貝毒
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貝毒(かいどく)とは、渦鞭毛藻など海水中の有毒プランクトンを捕食し、貝が毒を蓄えること。
これら毒化した貝を食べることで麻痺や下痢を起こし、死に至る食中毒を一般的に「貝に中(あた)る」と言う。これら毒性をもつプランクトンは水温の上がり始める 4月ごろから5月ごろの期間に発生することが多い。
このため都道府県の水産担当部局では、冬の終わりから海水中のプランクトンや貝の検査を行い、毒の量を検査し、安全を確かめている。基準値以上になった場合は出荷停止される。この措置は、貝自身の代謝により貝毒がなくなったことが検査で確認されれば解除される。
種類
- 下痢性貝毒...オカダ酸 (okadaic acid)、ディノフィシストキシン (dinophysistoxin,DTX) などによる。激しい下痢、吐き気、嘔吐などを起こすが致命的ではない。ホタテガイ、ムラサキイガイ、アサリ、ウバガイ(ホッキ)などほとんどの二枚貝で起こる。
- 麻痺性貝毒...サキシトキシン (saxitoxin) などによって引き起こされる。症状はフグ中毒に類似しており、最悪の場合呼吸麻痺を起こして死に至る。ホタテガイ、アサリ、カキ、ムラサキイガイなどで起きる。
- 神経性貝毒...コノトキシン(conotoxin)イモガイが持つ毒である。
(以下の中毒は今のところ日本では発生していない)
- 神経性貝毒...ブレベトキシン類 (Brevetoxin,BTX) によって引き起こされ、口内の灼熱感、紅潮、運動失調などの症状を起こす。
- 記憶喪失性貝毒...アミノ酸の一種ドウモイ酸によって引き起こされる。脳細胞の異常興奮により海馬が破壊され、下痢、嘔吐、腹痛から最悪の場合には記憶喪失を起こし、死に至る。
関連項目