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二元数

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(2016年1月)

数学における二元数(にげんすう、: binarion)とは、2次元の多元数、すなわち実数体上2次元の単位的 結合多元環の元のことである。各二元数 x は適当な基底 {1, u} の実数係数の線型結合 x = a + bu (a, bR) の形に表される。

多元環における積は双線型であるから、2つの二元数 x = a + bu, y = c + du に対して

x y = ( a + b u ) ( c + d u ) = a c + ( a d + b c ) u + b d u 2 {\displaystyle xy=(a+bu)(c+du)=ac+(ad+bc)u+bdu^{2}} {\displaystyle xy=(a+bu)(c+du)=ac+(ad+bc)u+bdu^{2}}

これが再び二元数となる(つまり乗法について閉じている)ためには、u の平方が再び {1, u} の線型結合に書けることが必要かつ十分である。

以下の3つは実二次元の単位的多元環である:

実は二元数は本質的にこの3種しかないことが示される。

二元数の分類定理

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定理[1] [2] [3] :14,15
同型を除いて、実数体上二次元の単位的多元環は通常の複素数体、分解型複素数環、二重数環のちょうど3種類しかない。

証明 — 実数体上二次元の単位的多元環を A とし、実数体上の基底 {1, u} をとれば、適当な実数 a, b を用いて

u 2 = a + b u {\displaystyle u^{2}=a+bu} {\displaystyle u^{2}=a+bu}

となる。平方完成を施して

u ~ 2 = a + b 2 4 ( u ~ := u b 2 ) {\displaystyle {\tilde {u}}^{2}=a+{\frac {b^{2}}{4}}\quad \left({\tilde {u}}:=u-{\tfrac {b}{2}}\right)} {\displaystyle {\tilde {u}}^{2}=a+{\frac {b^{2}}{4}}\quad \left({\tilde {u}}:=u-{\tfrac {b}{2}}\right)}

と書くことができるから、右辺が実数値であることに注意すれば、その値に従って以下の三分律が成り立つ:

  • 4a = −b2 のとき、従って ũ2 = 0。このとき、ũεA と二重数環との同型を与える。
  • 4a > −b2 のとき、正の実数 c := a + b24 が取れて、v := 1/cũv2 = +1 を満たす。このとき、vjA と分解型複素数環との同型である。
  • 4a < −b2 のとき、正の実数 d := b24a が取れて、w = 1/dũw2 = −1。このとき、A と複素数体との同型は wi によって定まる。

性質

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Mathematics Magazine(2004年版)は二元数代数を「一般化された複素数」として扱う[4] 。四複素数の成す複比の概念は二元数代数に対しても拡張することができる[5]

参考文献

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  1. ^ Isaak Yaglom (1968) Complex Numbers in Geometry, pages 10 to 14
  2. ^ John H. Ewing editor (1991) Numbers, page 237, Springer, ISBN 3-540-97497-0
  3. ^ Kantor, I.L., Solodownikow (1978), Hyperkomplexe Zahlen, BSB B.G. Teubner Verlagsgesellschaft, Leipzig
  4. ^ Anthony A. Harkin & Joseph B. Harkin (2004) Geometry of Generalized Complex Numbers, Mathematics Magazine 77(2):118–29
  5. ^ Sky Brewer (2013) "Projective Cross-ratio on Hypercomplex Numbers", Advances in Applied Clifford Algebras 23(1):1–14

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