コンテンツにスキップ
Wikipedia

「ヤシャブシ」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
19行目: 19行目:


==概要==
==概要==
高さは1-15mくらいになり、[[本州]]の[[東北]]南部([[福島県]]あたり)以西の[[太平洋]]側と[[四国]]、[[九州]]の低山帯、[[平野]]部などに分布し、[[日本海]]側にはほとんど自生しない。また、[[街路樹]]として植えられることもある。樹皮は灰褐色で、老木になるにつれ次第に[[短冊]]状にはがれてくる。[[枝]]はよく分岐する。[[葉]]は互生し濃い[[緑色]]、幅は狭く卵形で、単鋸歯。長さは4-10cm、幅は2-4cmくらい。[[側脈]]は通常13-18対で多くても20対以内。また、陽樹であり、日当たりを好むところから、[[法面]]や崩壊地、はげ山などにも生えやすい。[[種子]]は光発芽種子であり、発芽に際し光を必要とする。さらにヤシャブシ類は根に[[根粒菌]]を共生させていることから、痩せ土でもよく生育することもあり、山地の[[緑化]]にしばしば利用される。
高さは1-15mくらいになり、[[本州]]の[[東北]]南部([[福島県]]あたり)以西の[[太平洋]]側と[[四国]]、[[九州]]の低山帯、[[平野]]部などに分布し、[[日本海]]側にはほとんど自生しない。また、[[街路樹]]として植えられることもある。樹皮は灰褐色で、老木になるにつれ次第に[[短冊]]状にはがれてくる。[[枝]]はよく分岐する。[[葉]]は互生し濃い[[緑色]]、幅は狭く卵形で、単鋸歯。長さは4-10cm、幅は2-4cmくらい。[[側脈]]は通常13-18対で多くても20対以内。また、陽樹であり、日当たりを好むところから、[[法面]]や崩壊地、はげ山などにも生えやすい。[[種子]]は(追記) [[ (追記ここまで)光発芽種子(追記) ]] (追記ここまで)であり、発芽に際し光を必要とする。さらにヤシャブシ類は根に[[根粒菌]]を共生させていることから、痩せ土でもよく生育することもあり、山地の[[緑化]]にしばしば利用される。


ヤシャブシ(夜叉五倍子)の名の由来は、熟した果穂が夜叉にも似ていることから。また果穂は[[タンニン]]を多く含み、五倍子(フシ)の代用(タンニンを多く含有する五倍子は古来、黒色の[[顔料]]、[[お歯黒]]などに使われてきた)としたためといわれる。
ヤシャブシ(夜叉五倍子)の名の由来は、熟した果穂が夜叉にも似ていることから。また果穂は[[タンニン]]を多く含み、五倍子(フシ)の代用(タンニンを多く含有する五倍子は古来、黒色の[[顔料]]、[[お歯黒]]などに使われてきた)としたためといわれる。

2011年6月6日 (月) 19:17時点における版

ヤシャブシ
ヤシャブシ
ヤシャブシ (兵庫県 2007年4月12日撮影)
分類
: ヤシャブシ A. firma
学名
Alnus firma
Siebold et Zucc. (1846)
和名
ヤシャブシ(夜叉五倍子)
英名
Japanese green alder

ヤシャブシ(夜叉五倍子、学名:Alnus firma)はカバノキ科 ハンノキ属落葉高木。日本固有種で、西日本に多く自生する。近年、花の花粉花粉症などのアレルゲンとなることが知られるようになった。

概要

高さは1-15mくらいになり、本州東北南部(福島県あたり)以西の太平洋側と四国九州の低山帯、平野部などに分布し、日本海側にはほとんど自生しない。また、街路樹として植えられることもある。樹皮は灰褐色で、老木になるにつれ次第に短冊状にはがれてくる。はよく分岐する。は互生し濃い緑色、幅は狭く卵形で、単鋸歯。長さは4-10cm、幅は2-4cmくらい。側脈は通常13-18対で多くても20対以内。また、陽樹であり、日当たりを好むところから、法面や崩壊地、はげ山などにも生えやすい。種子光発芽種子であり、発芽に際し光を必要とする。さらにヤシャブシ類は根に根粒菌を共生させていることから、痩せ土でもよく生育することもあり、山地の緑化にしばしば利用される。

ヤシャブシ(夜叉五倍子)の名の由来は、熟した果穂が夜叉にも似ていることから。また果穂はタンニンを多く含み、五倍子(フシ)の代用(タンニンを多く含有する五倍子は古来、黒色の顔料お歯黒などに使われてきた)としたためといわれる。

早春の3月頃、葉が出る前に花を開く。雌雄同株、雌雄異花で、雄花序は、枝の先の方に1〜5個付き、開花すると下垂する尾状花序である。雄花序より下の芽である雌花序は小さく直立または斜立する穂状花序で、一つの芽から1-2個付ける。

近縁種

オオバヤシャブシ A. sieboldiana
本州の太平洋側に多く自生し、海岸に近い地帯に分布する。高さ10-15mくらい。葉の側脈は12-16対で葉の幅が広く、果穂は1個のみ上向きに付く。花はヤシャブシとは逆に枝の先端から葉、雌花、雄花の順につく。伊豆あたりの太平洋沿岸に多く自生。
ヒメヤシャブシ A. pendula
日本海側や雪の多い地帯や高山にまで分布し、ヤシャブシに比べ葉が細長く、側脈が20対以上とより多くある。
ミヤマヤシャブシ A. firma var. hirtella
特徴や分布はヤシャブシとほぼ同じながら、葉裏に毛が多い。

ヤシャブシとアレルギー

西日本では花粉症との関係が指摘され、ヤシャブシ花粉により口腔アレルギー症候群を引き起こすこともある。昔、兵庫県六甲山周辺を造成した際、兵庫県がヤシャブシを植栽したところ、2月頃の花粉の飛散期に、ヤシャブシの花粉が原因で花粉症を発症した人が通常の症状に加え、フルーツアレルギーを併発した。このため最近では市民グループなどが伐採を行っている。ヤシャブシの花粉はスギなどに比べ、重いためより重篤なアレルギーを引き起こしやすいとされる。また、花粉の飛散時期は1月-5月と長い。

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /