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[画像:キッチンは創造のみなもと]

本来、私たちはなにかを作ることを楽しみとする生きものです。そして、食べることは自分を形成することと同じです。そこに立ったとき、「うまいものを作って食べたい!」と意欲がわいてくるようなキッチンであることがいちばんですよね。台の上に不要なものが散乱していると、くじけます。読んで字のごとく、キッチンは台のある所、いつでもきれいに片づいた台があれば、よしっ、と腕まくりして、すぐに作業にとりかかれます。

でも、料理をするたびに台の上はものであふれてスペースが足りない......キッチンを散らかさないで、つねに進化させるには、どうすればいいのでしょうか? それは、自分の料理のしかたや片づけ作業の手順が、正しいかどうかを見直すことにほかなりません。

これから作る料理に必要な材料、調味料、道具を台の上に揃え、足りないものはないかとチェックします。最初に出して、使い終わった順に仕舞うのです。このとき、収納の位置も改良の余地はないかとチェックします。

調理の途中で探し物をすれば、気が動転して事故につながりますし、材料をさわった手で調味料の瓶をさわったりするのも不衛生です。その汚れが容器にも収納庫にも付着します。「あ、しまった」の連鎖は、精神的にも悪い方向へと流れてしまうことでしょう。

肝心なことは、キッチンは危険を伴う場であるという前提です。言い換えれば、キッチンで緊張感を失することほど危険な行為はありません。火をつけたら絶対に目を離さず、音を聞き分け、料理の最後まで見届けて、火をあやつる緊張と責任を感じていましょう。

同じように、切れ味の悪い刃物ほど危険なものはありません。材料にすっと刃が入らないと、つい、力で押してしまいがちです。生ものは滑りやすく、手元が狂ってけがをします。刃物は鋭く、扱いは慎重に。

ときどき道具を見直して、要、不要を吟味しましょう。むしろ、不足はあなたを進化させます。なにもないとき、手という万能の道具を私たちは使いはじめます。ちぎったり、つぶしたり、混ぜたりこねたりする手......キャンプ料理が楽しくてしかたがないのは、頭をフル回転させて、手をフルに使うので、脳が興奮するのですね。

キッチンは創造のみなもとです。家族のだれもが料理を作れるように、いっしょに作りながら教え、子どもたちに伝えましょう。

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  • 材料を切りそろえたり、かたちを整えたり、味つけして、煮たり焼いたりして、食べものをこしらえることという意味の他に、ものごとを上手に処理することの意味もあります。五感を使って、頭もからだもフルに使って、準備から後始末までの一連の作業は、人が自立するうえで必要な条件が揃っています。生きるための基本的な知識であり、知識の教育、道徳教育、体育教育の基礎となるべきものと位置づけられた「食育基本法」は、2005年に成立しました。
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