割りに合はしませんと婆大豆打つ
朝妻力
俳句通信
200001
豆打ちの桟敷ととのふ風の筋
柴田由乃
風土
200004
豆打つやお客相手に五七五
森理和
あを
200103
豆打やマンションの階ころび落つ
畑中シヅエ
ぐろっけ
200205
豆打ちの誰かに似たる鬼の顔
小田知人
ぐろっけ
200206
豆打や不条理のやみ思ひきり
長崎桂子
あを
200504
婆の口ときに一文字大豆打
安達実生子
苑
200702
豆打ちし母の素足に紅させり
山尾玉藻
火星
200703
高階の闇に豆打つ太き声
寺沢千都子
万象
200705
豆打ちにどんじりの鬼手を振りて
大井邦子
ぐろっけ
200705
豆打てば逃ぐる園長鬼語言はず
岡有志
ぐろっけ
200705
振り返るなく年の豆打ち帰る
本城布沙女
雨月
200708
森の端に陽を延べ老婆大豆打つ
佐藤鬼房
ぐろっけ
200710
イスラムの祈りのかたち大豆打つ
塩出眞一
ぐろっけ
200710
豆打つて今開かれん未来の扉
津田礼乃
遠嶺
200805
節分の袴の君に豆打たる
酒本八重
沖
200904
豆打つや善人なほ悪人をや
神蔵器
風土
201003
山裾に豆打つ音の響きけり
伊藤いな栄
酸漿
201003
家中の明かりをともし豆打てり
石黒興平
末黒野
201005
泣きながら逃げながら子は豆打てり
苑実耶
空
201006
豆打つや南南東を恵方とす
神蔵器
風土
201103
豆打たな先づ胸裡の天邪鬼
富川明子
沖
201104
姿なき鬼に豆打つ出入口
松下八重美
夢見の鐘
201203
豆打つや團十郎の飛び六方
神蔵器
風土
201303
暗闇に隠るる鬼へ豆打たず
安立公彦
春燈
201304
飴絡め豆打ち鬼をまどはせり
品川鈴子
ぐろっけ
201402
豆打つや逢魔が刻を見極めて
服部早苗
空
201405
豆打って真闇のにほひ返り来し
窪田佳津子
雨月
201405
引越しの荷の落ちつきて豆を打つ
小林朱夏
空
201504
年の豆熄まぬ夜雪へ打ちにけり
小林輝子
風土
201505
豆を打つ鬼籍に入りしひとを恋ひ
鈴木撫足
春燈
201505
不条理な世に豆をうつ更に打つ
樋口みのぶ
空
201603
追儺鬼豆に打たれて気負けり
穐好樹菟男
馬醉木
201604
豆打つや身の裡の鬼遣らふかに
安立公彦
春燈
201604
豆打つも打たるるもまた家人なる
土井三乙
風土
201605
認識と抒情の間に豆を打つ
内海良太
万象
201605
道に人居ぬときに打つ鬼の豆
山内碧
空
201605
豆を打つ我が身の鬼も外に出でよ
門間としゑ
末黒野
201605
豆打つも身の内にまだ鬼のをり
押田裕見子
空
201606
認識と抒情の間に豆を打つ
内海良太
青嶺
201612
一握の豆闇に打ち振り向かず
安立公彦
春燈
201704
泣きながら鬼へ豆打つ園児群れ
中原吟子
雨月
201704
豆打つや考のメモには福は外
多田光子
京鹿子
201705
受けてみよ上寿の老の打つ豆ぞ
後藤比奈夫
ホトトギス
201708
仏間にも鬼の気配や豆を打つ
石橋幾代
空
201808
年の豆打つ神の年男
田代民子
空
201808
久方の句作に疲れ豆を打つ
中澤弘
春燈
201904
豆打ちの支度の宮の外竃
田辺満穂
鴻
201905
豆打ちの方一間の櫓かな
田辺満穂
鴻
201905
竹鳴つて鬼打ち豆や雪に散る
石川桂郎
風土
202002
鬼打豆炒る母に父遠くをり
三上程子
風聴くや
202003
介護所の吾が部屋四角豆を打つ
田村すゝむ
風土
202004
喉仏出たる赤鬼豆を打つ
田中とし江
空
202010
迷ひなく鬼打ち豆を年の数
大日向幸江
あを
202103
豆を打つ日毎に増ゆる一人言
長尾タイ
末黒野
202105
鬼よりも恐ろしき人豆を打つ
中村重幸
沖
202105
疫病打つべしと掴んで年の豆
木村享史
ホトトギス
202108
憎めない鬼ばかりゐて豆を打つ
能村研三
沖
202204
鬼の豆打つ振りのみに済ましけり
土井三乙
風土
202205
豆を打つこの静けさに耐へかねて
平居澪子
六花
202205
豆を打つ鬼の渾名はギリシア語
田岡千章空
202211
2023年2月4日
作成