は、のちにフランス国家によるグリーンピースに対するテロを引き起こすほどの衝撃を与えた。

なお、この行動の際に、フランス軍は、マクタガートらが乗船する「グリーンピース3号」を襲うために高速ゴムボート(ゾディアック Zodiac)を使った。その機動性に感動したことから、グリーンピースもゾディアックを導入し、海上での抗議行動に使うようになったと言い伝えられている。ゾディアックを使っての海上での抗議行動は、その後のグリーンピースの象徴ともなり、日本国内でも1997年に高レベル核廃棄物輸送船「パシフィック・ピンテール」の迎撃行動の際に青森県六ヶ所村の東方海上で展開された。

注釈
捕鯨問題などに関してはフランスと共同歩調を取ることが多いが、この頃から今に至るまで途切れることなく、こと原子力問題では、フランス政府と激越に対立している。

捕鯨問題と環境問題への接近

同じ頃、ニュージーランド出身で、後に国際的な学者となるポール・スポング (Paul Spong)が、バンクーバーのグリーンピースに接近し、クジラをめぐる問題について注意喚起を行った。このスポングの接近は、グリーンピースが捕鯨問題に進出するきっかけとなった。

またこのことは、グリーンピースが「もっぱら反核を主張する組織」から「広くさまざまな自然 保護問題について行動する組織」へと脱皮することにもつながった。1971年から参加していたポール・ワトソン Paul Watson らが主力となり、1975年から捕鯨 の目の前に高速ゴムボート(ゾディアック)を繰り出して捕鯨に反対するというキャンペーンが開始された。なお、ポール・ワトソンは、1977年に「グリーンピースは軟弱に過ぎる」として袂を分かち、環境 過激派の筆頭格とされる組織・シーシェパード Sea Shepherd を設立する。ポール・ワトソンが一時期グリーンピースに所属していたことから、シーシェパードの行動のいくつかが日本国内ではグリーンピースの行動と混同されている。

注釈
1972年ストックホルムで行われた国連人間環境会議が反捕鯨の潮流の原点であるとした上で、その背後にグリーンピースがいたとする説があるが、1972年の時点でまだグリーンピースは反捕鯨を主張していなかった。ストックホルム会議での鯨類保護決議はグリーンピースとは無関係である。

さらにその後、毛皮を目的とするアザラシの乱獲問題などにも手を広げた。1977年には、世界中に15ないし20程度の支部(グループ)が誕生しており、国際的な環境保護団体となっていった。

1979年 グリーンピース・インターナショナルの設立

1979年10月14日に、それらの各国のグループを統合するかたちで、グリーンピース・インターナショナルが設立された。本部はオランダアムステルダムに置かれた。なお、同年11月のグリーンピース・インターナショナルの会議に参加したのは、カナダアメリカフランスドイツデンマークイギリスオーストラリアニュージーランドオランダの9カ国のグループの代表だったとされる。

1985年、フランス軍によるテロ攻撃

1985年7月10日、グリーンピースの帆走キャンペーン船「虹の戦士 S.V.Rainbow Warrior」は、ムルロア環礁におけるフランスの核実験に抗議・反対する航海のためにニュージーランドオークランド港で出港準備をしていたが、この船が同日夜、爆破・撃沈された。この際、ボランティアとして乗船していたポルトガルフォトグラファーフェルナンド・ペレイラ Fernando Pereira が死亡した。爆破が衝撃的だっただけではなく、このとき「虹の戦士」は、小さなヨットなどから構成される抗議船団のための物資供給などを担当する母船として位置づけられていたために、核実験に反対する側の陣容にも大きな悪影響を与えた。

この爆破事件は、ニュージーランド警察当局の捜査によってフランス情報機関(対外治安総局 DGSE)によるテロであることが突き止められ、ニュージーランドから逃げ遅れたフランス軍士官のテロ作戦指揮官2名が逮捕された。実行犯4名はヨットによって逃亡し、その後の消息は不明である。他にも逃亡に成功したフランス軍人はいるものと考えられている。フランスの国家による犯罪であったため、旅券などはすべて偽造のものであった。逮捕された指揮官2名は偽造のスイス国籍の旅券を所持していた。この事件は、派生的にニュージーランドとフランスの国際問題にも発展した。

注釈
この事件に関しては、サンデータイムズ・インサイトチーム著『虹の戦士号爆破事件:フランス情報機関の謀略』(原題は「Rainbow Warrior: the French attempt to sink Greenpeace」)という本が社会思想社より出版されていたが、同社の解散により、現在(=2005年)は入手できない。
この事件はさまざまな小説・映画などで扱われている。たとえば佐々木譲の「ネプチューンの迷宮」はこの事件を基とした爆破事件から話が始まっており、景山民夫の「遠い海から来たCOO」にも同様の逸話がある(なお、小説「遠い海から来たCOO」には「グリーンピース」という名の国際自然保護団体が登場するが、それは武器を携帯するような戦闘的な組織であり、実在するグリーンピースとは大きく食い違っている。そのためグリーンピースは「誤解を招く」として抗議しており、映画では別名に差し替えらている)。また、2005年に公開された映画「スパイ・バウンド」は、この爆破事件の指揮官としてオークランドに滞在していて逮捕されたフランス軍のドミニク・プリウール Dominique Prieur 大尉の手記が原作となっている。

1995年、フランス核実験への抗議行動

虹の戦士号爆破事件から10年後の1995年、フランスは再びムルロア環礁での核実験を計画した。この際には、グリーンピースは大規模な抗議行動を行った。撃沈された船の名を受け継いだ「虹の戦士2 S.V.Rainbow Warrior II」のほか、旗艦「グリーンピース M.V.Greenpeace」、最初のムルロア核実験反対行動から参加している「ヴェガ S.V.Vega」、チャーター船の「マニティア」、ゾディアック十数隻、グリーンピース号搭載のヘリコプターなどがムルロア環礁に集結して激しい抗議行動を繰り広げ、また呼びかけに応え各国から駆けつけた百隻を越える「平和船団」がムルロア環礁を取り囲んだ。

この抗議行動を受け、フランス政府はムルロア環礁での核実験を中止しなかったが、それ以後の核実験を行わないことを確約した。

現在のグリーンピース

活動分野

エッソに抗議活動をするグリーンピース /エクソンモービル.

グリーンピースが展開する個々の活動については幅が広く、簡単にまとめることはできない。主たる分野を列挙すると以下のようになる。

海洋生態系問題
日本で有名なのは捕鯨問題だが、基本的には海洋生態系全体をまとめて扱っている。過剰漁獲や漁業手段の問題、海洋汚染の問題、オゾン層破壊による生態系ピラミッドの崩壊の問題などに分かれており、捕鯨問題は漁業問題のひとつという位置づけである。2005年からは日本の沖縄におけるジュゴン保護にも参加。
オゾン層破壊
特定フロンをはじめとするオゾン層破壊物質の抑制。フロンを使わない炭化水素冷媒による冷蔵庫「グリーンフリーズ」の開発・普及。炭化水素冷媒のグリーンフリーズ型冷蔵庫は、グリーンピースの開発委託を受けたドイツのDKK社(その後フォロン社に名称変更)が、1992年に世界に先駆けて発表。1993年中にはドイツの他企業も追従し、また同時に断熱材に使われていたフロンも炭化水素などに置き換えられた。他国の大手家電企業へのグリーンフリーズ型冷蔵庫の生産要請なども行ってきた。
森林問題
森林伐採による生態系破壊の問題。紙の原料となるパルプ材としての森林管理問題やマホガニーなどの希少樹種の貿易問題など。
原子力問題
核兵器への反対運動は継続している。1993年には、ロシア海軍による核廃棄物日本海への海洋投棄を摘発し日本に衝撃を与えた。また、原子力発電をはじめとするいわゆる「平和利用」に関する反対運動も展開(高速増殖炉や核燃料再処理、それに伴う放射能汚染問題・プルトニウム管理問題など)。1995年1997年には、フランスから日本まで航路や輸送スケジュールが発表されていなかった核物質輸送船を追跡するプロジェクトを展開(前者はチャーター船の「スミット・ニューヨーク」、後者はキャンペーン船「ソロ M.V.Solo」が追跡船)。
化学物質汚染問題
塩素系化合物などを含む化学物質汚染問題や、その一部の原因となっているごみ処理・ごみ焼却処理の問題。日本では、ほかに瀬戸内海豊島におけるシュレッダーダストの投棄問題などにもかかわっている。
エネルギー問題
太陽発電をはじめとする再生可能エネルギーの普及。
気候変動問題
いわゆる「地球温暖化」。二酸化炭素をはじめとする温暖化ガスの排出抑制を目指している。エネルギー問題とも密接に関係するほか、特定フロンのかわりに導入された、オゾン層破壊係数が低いかわりに強い温室効果をもたらす代替フロンの使用抑制についても活動している。
遺伝子組み換え作物への反対アピール
遺伝子組み換えトウモロコシの賛成派の政治家事務所前にトウモロコシをばら撒くという抗議行動を行っている。
共謀罪創設に対する反対アピール
主に日本国内での活動。2006年、日本政府の共謀罪関連法案(組織犯罪処罰法の改正案)の審議に対する反対運動や抗議の呼びかけ。

組織概要

グリーンピースが活動拠点を設置している国・地域 (図中の緑)

本部はオランダアムステルダム。2008年時点での支部は世界41ヶ国にあり、世界全体でのサポーター(会費を払い活動を支援する会員)は約290万人。有給専従職員は約1000人。

グリーンピース・ジャパン

グリーンピースの日本事務所(グリーンピース・ジャパン(GPJ))が設立されたのは1989年4月。それ以前にも日本にグリーンピースを名乗っていた人々がいることは確認できているが(たとえば太田竜 [3] など)、それらはグリーンピース・インターナショナルとは無関係である。現在の理事長はアイリーン・美緒子・スミスである。2008年時点でのサポーターは約6000人、有給専従職員は15人である。

また、グリーンピース・ジャパンが設立されグリーンピースからの日本語による正式な声明が出されるようになるまで、対立する側が「グリーンピースはこう言っている、それはけしからんことだ」といった構造の批判的キャンペーンを展開してきたという経緯もあり[要出典 ]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。、これが日本での悪い印象を生み出した一因になっているとも言える[要出典 ]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。商業捕鯨に関しては一貫して反対の立場にあるが、原住民生存捕鯨などについては原則として判断を示すことはない。インターネットテレビで出演者が鯨肉を食べるところを放映することもある。

なお、日本国内における活動としては、国内企業へのアンケート[1]や経済界へのキャンペーン[2]も行っている。

活動に対する日本国内の評価

グリーンピースの活動は、横断幕を掲げて違法に建物によじのぼったり、活動家が自らを鎖で木に縛り付けて、森林伐採を違法に妨害するなど、ある意味で、「目立ってなんぼ」とでもいうべき、あたかも自然保護の分野でのイベント業・広告代理店とでも言うべき戦略を採用してきた。グリーンピースが活動拠点とする欧米では、公害問題が事実上ほとんど解決したため、地域に密着した環境問題は少なく、結果として地球温暖化、捕鯨反対などのロビー活動が環境組織の主要活動ととなる。またこのためにボランティアの無償労働さえあれば十分な小規模な福祉関係の組織と違い、相当量の活動資金が組織の運営に必要となる。このため活動資金を一般市民の募金に頼っている事情からマスコミの注目を集める活動によって存在をアピールして組織の運営を維持せざる得ないという事情がある。

日本国内では、時として「エコ・テロリスト[4] などと批判が挙がるほど過激な抗議行動から、「暴力的な行動を伴う団体」という印象も強い。

日本では船のスクリューに鎖を巻く等、違法な直接行動に対しては、日本政府などに「テロリズムである」と認定された。

広報(パフォーマンス)重視のボランティア活動に対する懐疑的見方など、日本では、しばしば逆効果になっているという批判、さらに非欧米の国の文化、国民性を無視しているとの批判もある。

日本政府や水産業界・原子力業界との摩擦

接触事故

1992年11月にフランス沖合いで、グリーンピースのキャンペーン船「ソロ」と、核物質を搭載して日本に向かっていた輸送船「あかつき丸」を護衛していた海上保安庁の巡視船「しきしま」の接触事故が生じている。

事故現場は、輸送船「あかつき丸」の後方数キロメートル地点で発生している。この輸送に際してグリーンピースは輸送経路を明らかにするために追跡を行うと予告していた。日本側は、その追跡船が「ソロ」であると誤認し、その追跡を断念させるためにソロに対して威嚇を行った際に操船を誤り衝突させたものと見られている。「しきしま」の異常な操船については、近隣の無関係な民間船舶からイギリスの航路管轄官庁への報告もなされている。この際も、日本側は「ソロがぶつけてきた」と主張しているが、ソロよりはしきしまの方が10ノット以上最高速度が速いこと、ソロはしきしまから見て右舷側に位置していたことなどを理由に、しきしま側の誤操船であると指摘する意見もある。

『エコ・テロリスト』との批判

2001年12月、南極海で、日本の調査捕鯨船団と、グリーンピースの船「アークティック・サンライズ号」が遭遇した。 この際、日本の調査捕鯨を委託されている日本鯨類研究所の理事長である大隈清治は、グリーンピースを『エコ・テロリスト』だと批判するプレスリリースを発表、即座にグリーンピースは抗議声明を出している。

グリーンピースの抗議行動のエスカレート

2005年12月に、南極海で調査捕鯨をしていた日本の捕鯨船の周辺で、グリーンピースの船が抗議行動を行って双方の船が接触する事件が発生した。双方にけが人は出なかったが、この時、グリーンピース側は今後も抗議活動を続けるという声明を発表している。

それを裏付けるように、その翌月には、捕鯨船団に対しての抗議中にグリーンピースの活動家1人が海に転落する事件が発生した。グリーンピース側は、「捕鯨船が狙っていたミンク鯨を守ろうとしていたボートから活動家が転落した」と主張しているが、それに対し、日本鯨類研究所は、捕鯨船の陰に隠れていたボートが突然出現した画像を公開し反論、グリーンピースの行動について、「報道機関の関心を維持するため、だんだん危険な行動をとっている」と批判した。

なお、この件に関して反捕鯨国であるオーストラリアの環境相が「人命を危険にさらすような戦術を人々が尊敬するとは思わない」とグリーンピースに対し自制を求めた。

2006年1月8日、南極海で日本船の調査捕鯨を監視していたグリーンピースの監視船「アークティック・サンライズ」が、日本の捕鯨母船「日新丸」にぶつけられたと発表した。一方、捕鯨船団を派遣した日本鯨類研究所は、他船に貨物を移し替える為停船していた日新丸に意図的にグリーンピースが追突したと発表し、両者の見解が対立している。双方共にビデオ・写真を公開して、事件の説明をしている。

2006年1月18日、捕殺調査名目での捕鯨に対して、死亡したナガスクジラの博物館への輸送の途上で、ベルリン市のデモ許可を取得してドイツの日本大使館前で公開するとともに、「ストランディング(漂着・座礁のこと)した鯨の調査で十分である」という意図を伝えるという抗議行動を行った。その後、この鯨体はグリーンピースの手で日本大使館前からは運び去られたが、日本では一部で「大使館前に放置した」という誤解が発生していた。

2006年2月17日には青森県 六ケ所村に存在する日本原燃使用済み核燃料再処理工場で2006年4月に開始される試験運転に反対する抗議行動として、原子力安全・保安院などが入る経済産業省別館の壁面に『STOP! 再処理』と書かれたメッセージを投影した。

2006年2月21日夕方には青森県庁本館の壁一面に『放射能汚染、立入禁止』の文字と放射能マークが入った貼り紙の映像を投影している。この行動についてグリーンピースは、青森県議会の全員協議会で討議された六ヶ所再処理工場のアクティブ試験安全協定素案に問題があったためと主張している。

鯨関係者を業務上横領の疑いで告発


グリーンピース・ジャパンの主張

グリーンピース・ジャパンは、日本の調査捕鯨船「日新丸」の乗組員が調査捕鯨で捕獲したクジラ肉(鯨肉)を大量に自宅に送っていたとして業務上横領の疑いで、2008年5月15日に、東京地方検察庁へ証拠品である鯨肉および梱包箱とともに告発状を提出した。同時に、農林水産省などに対しては、日本鯨類研究所による調査捕鯨活動の停止、および水産庁からの補助金の支給停止を求めている。これを受けて水産庁は、実態を調査する方針であることを明らかにした。

グリーンピース・ジャパンは5月16日記者会見を開いて、「告発の証拠品として提出した鯨肉(畝須)は23.5kgで塩漬け処理されて常温保存の状態」だったことを明らかにし、この鯨肉が「『数kg程度の冷凍品である土産』ではない鯨肉」であり横領されたものであると主張した[5]

不法侵入・窃盗の疑い

告発にあたってグリーンピース・ジャパンが提示した証拠のクジラ肉は上掲の「告発レポート[6] 」やYouTube投稿映像[7] にあるとおり、「日新丸」乗組員が送った個人の荷物のひとつを、グリーンピース・ジャパン関係者が宅配便運送会社の配送所から盗み出したものである。

これについては、西濃運輸青森支店への不法侵入・荷物の窃盗・西濃運輸に対する業務妨害などの犯罪に問われる可能性もあることが、法曹関係者の間で指摘されている。

グリーンピース・ジャパンは、この調査方法を認めた上で「重大な横領行為の証拠を入手するためであり、違法性は無い」と主張している。西濃運輸は5月16日青森県警に対して被害届を提出した[8] 。青森県警は窃盗容疑で捜査を開始した[9] 。調査捕鯨船運行会社の共同船舶も、早ければ5月19日にも窃盗容疑で告発を検討している[10]

2008年5月15日に放送された『スーパーモーニング』では、出演していた弁護士は「窃盗に当たる」と断言した。また、番組ではアメリカ合衆国において「妊娠人工中絶に反対する団体が、人工中絶を実施しているクリニックを襲撃している」という事実を取り上げて今回の問題と対比させ、「違法性は無い」と主張して問題行動を正当化するグリーンピースの姿勢を「非常に危険である」とした。

グリーンピース・ジャパンは5月16日に記者会見を開いて、証拠品となった鯨肉を輸送していた西濃運輸に対しては「迷惑を掛けたならお詫びしたい」との考えを明らかにした[11]

2008年6月20日、青森県警と警視庁公安部はグリーンピース・ジャパンが組織的に計画し肉を盗み出したとみて、実行に関与した東京都と神奈川県に住む同団体幹部2人を窃盗および建造物侵入の容疑にて逮捕、東京の事務所など関係先数カ所の家宅捜索を行った。

2008年7月15日、保証保釈金400万円を払い両被告は保釈された。

日本でのクジラ肉の取り扱い

この項では、告発があった2008年時点での「日本国内でのクジラ肉(鯨肉)の売りさばきを含む取り扱い」の状況について、概略を解説する。

日本政府は、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)附属書Iのうち、クジラについて留保している。日本国内の民間相互取り引きにおいて、「公的な手続きを経て市場に放出された鯨肉」の流通は一般に自由である。

日本の調査捕鯨によって日本国内にもたらされる鯨肉の販売価格は、日本鯨類研究所に設置した「副産物販売委員会」(水産庁や有識者などで構成)が審議して決定する。詳細は、日本鯨類研究所が制定する「鯨類捕獲調査事業の副産物処理販売基準」に従う。

国際捕鯨取締条約第8条では、「捕獲した鯨は、実行可能な限り加工し、また、取得金は、許可を与えた政府の発給した指令書に従って処分しなければならない。 」と定められている。

調査捕鯨捕鯨船の乗組員個人が、社会通念において(社内販売などの、関係者向け割引・優先販売のような例)あるいは調査捕鯨制度の運用において許されている「自家消費や親戚知人などへの贈与などの私的な範囲」を超えて、「(その鯨肉の分量にかかわらず)公的な手続きを経ていない、あるいは職務上の立場を利用して不当過大に得た(不当利得)、鯨肉」を販売することや販売目的で所持することは、国際捕鯨取締条約に違反する疑いがある。

鯨肉の「土産」

前述したように、水産庁は2008年5月8日の時点では、グリーンピース・ジャパンの質問に対して調査捕鯨船乗組員が鯨肉を個人の土産とすることは基本的にないとの見解を示していた(「告発レポート[6] 」)。調査捕鯨船運行会社である共同船舶は、2008年5月14日までは「乗組員が鯨肉を土産にしていることを否定」していたが、5月15日にはそれまでの発表を撤回して「全乗組員に1人あたり鯨肉10kgを土産として配り、土産とした鯨肉の代金を(調査捕鯨の実施責任を持つ組織である)日本鯨類研究所に支払っている」と表明した。しかし、日本鯨類研究所の見解では「乗組員1人あたり数kg程度を渡している」としており、また調査捕鯨船運行会社からの乗組員用鯨肉土産代金として金銭を受領したとの認識は無く、双方の説明はなお一致していない[12]

農林水産大臣若林正俊は5月16日の閣議終了後の記者会見で、捕鯨船乗組員の鯨肉持ち出しについて、調査を実施して(慣例・慣習ではなく)明確な規則を定める必要があるとの考えを明らかにした[13] 。現在の慣例では、捕鯨船乗組員は1人あたり10kgのクジラ肉を土産とすること、これに加えて3.2kgまでの購入が認められており、さらに他の乗組員が購入しなかった分を追加で購入することも認められている[14] 。なお、調査団の乗組員は約250人おり[12] 、土産だけで約2.5トン、別途購入の3.2キログラムを加えると、乗組員全体で最大約3.3トンの持ち帰りが慣例として認められてきたことになる。

脚注

  1. ^ 2005年12月20日USA TODAY
  2. ^ 読売新聞6/21社説:グリーンピース手段を選ばぬ「正義」とは
  3. ^ 「週刊ポスト」1987年10月9日号
  4. ^ "「エコ・テロリズム」発言などに対し、グリーンピース、日本鯨類研究所へ正式抗議". グリーンピース (2001年12月14日). 11月16日閲覧。accessdateの記入に不備があります。
  5. ^ 「横領は土産以外」と強調=調査船鯨肉持ち帰り-環境団体 時事通信 2008年5月16日 22:08
  6. ^ a b 告発レポート「奪われた鯨肉と信頼 ―『調査捕鯨母船・日新丸』での鯨肉横領行為の全貌」 2008年5月15日 (PDFファイル) グリーンピース・ジャパン
  7. ^ 調査捕鯨に横領が発覚! 2008年05月14日 YouTube 投稿者:greenpeacejapan
  8. ^ 西濃運輸が青森県警に被害届提出 時事通信 2008年5月16日13時32分配信
  9. ^ 青森県警が窃盗で捜査開始 報知新聞 2008年5月16日23時55分配信
  10. ^ 共同船舶も窃盗容疑で週明けにも告発を検討 産経新聞2008年5月16日 20:00
  11. ^ 「横領は土産以外」と強調=調査船鯨肉持ち帰り-環境団体 時事通信 2008年5月16日 22:08
  12. ^ a b 「土産ない」一転「10キロ無料で」 鯨肉疑惑で船会社 asahi.com (朝日新聞)2008年05月16日00時06分
  13. ^ 調査捕鯨:鯨肉持ち帰り「決まり必要」--若林農相 毎日jp (毎日新聞) 2008年5月16日 東京夕刊
  14. ^ 調査捕鯨:船から「鯨肉持ち出す」 環境団体、乗組員ら12人告発へ 毎日jp(毎日新聞) 2008年5月15日 東京夕刊

関連項目

外部リンク

公式サイト

批判的立場から

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