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「通用規範漢字表」の版間の差分

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これまでの規範字表が収録対照としてこなかった[[固有名詞]]の表記に用いる漢字について、人名用字は[[1982年]]の[[国勢調査|人口センサス]]のデータや[[公安部]]のデータ、古代の著名人などから選び出し、[[地名]]用字は[[中華人民共和国民政部]]、[[国家測絵地理信息局]]の[[郷]][[鎮]]名や一部の村落名などから選び出して収録したとされる<ref name=guifanbiao></ref>。しかし、実際は後述のように現存する鎮の地名字でも未収録の漢字が散見される。
これまでの規範字表が収録対照としてこなかった[[固有名詞]]の表記に用いる漢字について、人名用字は[[1982年]]の[[国勢調査|人口センサス]]のデータや[[公安部]]のデータ、古代の著名人などから選び出し、[[地名]]用字は[[中華人民共和国民政部]]、[[国家測絵地理信息局]]の[[郷]][[鎮]]名や一部の村落名などから選び出して収録したとされる<ref name=guifanbiao></ref>。しかし、実際は後述のように現存する鎮の地名字でも未収録の漢字が散見される。


[[1965年]]に発表された『[[印刷通用漢字字形表]]』に代えて、[[(削除) 宋 (削除ここまで)朝体]]を用いて例示されている[[字形]]が[[印刷]]の標準字形として扱われる。[[2009年]]に公表された意見募集稿では、44字の字形を変更する案が示されていたが、反対意見が多数寄せられたため、見送りとなった。
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== 経緯 ==
== 経緯 ==
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===印刷用字形の変更案===
===印刷用字形の変更案===
意見募集稿では、下記に該当する漢字44字<ref>{{lang|zh-tw|琴、瑟、琵、琶、徵、魅、籴、汆、褰、衾、巽、撰、馔、噀、亲、榇、杀、刹、脎、铩、弑、条、涤、绦、鲦、茶、搽、新、薪、杂、寨、恿、瞥、弊、憋、唇、蜃、蓐、溽、缛、褥、耨、薅、毂}}</ref>の印刷用((削除) 宋 (削除ここまで)朝体)[[字形]]を『印刷用通用漢字字形表』のものから変更する案が示された。これは筆記用の字形([[楷書]])の字形も同様に変更するという意味ではない。
意見募集稿では、下記に該当する漢字44字<ref>{{lang|zh-tw|琴、瑟、琵、琶、徵、魅、籴、汆、褰、衾、巽、撰、馔、噀、亲、榇、杀、刹、脎、铩、弑、条、涤、绦、鲦、茶、搽、新、薪、杂、寨、恿、瞥、弊、憋、唇、蜃、蓐、溽、缛、褥、耨、薅、毂}}</ref>の印刷用((追記) 明 (追記ここまで)朝体(追記) <ref name="songti" /> (追記ここまで))[[字形]]を『印刷用通用漢字字形表』のものから変更する案が示された。これは筆記用の字形([[楷書]])の字形も同様に変更するという意味ではない。
* 「{{zh|琴}}」のように「{{zh|王}}」が二つ並んだ場合、左の「{{zh|王}}」の4画目を「一」ではなく、右上がりに払う。「{{zh|徵}}」のように内にある「王」も同様。
* 「{{zh|琴}}」のように「{{zh|王}}」が二つ並んだ場合、左の「{{zh|王}}」の4画目を「一」ではなく、右上がりに払う。「{{zh|徵}}」のように内にある「王」も同様。
* 「{{zh|巽}}」のように「{{zh|巳}}」が二つ並んだ場合、左の「{{zh|巳}}」の最後を横に曲げてから上に撥ねるのではなく、右上がりに払う。
* 「{{zh|巽}}」のように「{{zh|巳}}」が二つ並んだ場合、左の「{{zh|巳}}」の最後を横に曲げてから上に撥ねるのではなく、右上がりに払う。

2013年10月17日 (木) 13:19時点における版

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通用規範漢字表』(つうようきはんかんじひょう、簡体字通用规范汉字表≫、拼音: Tōngyòng Guīfàn Hànzì Biǎo)は中国教育部国家語言文字工作委員会が合同で作成した正書法の規範とする漢字表。一般教育に必要な一級字3500字、出版等のためにさらに必要な二級字3000字、人名地名科学 技術文語文などに必要な三級字1605字の合計8105の簡体字を基準にした漢字を収録し、2013年から使用されている。

概要

2000年に実施された『中華人民共和国国家通用語言文字法』を貫徹し、新しい情勢の下、社会の各領域において、漢字の応用に必要となる重要漢字規範として国務院より2013年 6月5日に通達され、それまで規範とされてきた1988年の『現代漢語通用字表』などの表に代わって即日使用開始された[1]

収録漢字は使用頻度や必要性によって、一級字3500字、二級字3000字、三級字1605字とレベル分けが行われた[2] 。計8105の漢字には通し番号がつけられているが、これらは級ごとに分けた上で、総画数、筆画の方向、部首の順に配列されている。筆画の方向による配列は、現代中国の字書によく使われ、規範化されているもので、同じ画数であれば筆使いが「一丨丿丶乛」の順に並べるもの[3] 。一級字の数は1988年に言語教育などの目的で国家語言文字工作委員会と国家教育委員会から発布された『現代漢語常用字表[4] の3500字(常用字、次常用字の合計)と総数が一致するが、一部に出入りがある[5]

それまで規範とされていた1988年の『現代漢語通用字表』に収められた7000字と比べて総数が1105字増え、特に地名、人名、科学技術などの表記に必要な漢字が多く収録された。2009年に公表された意見募集稿に示されていた8300字と比べると231字が削られ、新規に36字が追加された。増加した漢字の中には、従来の字典に未収録であった漢字や文字コード化されていなかったものも含まれる。Unicodeにはすでに約7万の漢字系文字がコード化されているが、これに未収録の字が、新たに作られた簡体字の字体など、118字含まれるため、今後追加申請が行われると見られる。

従来通りの簡体字による表記を目的にまとめられており、繁体字の復活使用はさせない。参考として、規範とする簡体字に対応する繁体字や、それ以外の異体字がある場合は、付表「規範字と繁体字、異体字対照表」で対比して明示された。この対照表の繁体字や異体字は収録字数8105字には数えられていない。この付表は1964年に発表され、最終的に1986年に修正された『簡化字総表』に代わる役目を果たす。  規範である普通話の表記を目的としてるため、方言の表記に必要な方言字北方方言呉語などの表記で、文学作品によく使われているものなど、一部を除いて、基本的に収録されていない。台湾国語の表記に使われる漢字の一部も未収録である。新たに潮州語などで使われる「5792 粿」や広東語で使われる「7156 」、「4962 」が収録されたが、これらは広東省周辺から食品名の表記用や美容院での表記用として全国的に広がったため追加されたと見られる。

科学技術用字を全国科学技術名詞審定委員会や中国社会科学院語言研究所が提供したデータをもとに収録した[2] 。この中には 植物名も含まれ、「8251 [[[:Template:Lag]]喜]」のように日本の国字(和製漢字)の用法を元に簡化した字も含まれる。

これまでの規範字表が収録対照としてこなかった固有名詞の表記に用いる漢字について、人名用字は1982年人口センサスのデータや公安部のデータ、古代の著名人などから選び出し、地名用字は中華人民共和国民政部国家測絵地理信息局 名や一部の村落名などから選び出して収録したとされる[2] 。しかし、実際は後述のように現存する鎮の地名字でも未収録の漢字が散見される。

1965年に発表された『印刷通用漢字字形表』に代えて、明朝体 [6] を用いて例示されている字形印刷の標準字形として扱われる。2009年に公表された意見募集稿では、44字の字形を変更する案が示されていたが、反対意見が多数寄せられたため、見送りとなった。

経緯

2000年に実施された『中華人民共和国国家通用語言文字法』は、憲法の下で普通話と「規範漢字」の使用の法的地位を定め、国内言語文字の統一と少数民族地区の二言語教育の政策的根拠となった。

これに基づき、2001年に新たに規範となる『規範漢字表』作成の検討が始まった[7] 。 8年の時間をかけ、それまでに規範とされてきた『第一批異体字整理表』(1955年)、『簡化字総表』(1964年に初めて発表、最終修正は1986年)、『印刷通用漢字字形表』(1965年)、『現代漢語常用字表』(1988年)及び『現代漢語通用字表』(1988年)に収録された漢字の整理、字形の見直し、必要な漢字の追加を行った結果、2009年 8月12日に漢字8,300字を収録した『通用規範漢字表(意見募集稿)』として公表され、8月31日までのパブリックコメント募集を開始した[8] [9]

パブリックコメントとして寄せられた意見を検討し、表の体裁を変更、説明を加えて、2013年6月5日に正式な『通用規範漢字表』が国務院から通達され、即日使用開始され、それまで規範とされてきた『現代漢語通用字表』、『印刷通用漢字字形表』などの関連する表はいずれも使用停止となった[1]

増加した漢字には、固有名詞に使う漢字を中心に、字書に未収録で、読みや用法不明のものも少なからず含まれるため、2013年8月29日には、教育部語言文字情報管理局が『通用規範漢字表』に基づいて企画、編纂した『通用規範漢字字典』と解説書『通用規範漢字表的解読』が商務印書館から出版された。

意見募集稿

2009年8月12日に公表されたもので、一般教育に必要な一級字3500字、出版等に必要な二級字3000字、人名地名科学 技術文語などに必要な1800字の合計8300の簡体字を基準にした漢字表となっていた。各漢字は級ごとに分けた上で、総画数、筆画の方向、部首順に配列され、通し番号が付けられた。

統計データを元に必要な漢字を列記した上で、異体字の扱いが考慮された。一般国民の用字習慣を尊重して、主に人名地名に用いる異体字、例えば『璦琿条約』の「」(「琿」)など51字[10] を回復させた。

社会の通用領域では表に準拠して漢字を使用するが、必要な場合は表外の字を用いても構わず、その場合は、歴史的に通用する字形(繁体字を基本とした字体)を用いる。

主な変更点

従来の『現代漢語通用字表』などと比べて以下の変更が提案された。

  1. 簡化字総表』の原則にのっとり、新たに265字を類推簡化する。
  2. 『簡化字総表』で繁体字と扱われ、淘汰させるとした漢字6字[11] の復活[12] 、及び異体字であると考えられていた51字[13] 。主に科学領域と姓名に用いる。繁体字の全面復活は行わず、類推簡化の原則を明確にし、本表以外の漢字を使用する際は類推して簡化することはしないと明記された。
  3. 『簡化字総表』に示されていた簡体字の内、49字[14] は収録されなかった。また、注釈の部分にのみ現れていた「()」と「(宀の下に一)」も未収録。
  4. 1965年発表の『印刷通用漢字字形表』に準拠していた『現代漢語常用字表』及び『現代漢語通用字表』で規則が統一されていない44字の字形調整[15]

印刷用字形の変更案

意見募集稿では、下記に該当する漢字44字[16] の印刷用(明朝体[6] )字形を『印刷用通用漢字字形表』のものから変更する案が示された。これは筆記用の字形(楷書)の字形も同様に変更するという意味ではない。

  • 」のように「」が二つ並んだ場合、左の「」の4画目を「一」ではなく、右上がりに払う。「」のように内にある「王」も同様。
  • 」のように「」が二つ並んだ場合、左の「」の最後を横に曲げてから上に撥ねるのではなく、右上がりに払う。
  • 」の「」、「」、「」などの最後と「」や「」の「」の最後は「払う」のではなく「丶」のように止める。
  • 」、「」、「」、「」などの下の部品を「ホ」ではなく「木」と作る。「ホ」の縦棒は「亅」のように鉤となっていたが、縦棒「丨」のままで止める。
  • 」の上の「」と「」などの「」の「冂」の最後に鉤を作らず、縦棒のまま止める。
  • 」などの「辱」を「厂」の中に収めて書くのではなく、「辰」と「寸」の上下の組み合わせに変える。「」、「」も同様に上下の組み合わせとする。
  • 」(轂)を本来の字体、部品に合わせて、「」(車)の上に1画加える。

簡体字と繁体字の対応

新たな簡体字と繁体字の対応表が作成され、付された。

対応漢字の変更

異体字扱いを簡体字・繁体字の扱いに変更
  • 苎(苧)
  • 伫(佇)
簡体字と複数の繁体字との対応関係の調整
  • 冲(衝)」→「冲(沖衝)
  • 饥(飢)」→「饥(飢饑)」など

正式表

2013年 6月5日に国務院から通達され、それまで規範とされてきた『現代漢語通用字表』、『印刷通用漢字字形表』などの関連規範表に代えて、即日使用開始された。

意見募集稿との違い

  • 漢字の総数は8300字から8105字に減らされた。
  • 意見募集稿になかった漢字が2級に9文字、3級に27文字の計36字が追加収録された。
  • 意見募集稿時に示された漢字の内、計8文字の等級が変化した。
  • 異体字扱い取りやめ候補6字の内、「」と「」は取り消されて、復活しなかった。
  • 「規範字与繁体字、異体字対照表」が付され、異体字との関係が明確になった。
  • 意見募集稿時に示された「琴」などの漢字44字の字形変更は取りやめとなった[17]
  • 意見募集稿時に示されていた「本字表以外の字は、もう類推簡化しない」という文言が消されたため、本表以外漢字の簡体字処理をどうするかは不明確である。

追加字

二級

3658 㧐、3848 㧟、4138 荮、4546 䥽、4853 唰、5177 赕、5472 嗍、5693 䁖、5792 粿

三級

6502 尢、6559 刬、6605 伲、6780 垵、6929 琊、7056 浭、7152 䴕、7156 啫、7192 偰、7198 㿭([白光])、7219 [亠/思]、7227 阌、7545 筦、7619 缞、7629 墕、7668 䴗、7689 鹙、7703 鲗、7719 鲝、7723 漖、7794 皛、7795 䴘、7816 [氵徴-彳]、7960 䲠(鰆)、7964 鲿、8029 䴙、8084 鳣

級の移動

三級から二級へ

3839 坫 (旧6677)

二級から三級へ

6563 扽 (旧3652)、6705 舠 (旧3969)、6729 祊 (旧4050)、6886 浈 (旧4336)、6955 䓖 (旧4445)、7725 漤 (旧5798)、7819 潽 (旧6003)

削除

意見募集稿から消えた字数は231字である。ほとんどが第三級から消えているが、第二級から消えた字に「(旧6071)」と「(旧4103)」がある。

  • 」は「硫磺 」や「磺酸 」などの鉱物化学用語に多用されていたが、「黄」などとの異体字などの扱いについての注記は付けられていない。

削除された字を『康煕字典』の214部首別で見ると、玉部が40字、女部が39字と多く、人名に使われた俗字や稀少字が省かれたと見られる。また、地名字として使われる邑部の字も13字が削除された。

  • (旧8216) - 河北省 唐山市柳樹酄(quān)鎮などの用例がある。
  • [贸阝](旧7316。鄮) - 浙江省 寧波市周辺の地名字として用例が散見される。

地名𧒽([虫雷])(旧8221) - もともと淡水産二枚貝の一種を表わす広東 方言字であるが、仏山地下鉄の駅名にも使われている[18]

  • 栘(旧7032) - 雲南省バラ科ドキニア属の植物の地方名「栘衣(duōyī)」やこれにまつわる地名によく使われている。
  • 殽(旧7525) - 『左伝』秦晋殽之戰などの用例がある地名字であるが、「淆」の異体字扱いとなった[19]

人名用字では、姓に見られる「」(旧8069)は「2859 」の繁体字と処理され[20] 、「」(旧7245)は「3171 」の異体字と処理され[21] 、削除された。また、「」(旧7921)は以前という意味のため「」の異体字とはしないと明記されていたが、異体字扱いとなった[22]

普通話の表記用字という原則によって削られたと見られる字。

  • (旧7409) - 広東語 方言字として多用される。
  • (旧7802) - 和製漢字。日本の人名、地名以外に、樋屋奇応丸が香港、台湾でも売られているなど、中国語文書でも一定の用例がある。

未収録字の例

削除された字以外に、現代中国語でも用例が認められる漢字であっても、意見募集稿にも正式表にも上がらなかった字もある。以下に例を挙げる。

科学技術用字

[王达][23] 、[犭更][24] [25] 、[代/糸][26] [27] 、[鱼央][28] 、[鱼回]()[29]

中国地名用字

[30] [31] [32] 、[土扇][33] 、㴎([氵奈])、㵲([氵舞])[34] 、[氵鲜](㶍)[35] [36] 、[石太][37] 、[王鲁][38] 、竜[39] 、碁[40] 、攩[41] [42] 、遶[43] 、[儿鸟](鶂)[44]

台湾地名用字

塭、[山卡]()、舺、鯓

香港地名用字

乪、䃟([石散])

マカオ地名用字

�([口孟])

卑猥語

屌、屄、肏

一般語

〇、跩、诘[45]

古字

糸、釆

台湾国語用字

矽、傚、啗、妳、梱、搾、牠、兛、碁、砈、搧、癒、檮、煖、酜、醣、鉼、鈽、鎝、鍅、錼、鎚、鑐、鋂、鎦、鉳、鉲、鑀、[舟必][46] [47]

方言字

冇、冚、冧、蚵、捱、傢、𤆵([火巴])ビャンビャン麺のbiang

日本用字

丼、俵、咲、堀、堺、塀、畑、畠、冴、笹、栃、壱、辻、込、瑠、扱、捗、弐、峠、枠、匂

人名用字

贠、珮、琍、瑯、璿

民族名など

僜、佉[48] [49]

インターネット用字

囧、槑、烎

字体の変化

配置の変化

6837 - 旧6890 と比べて、左に置かれた部首を、上に置くように変更された。

画数の変化

5364 - 旧5640の車の上の一を取り、14画から13画に変更。

繁体字、異体字表

古書の閲覧や台湾香港マカオとの交流の便を図るための参考用として『規範字と繁体字、異体字対照表』が添付され、3120字に対して繁体字計2574字、異体字計1023字の字体が示された。ただし、中には下記のような不備も多くみられる。

  • 0522「」に対する「産」のように、繁体字ではなく日本の字体となっているもの(繁体字は「」)。0650「」は「殻」(繁体字は「殼」)。また、しんにょうを持つ繁体字も、いずれも日本の字体のように1点しんにょうとなっていて、2点ではない。「益」など上に「ソ」を書く字は、「八」と作る繁体字と異なる。
  • 0165「」に対する「爲」のように、Big5の字体(この場合は「為」)と異なるもの。
  • 0508「」に対する「爭」、2201「」に対する「」のように繁体字の字体が例示されてないもの[50]
  • 1573「」に対する「」、0642「」に対する「」のように、筆画のつながりが異なり、画数も異なるが記載されていないもの。草冠も3画の「艹」で、4画の繁体字と異なる。
  • 0568「」に対する「異」のように繁体字を異体字としてのみ扱うもの。
  • 0438「」に対する「囘、」のように、よく見られる異体字が抜けているもの。

電算処理

8105字の内、細かな字形の違い[51] を包摂すると、2013年現在のUnicodeに収録されていると考えられる字数は7987字で、内、Unicode 1.0の『CJK統合漢字』に7831字、Unicode 3.0の拡張Aに72字、Unicode 3.1の拡張Bに35字、Unicode 3.2の拡張Cに44字、Unicode 6.0の拡張Dに5字である。未収録字は118字[52] あり、6979、6774、7219、7506、7672以外はUnicodeに収録済みの繁体字を簡化した字体であるが、今後追加申請が行われると共に、中国国家規格(GB)にも盛り込まれると見られる。

画数

  • 本表で最も画数が少ない字は1画の「0001 」と「0002 」で、最も画数が多い字は36画の「6500 」である。27画以上の字は、ほかに30画の「6499 」のみ。
  • 第一級字で最も収録字数が多い画数は9画で414字、第二級字で最も収録字数が多い画数は11画で332字、第三級字で最も収録字数が多い画数は11画で184字、全体でもっとも収録字数が多い画数は9画で899字。
  • 第一級字の平均画数は9.70画、第二級字の平均画数は11.75画、第三級字の平均画数は11.99画、全体の平均画数は10.91画。
  • なお、おおざとこざとへん(阝)、きにょう(鬼)など、日本と画数の数え方が異なる字があるが、本表に示された画数による。

部首別

  • 収録字を『康煕字典』に準じた214部首に当てはめると、最も多いのは水部の字で485字ある。次いで艸部が406字、口部363字、木部359字、手部300字と続く。学術用字を充実させた結果、従来の文字コードや漢字表では収録が乏しかった魚部は117字、鳥部は97字と比較的多く収録されている。また、化学用字や人名用字として金部の字や地名用字としての邑部の字も増えた。

脚注、参考文献

  1. ^ a b "国務院『通用規範漢字表』の公布に関する通知(国発〔2013〕23号)" (中国語). 中華人民共和国中央人民政府 (2013年8月19日). 2013年9月3日閲覧。
  2. ^ a b c 国務院弁公庁秘書局、『通用規範漢字表』、2013年6月18日、北京、国務院弁公庁秘書局
  3. ^ 国家語言文字工作委員会、『GB13000.1 字符集漢字字序(筆画序)規範』、1999年、国家語言文字工作委員会。 国家語言文字工作委員会語言文字規範 GF3002-1999
  4. ^ "《现代汉语常用字表》" (中国語). 中華人民共和国教育部 中国語言文字網. 2013年10月5日閲覧。
  5. ^ 丫、巳、曰、壬、亢、卉、戊、叩、冉、卯、弗、弘、戎、戌、尧、汝、妃、吾、酉、尬、佐、沁、祀、矣、拎、苑、迪、咋、咄、迭、庚、怡、妮、迢、拽、哉、荫、査、哇、哔、贻、禹、兹、浏、癸、绚、桔、哦、峨、悖、冥、娟、娥、焉、聆、婪、啪、鄂、帷、崛、豚、羚、惟、寅、隋、睐、皓、皖、馈、斌、渝、渲、愣、禅、禄、缉、瑙、尴、睫、跤、毀、鲍、滇、墟、蔡、槛、辗、瞅、嘛、魅、煽、潇、肇、磊、霄、嘻、镑、鲨、藉、瞩、簧、曝、巅、馨、黯、赣」の106字が入り、「邢、芍、凫、阱、坞、杈、鸠、诅、苫、奄、昙、咆、刽、瓮、衩、虱、荚、茴、荞、荠、柰、枷、昵、盅、哙、秕、奕、飒、涎、荸、桅、蚜、铆、秫、笆、胯、袒、娩、麸、掖、掸、晤、冕、畦、蛆、蛉、赊、铡、铣、笤、傀、舷、翎、裆、谒、揖、蛔、锉、黍、牍、腌、焙、搪、毂、蓖、蒿、楔、楣、硼、碉、蛹、嗤、锨、锭、肄、滓、蔫、榛、碴、辕、嘁、幔、箍、漩、嫡、缨、樊、镊、膘、潦、嬉、螟、篙、膳、燎、壕、檩、蟥、镣、儡、糜、癞、攒、攘、蘸、楞」の106字が外れた。
  6. ^ a b 中国語の「宋体」は日本語の「明朝体」に当たる。
  7. ^ 李宇明、「規範漢字和『規範漢字表』」『中国語文』、2004年第1期、pp61-69、中国語文、北京[1]
  8. ^ "教育部2009年第12次新闻发布会 介绍《通用规范汉字表》研制及公开征求意见工作情况(教育部2009年第12回ニュース発表会 『通用規範漢字表』の作成とパブリックコメントの状況)" (中国語). 中華人民共和国教育部 中国語言文字網. (2009年8月12日). http://www.china-language.gov.cn/14/2009_8_12/1_14_4288_0_1250065175640.html 2013年10月5日閲覧。 
  9. ^ "我国就《通用规范汉字表》向社会公开征求意见(中国が『通用規範漢字表』に就いてパブリックコメントを求める)" (中国語). 中国法院網. (2009年8月13日). http://www.chinacourt.org/html/article/200908/13/369301.shtml 2013年10月5日閲覧。 
  10. ^ 二級字に「袷、皙、慄、瞋、噘、蹚」の6字、三級字に「仝、氾、邨、吒、飏、昇、並、迳、迺、钜、祕、叚、陞、𪟝、桠、赀、[钅卢]、脩、砦、堃、喆、椀、甦、淼、犇、殽、𫖯、凓、缐、勠、劄、(賸)、麹、曏、谿、釐、瓌、[马雚]、龢、甯、扞、𠡠、菉、絜、蒐」の45字。
  11. ^ ()、、[口恶]()、
  12. ^ ""通用字表"新增1300字 原则上不恢复繁体字(『通用字表』は1300字を増加、繁体字は原則復活させない)" (中国語). 新華網. (2009年8月13日). http://news.xinhuanet.com/edu/2009-08/13/content_11873753.htm 2013年9月27日閲覧。 
  13. ^ "《规范汉字表》收录51个异体字 怪名不愁上户口(『規範漢字表』に51異体字を収録 珍しい名も戸籍で困らない)" (中国語). 鳳凰網. (2009年8月13日). http://news.ifeng.com/mainland/200908/0813_17_1299427.shtml 2013年9月27日閲覧。 
  14. ^ 䎬、馎、刬、鲿、䌷、䲠、缞、鳆、㧏、㱮、硷、䴗、䦆、钶、㧟、䙌、唡、䴕、䁖、铓、鲶、䴙、钹、䲡、鹙、䦂、䦅、谉、㧐、㳠、赕、饧、䴘、饦、㖞、阌、䦷、诶、䥺、挜、䜩、鹥、䲣、鲗、鲝、鳣、䦶、荮、谘
  15. ^ "国家語委官員称44漢字微調不影響生活(国家語言委員会の公務員曰く 44漢字の微調整は生活に影響しない)" (中国語). CCTV.com (2009年8月20日). 2013年9月27日閲覧。
  16. ^ 琴、瑟、琵、琶、徵、魅、籴、汆、褰、衾、巽、撰、馔、噀、亲、榇、杀、刹、脎、铩、弑、条、涤、绦、鲦、茶、搽、新、薪、杂、寨、恿、瞥、弊、憋、唇、蜃、蓐、溽、缛、褥、耨、薅、毂
  17. ^ "解放分析:新編規範字表「減」中有「加」" (中国語). 解放日報. (2013年8月28日). http://www.jfdaily.com/a/6785014.htm 2013年9月27日閲覧。 
  18. ^ "广佛地铁一期平面示意图(広仏地下鉄第一期路線図)" (中国語). 佛山市铁路投资建设集团有限公司 (2012年3月19日). 2013年10月5日閲覧。
  19. ^ 国務院弁公庁秘書局、「規範字与繁体字、異体字対照表」『通用規範漢字表』p62、2013年、北京、国務院弁公庁秘書局
  20. ^ 『通用規範漢字表』「規範字与繁体字、異体字対照表」p72
  21. ^ 『通用規範漢字表』「規範字与繁体字、異体字対照表」p74
  22. ^ 国務院弁公庁秘書局、「規範字与繁体字、異体字対照表」『通用規範漢字表』p53、2013年、北京、国務院弁公庁秘書局
  23. ^ 天然樹脂[王达]玛树脂」(ダンマル)の表記に使う。
  24. ^ テリアを意味する。
  25. ^ 蔃莍」は生薬 百合の別名。
  26. ^ デニールを意味する。林金堂、「粗[代/糸]撚黏繊維的開発及其在地毯上的応用」『化繊与紡織技術』1990年1期p26、1990年、広州、広東省化学繊維研究所
  27. ^ 舢舨」はサンパン
  28. ^ アカザ
  29. ^ ギギ科淡水魚 レイオカッシス・ロンギロストリスの地方名。
  30. ^ 江西省于都県に鉄山壠鎮がある。「1055 」が収録されているが異体字表に対応の記載がない。
  31. ^ 甘粛省 楡中県に龔家屲(wā)村があるなど、甘粛省、寧夏回族自治区に用例が多い。
  32. ^ 江西省 井岡山市に黄垇(ào)郷があった[2]。現在、郷名は「坳」で表記されるが、異体字表に対応がない。福建省、四川省広東省などにも村名の用例がある。
  33. ^ 江蘇省蘇州市 呉江区に横[土扇](shàn)鎮がある。
  34. ^ 貴州省鎮遠県に㵲(wǔ)陽鎮がある。
  35. ^ 四川省渠県に㵲(xuǎn)渡鎮がある。
  36. ^ 河南省魯山県(ràng)河郷がある。
  37. ^ 英徳市に下[石太](dài)鎮がある。
  38. ^ 上海市崇明県の地名。"漢字の写真字典 名称文字". Yoshio Yoshida (2013年4月21日). 2013年10月5日閲覧。
  39. ^ 雲南省 玉渓市 新平イ族タイ族自治県に者竜郷がある。
  40. ^ 広州市に石碁街道が、山東省莒県に碁山郷がある。
  41. ^ 四川省成都市に攩(dǎng)扒街街道がある。
  42. ^ 四川省馬辺イ族自治県に荍(qiáo)壩郷がある。
  43. ^ 江西省宜春市袁州区に遶(rào)市鎮がある。
  44. ^ 貴州省納雍県に左鶂(lí)戛イ族ミャオ族郷がある。
  45. ^ これらは『新華字典』(商務印書館)に見出し字として掲載。
  46. ^ 体のビルジを意味する。
  47. ^ Big5の1級漢字5,401字に相当するもので異体字以外では、他に镙、韹、麴、煆、鴃、鶸、軏、釭、偯、屘、帟、拚、毚、沬、渖、湩、燸、涊、猓、缍、裯、褽、覜、訑、詨、詻、譆、豭、賸、遝なども未収録。また、単位の兙、兞、兝、兡、兣、嗧、瓩、糎も未収録。
  48. ^ 「佉卢文」はカローシュティー文字
  49. ^ 「嚈哒人」はエフタル
  50. ^ 0718「」と「」、0751「」と「別」、0764「」と「禿」なども微妙に異なるが記載はない。
  51. ^ 「晋」、「争」、「即」などを含む字はフォントにより字体画数が変わる場合がある。
  52. ^ 4004、6520、6547、6551、6553、6560、6564、6594、6616、6623、6630、6642、6670、6671、6672、6688、6731、6732、6737、6739、6744、6747、6749、6761、6774、6791、6806、6846、6847、6848、6884、6919、6920、6921、6937、6941、6951、6959、6979、7004、7006、7007、7008、7009、7019、7053、7070、7093、7097、7114、7146、7161、7166、7219、7224、7234、7241、7249、7254、7260、7273、7274、7275、7279、7326、7334、7347、7361、7373、7375、7382、7405、7414、7421、7423、7456、7465、7503、7506、7512、7519、7534、7537、7541、7561、7562、7654、7661、7672、7682、7706、7707、7712、7737、7746、7756、7789、7824、7831、7841、7855、7872、7874、7894、7937、7939、7943、7945、7958、7961、7963、7974、7987、8030、8042、8062、8073、8079

外部リンク

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