嫁ぎたる子の部屋灯し年の豆
原山幸子
沖
199904
国会の裏に踏みたる年の豆
中谷まもる
火星
199904
年の豆五捨六入をしてをりぬ
関根洋子
風土
199905
八十粒といふ年の豆如何にせむ
能村登四郎
芒種
199911
鬼の豆てのひらにのり年の豆
山尾玉藻
火星
200004
道の辺の水子地蔵に年の豆
村上和子
ぐろっけ
200005
年の豆社員食堂でも配り
藤野佳津子
円虹
200005
年の豆噛みをりピアス動きをり
柳生千枝子
火星
200005
年の豆撥ねとばしたる木彫熊
藤田宏
澪
200005
鳥の来る庭隅年の豆放る
阿部晶子
澪
200005
年の豆入院食に隻眼に
安陪青人
雨月
200104
年の豆地震の裂け目へ転がれり
品川鈴子
船出
200104
掃除機の邪慳に吸ひし年の豆
泉田秋硯
苑
200105
年の豆皮を大事と炒りゐたり
夏秋明子
火星
200105
年の豆数へくれしを掌にあます
岸風三樓
朝
200202
年の豆夫は撒かぬと云ひ張って
松沢久子
いろり
200203
年の豆年の数ほど食べられず
大関靖博
沖
200204
年の豆古稀とは食うべきれぬ数
浅井青二
雨月
200205
長靴に一夜ひそみぬ年の豆
池元道雄
馬醉木
200205
ひと粒を十と数ふや年の豆
平田紀美子
風土
200205
天国はガラスの向こう年の豆
東亜未
あを
200303
外国の豆やも知れぬ年の豆
宮本俊子
雨月
200303
九つの皿に十づつ年の豆
二村蘭秋
雨月
200304
父の世の桝の刻印年の豆
阿部正枝
絵具箱
200304
幾度も数へ直せり年の豆
小峯雅子
酸漿
200304
園児等の手に手に持てる年の豆
東芳子
酸漿
200304
年の豆ぽりぽりかんで七十余
板倉幸子
築港
200304
年の豆齢ほとほと古りにけり
有山紫於
雨月
200305
年の豆数へてゐしを忘れをり
後藤立夫
ホトトギス
200306
年の豆傘寿越えたる思惟仏
大井貞一
京鹿子
200306
年の豆撒くつれあひの分も撒く
伊藤白潮
鴫
200403
ゴムの木の鉢に落ちたる年の豆
岡本眸
朝
200403
年の豆伴には逝けぬ夫婦なり
戸田和子
鴫
200404
寺で買ふ袋入りなる年の豆
加納花子
築港
200404
恙なく齢重ねし年の豆
大森玲子
築港
200404
年の豆鴛鴦と分かちて食べにけり
上原カツミ
帆船
200404
年の豆半分食めど恙無し
中田寿子
ぐろっけ
200405
退院を祝ぎ噛みしめな年の豆
二村蘭秋
雨月
200405
陰膳に年の豆置く夕べかな
竹内喜代子
雨月
200405
年の豆三十までで寝てしまふ
浜田はるみ
遠嶺
200405
閼伽井屋の屋根にも飛んで年の豆
東尾?G子
馬醉木
200405
年の豆ぽりぽり食べて生きてゐる
木田千女
狩
200406
父祖よりの桝を大事に年の豆
橘澄男
山景
200408
鬼を追ふ幼声して年の豆
鎌倉喜久恵
あを
200504
夜風澄む粗掴みして年の豆
土肥屯蕪里
雲の峰
200504
年の豆思ひ出豆となりにけり
林翔
沖
200504
鬼のゐる闇へぶつけて年の豆
吉原理夫
対岸
200504
年の豆胸の小鬼は払ひえず
藤井良子
濱
200504
老漁夫の手づかみに受け年の豆
前田青紀
馬醉木
200505
年の豆百と二数ふ母在りき
馬場三枝子
集
200507
八十八ヶ食ふに骨折る年の豆
松崎鉄之介
濱
200604
年の豆かぞふる不承ぶしょうにて
窪田佳津子
雨月
200605
山の神桁を外せし年の豆
丸井巴水
京鹿子
200605
小窓から主が留守の年の豆
佐々木はな子
遠嶺
200607
間違へず九十四個の年の豆
二村蘭秋
雨月
200704
美濃紙を折りて桝とす年の豆
井上幸子
酸漿
200704
遠来の友と拾へり年の豆
小松渓水
酸漿
200704
振舞の湯呑みの底に年の豆
大井邦子
ぐろっけ
200705
外つ国の子の荷に加ふ年の豆
三輪温子
雨月
200705
参道の雪に沈めり年の豆
安部康子
万象
200705
振り返るなく年の豆打ち帰る
本城布沙女
雨月
200708
いまさらに驚く年の豆の数
大橋敦子
雨月
200803
気づきてはまた口にして年の豆
大橋敦子
雨月
200803
年の豆今日も明日もあさっても
大橋敦子
雨月
200803
瘤とりの翁にも分く年の豆
伊藤白潮
鴫
200803
年の豆声なき声の祈りかな
広瀬敏子
酸漿
200804
仏にも鬼にもなれず年の豆
水成玲子
春燈
200804
豆腐屋の届けてくれし年の豆
八田マサ子
馬醉木
200804
よく合はぬ義歯に難渋年の豆
御橋忠一
濱
200804
九十爺九つほど食ふ年の豆
御橋忠一
濱
200804
倦怠期砂糖を塗す年の豆
大空純子
ぐろっけ
200805
年の豆握つて闇へ撤きにけり
中道愛子
槐
200805
年の豆撒かずに確と食べにけり
和田郁子
璦
200904
やれやれとお茶を飲み干す年の豆
長崎桂子
あを
200904
禅寺の不浄門より年の豆
小林馨
火星
200904
年の豆身ぬちに義歯といふ部品
守屋井蛙
酸漿
200905
年の豆も院内食のうちなりき
植田利一
春燈
200905
老人に年の豆とはボーロなり
大橋敦子
雨月
201003
脳活性の暗算すらすら年の豆
伊東和子
璦
201004
年の豆双手の窪に受けてさて
井田実代子
雨月
201005
紙の枡子が作りたる年の豆
兼子栄子
酸漿
201005
長生きをしすぎたといふ年の豆
中山皓雫
鴫
201005
引き潮の波紋に残る年の豆
綱川恵子
万象
201005
年の豆とんで南京玉すだれ
梶浦玲良子
六花
201005
おほかたは地べたに落ちて年の豆
山田和夫
笹
201006
大台に届く喜び年の豆
井田実代子
雨月
201009
年の豆八十粒の掌にあふれ
塩路五郎
璦
201104
ひと粒を十と数へて年の豆
千田敬
沖
201104
幼児のこゑに睦ぶや年の豆
安立公彦
春燈
201104
多すぎて食べぬ二人や年の豆
中田寿子
ぐろっけ
201105
年の豆すくふやぴたと歳の数
井田実代子
雨月
201105
年の豆九つ食べ寿
島貫寿恵子
雨月
201105
七十を数へ切なき年の豆
森下康子
璦
201204
友逝く
年の豆数ふるすべなきこの夕べ
植田利一
春燈
201204
入れ歯欠き無念や年の豆喰へず
小林清之介
風土
201204
ダルビッシュ張りのフォームで年の豆
蓮尾みどり
ぐろっけ
201205
年の豆両の掌あふれけり
古林田鶴子
ぐろっけ
201205
豆殻の箸で炒りけり年の豆
小林愛子
辻楽師
201206
年の豆一合枡のてんこ盛り
川井秀夫
ろんど
201206
年の豆煎りてをるなり炮烙鍋
北崎展江
くりから
201209
山宿の膳に添へられ年の豆
辻知代子
璦
201304
赤ん坊の握り締めたる年の豆
加藤みき
槐
201304
拾ひたる年の豆まだあたたかき
石脇みはる
槐
201305
便座にも年の豆撒く清掃婦
藤田かもめ
ぐろっけ
201305
年の豆十分の一を掌に
古林田鶴子
ぐろっけ
201305
越前和紙に四角く包む年の豆
山本耀子
火星
201305
掌に受くる傘寿の年の豆
城戸緑
末黒野
201305
いつよりか数へずなりし年の豆
窪田佳津子
雨月
201405
娘に送る荷物の隅に年の豆
中道愛子
槐
201405
桟敷より幼子目ざし年の豆
有賀鈴乃
末黒野
201405
八十五食ぶかと問はる年の豆
寺岡ひろし
雨月
201405
神棚に一合桝の年の豆
國保八江
やぶれ傘
201406
宝船の絵に包まれて年の豆
竹内喜代子
雨月
201406
賑やかに拾ふ子もなし年の豆
斉藤裕子
あを
201504
二人して声は大きく年の豆
斉藤裕子
あを
201504
年の豆熄まぬ夜雪へ打ちにけり
小林輝子
風土
201505
開きたる絵本をこぼる年の豆
原田しずえ
万象
201505
年の豆あたりし矮鶏のひた走り
乗光雅子
雨月
201505
年の豆数へず旅に歳忘れ
荻巣純子
雨月
201505
眼鏡拭くさびしき鬼や年の豆
高野春子
京鹿子
201505
婆三人寄りて数ふる年の豆
石川叔子
空
201506
消え残る雪を穿てり年の豆
原田しずえ
万象
201605
小袋の一つで足りず年の豆
森清堯
末黒野
201605
正座して年の豆手にあふれける
中貞子
槐
201605
年の豆数へ米寿へあと三年
玉置かよ子
雨月
201605
年の豆夫と齢を噛みしむる
塩見英子
雨月
201605
先生と一つ違ひの年の豆
落合由季女
雨月
201704
定命とふ言の葉の味年の豆
久保田雪枝
雨月
201705
十分の一で良いわと年の豆
廣畑育子
六花
201705
年の豆百から七を引くドリル
塙誠一郎
沖
201705
生かさるる幸せ分かつ年の豆
高埜良子
春燈
201705
鬼の面附き年の豆買ふことに
安藤久美子
やぶれ傘
201805
看護師の数へてくれし年の豆
林徹也
空
201807
年の豆打つ神の年男
田代民子
空
201808
端なれども仏にも年の豆
田代民子
空
201808
二合半の酒のつまみや年の豆
高木邦雄
末黒野
201905
心中の鬼の数だけ年の豆
西村白杼
京鹿子
201905
馬齢だけ虚子を超えたる年の豆
木村享史
ホトトギス
201908
年の豆ざしきわらしが数へをり
山田正子
空
201909
押し合へる顔にたばしり年の豆
大橋櫻坡子
雨月
202002
生涯を通す現役年の豆
豊谷青峰
春燈
202004
ため息のひとつ深きや年の豆
荒井千瑳子
沖
202004
年の豆いつしか減らす齢かな
高埜良子
春燈
202004
仏間より一擲年の豆を撒く
小河原清江
梛の木
202007
年の豆掌よりこぼるる齢となり
門伝史会
風土
202105
邪気払ふ両手に余る年の豆
佐藤勝代
末黒野
202105
疫病打つべしと掴んで年の豆
木村享史
ホトトギス
202108
時の気に怖ぢつ向かひつ年の豆
谷口律子
末黒野
202204
二つ三つ投げてはつまみ年の豆
岡村尚子
空
202211
2023年2月5日
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