脱オタク
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脱オタク(だつおたく)とは
この項目では、2番目の意味で脱オタクに付いて詳説する。この場合、あくまでオタク趣味を辞める必要はなく、一般人に対して恥ずかしくないようにすることが目的である。
概要
オタクには、2種類の評価があり、1つは特定分野に非常に詳しいマニア・専門家的な評価が挙げられる。もう1つは、稚拙な言動や身なりに無頓着な傾向などのコミュニケーションスキル(→社会性)の成長が遅れたり劣っているとの評価である。
前者は、一般に求められる分野に詳しければ人材と呼ばれ、そうでなかったとしても、無害無益な趣味の延長に過ぎない。だが後者は、他人の不快感を煽ったり、あるいは実質的な被害を与える場合もあり、これを"人間としての在り様に関する問題"と捉える者がいる。
「脱オタク」とは、この当人にとっても劣等感となり得る要素を克服する事、あるいは社会的に見て好ましいよう成長する事であると解される。
オタクを脱する事
『電車男』ではそのストーリーの中で、エルメスと呼ぶ女性に再会するときに、髪を切り、新しい服を買い、典型的なオタクファッションを脱してから会いに行くというシーンがあったが、その行動のことを脱オタクといい、そこで選ばれていくファッションのことを脱オタクファッションという。
キーワードとしての「脱オタク」とは、電車男の影響でよく取り上げられるようになった語である。電車男自体はフィクションに基づく作られたブームであると言う説がある一方、小説の一種として扱われたりテレビドラマ化や漫画化という過程を経て、一過性ながらブームを起こしたことから、社会現象として扱われるオタク文化に絡む一つの方向性として、「脱オタク」が社会の注目を集めたといえる。
オタクファッションと脱オタクファッション
脱オタク・ファッションでは、以下の類型に当てはまらないようにするのが基本である。
オタクファッションの例
典型的なオタクファッションとしてAカジ(ヒップホップの「Bカジ」や「B系」の捩り)ないしキバカジ(秋葉原風のカジュアルの意・秋葉系とも)といわれる服装がある。Nerdファッションとも呼ばれる。一昔前のグランジ・ファッションと重なる点が多い。
- ボトムには、ケミカルウォッシュのデニムパンツ
- トップスはアニメのキャラクターが大きく描かれたTシャツや、チェック柄のウールシャツなどで、その裾をボトムに入れる
- 髪はボサボサと伸ばしっぱなし、あるいは寝癖がついたままでバンダナ(鉢当てのように折りたたんだ状態)を巻いているか、後ろで一つにまとめている
- レンズの大きい銀縁メガネ
- 荷物はアニメやゲームのキャラクターフィギュアが沢山付いた大きなデイパック(リュックサック)で、それでも足りず手提げ紙袋を下げている
- 荷物にはポスターを筒状にして差している
以上が、おおよそのイメージである。また体型も緩く締まりの無い感じで極端に太っているか、あるいは痩せぎすで長身、運動不足で色白といったステレオタイプが存在する。あるいは、話題面で自分の関心のある分野でしか話をしない・できないといった面や、その趣味嗜好に生活費までもを費やしている結果、「変に低いエンゲル係数」と呼ばれるような、非自炊の貧食・偏食(→ジャンクフードなど)傾向が取り沙汰されている。
また、若年〜青少年層オタクにしばしば見られる所ではあるが、「ママの買ってきた服」(ママカジ)に代表される統一性が無く、主に値段の安さによってのみ選択されたような服装も秋葉系の範疇であり、この中にはユニクロで安価に販売されている商品群によって統一された服装を、特に疑問も抱かずに着ている場合も「オタクっぽいファッション」だとされやすい。この類型には「伸びたTシャツ」や「食べこぼしの染みが残る服」などが挙げられる。他にも趣味に没頭する余り疎かになりがちな洗顔や髭剃り・入浴といった事情により、不潔感漂う風貌や体臭も問題視される。
脱オタクファッション
脱オタクの最初の段階では、大抵の場合は余りコストや時間がかかるような方向にではなく、専ら「オタク臭くない」というものがコンセプトとなっている傾向が見られる。
例えば、最も単純なスタイルの変更として、清潔感の演出が挙げられる。シャツはクリーニングから返ってきたばかりの下ろしたてのものを着る、髪は近所の床屋ではなく美容院でカットし、整髪料でセットをする、顔や身体は清潔を心がけ、入浴・洗顔をして皮脂などが浮いていないようにすると言った具合である。次の段階としては、ファッション誌などを参考に、着衣やアクセサリをチョイスしていくことが薦められていることが多い。この場合、漫画やアニメ・ゲーム上のキャラクターを参考にしたスタイルは推奨されない傾向にある(そもそものコンセプトに反する場合が多い為)。
ただし、これらは形だけのことであり、行動様式や考え方などの変容もしばしば課題となる。清潔感の演出の延長で、一般的に不快とみなされる癖(自身の頭を掻いたり顔を触るなど)を直したり、表現に注意を払ったり、誠実さ・謙虚さを心掛けるなどの必要も挙げられる。
脱オタクとコンプレックス産業
近年ではコンプレックス産業としての「脱オタク・サービス業者」の存在も見られる。「オタク=色白」というステレオタイプもあるため、日焼けサロンも一種の脱オタク産業といえるかもしれない。通信販売でも、やはり「オタク臭くないスタイル」を手に入れるための物品を扱う業者も少なくない。
これらでは、特にコーディネート(統一されたファッションスタイルの構築)に不慣れなオタクにも対応しており、コーディネート指南として統一されたスタイルを提供したり、あるいは客観的に改善点を指摘し、これを修正する方向性も見られる。ただしオタクファッションの多くが、当人の自覚のなさにも起因するため、まず様々な類型を挙げ、それに合致する部分の改善方法を提示する物も多いようである。
脱オタクが題材となった作品
参考文献
- 久世, トレンド・プロ, 晴瀬 ひろき著『脱オタクファッションガイド』 (オーム社)ISBN 4274066193