一休さん
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一休さん(いっきゅうさん)は臨済宗の禅僧一休宗純の愛称。主に、その生涯に様々な説話を残した事から江戸時代に説話が作られ、とんちで有名となる。
昭和の中頃まで、絵本の童話の題材、紙芝居の題材として良く用いられていた。特に、屏風の虎退治などの話は有名。
代表的な説話
殆どが江戸時代に作られた物で、実在の一休が周建を名乗っていた幼少時代に時代が設定される。
屏風の虎退治
足利義満が一休に出した問題の一つ。 「屏風絵の虎が夜な夜な屏風を抜け出して暴れるので退治して欲しい」と義満が訴えたところ、一休は「では捕まえますから虎を屏風絵から出して下さい」と切り返し、義満を感服させた。
このはし渡るべからず
桔梗屋が一休に出した問題の一つ。 店の前の橋を一休さんが渡ろうとすると、「このはしわたるべからず」と書いてある。しかし一休は橋の真ん中を堂々と渡ってしまう。「この端(はし)渡るべからず」と切り返したわけである。
後日談で、同じ問題に加えて"真ん中も歩いては駄目"と難題を出されたが、"橋に乗らねばよいのだろう"と敷物を敷いてその上を歩いて渡ってきた。
実在の一休
史実に於ける一休の詳細については、「一休宗純」の項を参照のこと。
アニメは実在の一休をモデルとする、一休咄などの頓智咄(とんちばなし)を原作としている。ただ、『一休咄』が世に出たのは、元禄年間(江戸時代前期)なので、一休の遷化から200年余りが経過している。これには実際の一休の事績の他に、一休になぞらえた民間説話や登場人物を他の高僧から一休に置き換えた伝説が数多く挿入されているので、史実として扱うには無理がある。『一休咄』は作者不明である。
TVアニメの『一休さん』
1975年 10月15日から1982年 6月28日まで、NETテレビ(日本教育テレビ、本放送中の1977年よりテレビ朝日と社名変更)系列で全296話が放送された東映動画(現東映アニメーション)制作のテレビアニメ、およびその主人公の名前。中央児童福祉審議会推薦番組。日本船舶振興会の一社提供番組。 今もアニマックスにて放送中である 禅僧一休宗純の子供時代をモチーフにしている。
禅寺の安国寺(あんこくじ)を舞台に、一休がとんちを使ってさまざなな問題を解決していく。登場するキャラクターをユーモア豊かに描きつつも、南北朝の騒乱さめやらぬ混乱した時代背景を織り交ぜて展開する。
なお、大半の期間は一休の事件解決の痛快さが売り物であるが、初期については南北朝の動乱直後の問題の深さ故に失敗する話や、伊予の局と会えずに悩む話(後の作品では一休に会って助言する話もある)など、痛快とは言い難い話もある。 また、中期以降頓知話の種が尽きて、古今東西の物語を翻案したエピソードが多い。
初期(20話)に伊予の局と会えずに悩んだ末に琵琶湖への入水(自殺未遂)をする。無論21話の冒頭で救われるが、本放送では時間帯が移動しておりかつ特別番組の放映で20話と21話の間が数週間開いている。これは成人後のエピソードの翻案とも考えられるが、当時の児童層の視聴者には酷な展開だったかもしれない。
最終回は一休が安国寺を去り修行の旅に出る話で、レギュラー登場人物一同が別れを惜しみ旅の無事を祈るという設定であり、ハッピーエンドの結末であるとともに一休(史実のこの時の名は周建)の子供時代の終わりと成長そして高僧への道を暗示した内容である。しかし最終回の頃には人気が低迷していたので、この結末を知る人は少ない。
平均視聴率は24.2%、最高視聴率は1976年 3月10日放送の27.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。
一休さんは日本国外でも放送された。特に仏教国のタイでは教育的な内容から好まれ、Dr.スランプ、ドラえもん放映まではもっとも人気のあるアニメだった。中国でも人気があり、孫佳星が歌った主題歌が100万枚を超えるヒットになった。2006年 7月から、ハワイの日本語ケーブルテレビ局、NGN(Nippon Golden Network)で、英語 字幕つきで放送されている。
主な登場人物・声の出演
- 一休(藤田淑子)
- 本作品の主人公で実在の人物。幼名は千菊丸(せんぎくまる)。安国寺では一番の後輩。後小松天皇の庶子であることがアニメでは少しだけ触れられている。心優しく聡明な小坊主。
- さよちゃん(桂玲子)
- 安国寺によく通っている少女、一休の友達。 両親とは死別、吾作爺さんと一緒に暮らしている。懐に母の形見の櫛を持っている。
- 秀念(しゅうねん)(はせさん治)
- 安国寺では一番年長の兄弟子。兄貴風を吹かすものの、調子に乗りやすい面がある。桔梗屋の弥生に惚れている。
- 哲斉(てっさい)(清水マリ → 井上和彦)
- 陳念(ちんねん)
- 安国寺の坊主。 太っちょで食いしん坊。「トンカツ食って馬勝った」の名台詞は、実は彼の発言。
- 黙念(もくねん)(鈴木富子)
- 安国寺の坊主。背丈は一休くらい。
- 哲梅(てつばい)(中野聖子)
- 安国寺の坊主。 あまり目立たない。そばかすが特徴。
- 外観和尚(がいかんおしょう)(宮内幸平)
- 安国寺の住職(ただし実在した住職の名は像外集鑑)。小坊主達を厳しく時に温かく見守っている。将軍さまが一休をへこましたいが為に度々難題を持ちかけてくるのを「義満どのにも困ったものじゃ」とぼやく。一方で将軍さまや桔梗屋等の相談に乗ることもある。
- 吾作
- さよの祖父。 貧しい寺男。大根作りの名人である。
- たま
- さよが飼っている猫。
- てるてる坊主
- 普段は安国寺の渡り廊下前の木にぶら下げられている、てるてる坊主。
- 時折、悩んだ一休が母に見立てて相談をしたりする。表情豊か。
- どちて坊や
- なにかにつけて「どちて?」と聞く。このため多くの者が回答に窮する。ある意味、最強の人物。実は戦災孤児で、南北朝争乱によって両親を失っている。
- 蜷川新右衛(ヱ)門(にながわしんえもん)(野田圭一)
- 本名、蜷川新右衛門親当(にながわしんえもんちかまさ)。寺社奉行であるが普段は将軍の命令により一休の周辺を監視している。云わばお目付け役だが一休とは仲がよく、平素から将軍のわがままに手を焼いているため一休に助けを請うこともしょっちゅうである。末姫に惚れているが、自らが末姫に惚れられていることには気付いていない。
- 風貌は、どこか当時の青年を思わせる姿(髷が長髪を思わせるなど)にデザインされている。
- 最初は一休を小ばかにしていたが、その人柄に触れ親友となる。一休を尊敬しているが、彼の要望によりですます調でない普通の話し方をするようになった。
- 実在の人物だが、歴史上では一休が壮年になってからの関係である。子孫にK-1武蔵選手がいる。
- 将軍さま(山田俊司)
- 桔梗屋利兵エ(ききょうやりへい)(緒方賢一)
- 幕府御用達の商人。本職は米問屋らしいが、色々と手広く商売をやっている。お金に目が無く、いつも一休さんに嫌がらせをするが、困り事は一休に泣きついて相談を持ちかける。根は悪い人ではなく、将軍にはもちろん、安国寺にも度々つけ届けをしたり、案外信心深い。
- 桔梗屋弥生(ききょうややよい)(小山まみ→吉田理保子)
- 桔梗屋利兵エの美人で我侭な一人娘。父の商いの手伝いをしている。一休への嫌がらせも自ら行うが、困り事は父親同様一休さんに泣きついて相談を持ちかける。
- 伊予の局(いよのつぼね)(坪井章子→増山江威子)
- 一休の母。将軍に敵対していた南朝側の人間のため、将軍によって一休と引き離され小さな家に暮らしている。将軍は後にこれを恥じ、一休と住めるように大きな家を建てるが、一休はこれを断る。息子の身を日々案じ、修行を重ねて立派な僧になって欲しいと願っている。なお、作中のナレーションも同じ声優がしている。
- 五条露(ごじょうつゆ)(白石冬美)
- 五条家の末娘。 将軍さえも恐れぬその性格からやんちゃ姫と呼ばれる。
- 末姫(すえひめ)
- 大内家の娘。淑やかで美しい姫。新右衛門とは実は相思相愛なのだが女心に疎い新右衛門の方では分かっていない。
とんち
このアニメでは度々とんち勝負や様々な問題のために、一休が頓智(知恵)を使って解決させる。
頓智を働かせるときには、まず胡座をかき両手の人差し指を舐め、その指で側頭部に2回ほど円を描いてから座禅を組み、 ポク、ポクという木魚の音をバックに考える。 その後、閃いたときにはチーンという仏鈴の音がする。何も浮かばない時には一休は黙想をやめ「だめだ......」と溜息をつく。細部は省略されることもある。余談ではあるが、FUJIWARAの原西孝幸はこれを元に「ポクチンダンス」というギャグを編み出している。
一休以外の者が同じことをする場合は音が変だったりして、失敗したりすることが多い。例えば新右衛門の場合は木桶の底を叩いたような音が、桔梗屋や将軍の場合は盥に水滴が落ちたような音がする。
とんち勝負の出題時には毎回、出題者が「そもさん(什麼生)」と問い、回答者が「せっぱ(説破)」と返し、「汝に問う!」で始まる問答が入る。
スタッフ
- 製作:今田知憲
- 企画:坂梨港、高見義雄、栗山富郎
- NET→テレビ朝日プロデューサー:宮崎慎一、碓氷夕焼
- 製作担当:吉岡修、菅原吉郎
- 脚本:辻真先、山崎忠昭、田代淳二、大川久男、田村多津夫、松岡志奈、高森マオ、福澤晃、山崎大助、斉藤千恵子、福澤見、山本真帆、石田悠、金春智子、藤川桂介、山浦弘靖、雨宮雄児、筒井ともみ、金子武郎、白石幸男、小柳順治、田中理絵子、駒田博之
- チーフディレクター:矢吹公郎
- 演出:矢吹公郎、今沢哲男、新田義方、古沢日出夫、生瀬昭憲、山本寛己、永樹凡人、遠藤勇二、吉田健次郎、寒竹清隆、影山勇、吉沢高志、白士武、鈴木幸雄
- キャラクターデザイン:我妻宏
- 総作画監督:石黒育
- 作画監督:端名貴勇、石黒育、荒木伸吾、山口泰弘、小暮輝夫、我妻宏、永樹凡人、富永貞義、進藤満尾、森英樹、山本福雄、森利夫、新田敏夫、鈴木幸雄、白士武、松本清、細田義男、石黒めぐむ、菊池城二、上村栄司
- 美術デザイン:影山勇
- 音楽:宇野誠一郎
- 編集:鳥羽亮一
- 録音:今関種吉
- 効果:大平紀義
- 選曲:賀川晴雄
- オーディオディレクター:小松亘弘
- 制作:NETテレビ(日本教育テレビ)→テレビ朝日、東映動画
主題歌
- オープニングテーマ
- エンディングテーマ
- 『ははうえさま』
- 作詞:山元護久 作曲・編曲:宇野誠一郎 歌:藤田淑子
- 歌詞は一休が書いた母宛の手紙になっている。
- EDのフィルム映像は、安国寺のてるてる坊主が四季の風景を背景に描かれる。
- 挿入歌
- 『鐘がごんとなりゃ』
- 一休達が作中よく歌っている曲。
ネット局
- 同時ネット
- NETテレビ(日本教育テレビ)(本放送中にテレビ朝日に社名変更)(キー局)
- 北海道テレビ
- 東日本放送
- 福島放送
- 新潟総合テレビ
- 静岡県民テレビ(現・静岡朝日テレビ・尚、2001年には同局で再放送を実施した)
- 名古屋テレビ(尚、放送終了後、何度か再放送をしている)
- 朝日放送
- 瀬戸内海放送
- 広島ホームテレビ
- 九州朝日放送
時差ネット | |
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本放送終了後、首都圏での再放送(少なくともテレビ東京など、他の在京キー局。恐らくテレビ朝日自身や、独立U局なども)はみられないようである。また、NHK-BSの「衛星アニメ劇場」や、WOWOWなど、CS放送以外の衛星放送での放送例もない。しかし、首都圏以外では、本放送終了後も盛んに再放送された。この他、東日本放送のように、本放送中に初期作品の再放送を行った例もある。
本放送時の話題
- もともとは1クールの予定だった(ラジオ番組「大アニメ博覧会」に藤田淑子が出演した時のトークより)。
NET系 水曜19:30枠 | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
一休さん
(1975年10月 - 1976年3月) |
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NET→テレビ朝日系 月曜19:30枠 | ||
一休さん
(1976年4月 - 1982年6月) |