腕組みして寝入るのが好き冬の雨
菅原健一
沖
199903
冬の雨花屋の全身呼吸かな
津田このみ
月ひとしずく
199912
弓なりに冬の雨降る陶器市
辻のぶ子
俳句通信
200002
冬の雨花の奥まで花屋なり
岡本高明
槐
200003
表裏なき木賊に冬の雨しづか
大野英美
風土
200003
手配書は手配書らしく冬の雨
森津三郎
京鹿子
200003
糊鋏机辺に仕事冬の雨
松尾緑富
ホトトギス
200011
冬の雨仁王とぶかもしれない
森あみ子
船団
200103
冬の雨だれにも会はず坂の道
藤原紅
いろり
200104
山伏の喜捨の行脚や冬の雨
田中??子
円虹
200104
冬の雨テールランプの行列
久森知子
船団
200106
とめどなき映画のなかの冬の雨
寺田良治
船団
200107
綿棒の少し呆けて冬の雨
小枝恵美子
船団
200108
勾玉の揺れ止まるとき冬の雨
児玉硝子
船団
200108
日本に着陸したる冬の雨
稲畑汀子
ホトトギス
200112
歩道まで花舗の灯りや冬の雨
栗林松枝
春耕
200202
結納屋仏具屋灯る冬の雨
杉浦典子
火星
200203
冬の雨老いの甘えを叱られし
浜野茂
百鳥
200203
傘廻すことに疲れて冬の雨
坊城俊樹
ホトトギス
200205
短調のピアノの洩るる冬の雨
坊城俊樹
ホトトギス
200205
子の叱られてゐる夕べ冬の雨
坊城俊樹
ホトトギス
200205
お人柄偲べば冬の雨ぬくし
稲畑汀子
ホトトギス
200212
鳥羽湾の松鮮しき冬の雨
長崎桂子
あを
200301
骨壷に骨を押込む冬の雨
須佐薫子
帆船
200302
石垣の苔にしみこむ冬の雨
辰巳陽子
雲の峰
200302
冬の雨ステンドグラスなぞりゆく
坊城俊樹
円虹
200303
ふはふはの大きオムレツ冬の雨
田中??子
円虹
200303
冬の雨コーヒーの香と人のこゑ
加藤みき
槐
200303
編棒のかちあふ音や冬の雨
芝川百合子
京鹿子
200303
冬の雨新しき書を繙けり
関本真一郎
帆船
200304
冬の雨壁垂直に石切り場
川瀬さとゑ
雲の峰
200304
日曜はしづかに過ぎぬ冬の雨
石川英利
百鳥
200304
惜みても余りある死や冬の雨
安原葉
ホトトギス
200305
冬の雨水の都を濡らしけり
稲畑汀子
ホトトギス
200312
又彼を偲ぶ話題に冬の雨
稲畑汀子
ホトトギス
200312
冬の雨墓碑はまんべんなく濡れて
今瀬剛一
対岸
200401
足下に山梨くづる冬の雨
竹内弘子
あを
200401
しくしくと冬の雨あり石榴の実
安部里子
あを
200401
冬の雨光の渦を作りけり
矢野洋子
対岸
200402
冬の雨千年榧のぬくみかな
谷村幸子
槐
200403
けふ奈良の冬の雨なる匂ひかな
吉田島江
火星
200403
初冬の雨は包むが如く来る
滝青佳
ホトトギス
200403
冬の雨仏滅といふしづかな日
野澤泰子
対岸
200403
冬の雨行き止りなる御用蔵
高田令子
鴫
200403
冬の雨嬰の心音聴くような
正木泰子
ぐろっけ
200403
ひとことの昨日を流す冬の雨
鈴鹿仁
京鹿子
200501
冬の雨象皮の粗さ言ふべきか
沼田巴字
京鹿子
200501
看取るとは正視すること冬の雨
成井侃
対岸
200502
凛凛と父情深めて冬の雨
丸山敏幸
朝
200502
悲しげなロシアの芝居冬の雨
石川英利
百鳥
200502
まつすぐに降る冬の雨稿起す
上田玲子
沖
200502
竹林のひつそりと濡れ冬の雨
関戸洋子
対岸
200504
冬雨の殊に明るき柞山
天野みゆき
風土
200504
波止の灯のひとつで足りる冬の雨
宇都宮滴水
京鹿子
200601
冬の雨ひと日林を離れざる
豊田都峰
京鹿子
200602
冬の雨音なき朝となりにけり
いば智也
六花
200603
冬の雨ブラックコーヒー膝に猫
安部里子
あを
200603
人在りて家内ぬくし冬の雨
本橋墨子
朝
200605
持国天に踏まるる顔や冬の雨
篠田純子
あを
200701
母訪ふに通ふ峠の冬の雨
谷榮子
雨月
200702
白河の関訪ふ冬の雨と雷
森高武
風土
200702
地下街をあるくたのしさ冬の雨
大坪景章
万象
200703
線描きの十字消ゆ墓碑冬の雨
佐藤淑子
雨月
200703
野辺送り同期集ひて冬の雨
足利?ロ子
ぐろっけ
200703
ひさびさに皆家に居り冬の雨
岡垣佳子
遠嶺
200704
冬の雨女子マラソンに容赦なく
北村香朗
京鹿子
200704
鐘楼の土滑らかや冬の雨
村上留美子
火星
200704
冬の雨赤い傘ある通夜の家
安部里子
あを
200704
冬の雨海鼠眠らせ貝眠らせ
百瀬七生子
海光
200705
冬の雨先に進まぬぺージかな
中島玉五郎
峰
200712
冬の雨アールグレイのかほり満つ
加藤みき
槐
200802
冬の雨もうすぐに去る屋根を打つ
折橋綾子
鴫
200802
冬の雨山の茶店が湯気上げて
岡田房子
酸漿
200802
酒蔵の湯気にけむれり冬の雨
坂本知子
酸漿
200802
倦むといふことも大事や冬の雨
平子公一
馬醉木
200803
飲食の句を増やしをり冬の雨
井上信子
鴫
200803
ふるさとの寂れはわびし冬の雨
鈴木榮子
春燈
200804
冬の雨われ休息の日なりけり
永田あき
酸漿
200804
冬の雨貼りつく句碑の幕を引く
白根純子
ホトトギス
200805
ビルの先隠して冬の雨しとど
稲畑廣太郎
ホトトギス
200812
あなたへの気持は冬の雨に解き
稲畑廣太郎
ホトトギス
200812
人ビルに吸ひ込んでゆく冬の雨
稲畑廣太郎
ホトトギス
200812
冬の雨句碑潤してゆきにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200812
冬の雨木々黒々と染めかへし
塙告冬
ホトトギス
200812
冬の雨平たく通る塵芥船
丹間美智子
炎環
200901
律儀なるニート青年冬の雨
和田郁子
璦
200902
たそがれの音ともならず冬の雨
船越美喜
京鹿子
200902
置き去りにされし自転車冬の雨
早崎泰江
あを
200902
冬の雨右脳左脳に隙間増ゆ
田中藤穂
あを
200902
冬の雨湯気のしろくてスープ皿
中山純子
万象
201001
模試に行く孫の背中に冬の雨
上岡理恵
槐
201002
へなへなと閻魔の前へ冬の雨
大坪景章
万象
201002
口紅を濃くひき冬の雨へ出づ
柳生千枝子
火星
201002
楷は葉を垂れ聖堂は冬の雨
田中藤穂
あを
201002
無造作に投函したる冬の雨
佐々木秀子
鴫
201003
朱印所としるべありけり冬の雨
大島英昭
やぶれ傘
201003
長堤の冬雨に濡れ蕪村句碑
山口天木
雨月
201003
蕭条と冬の雨ふる岩船寺
山下青坡
苑
201004
冬の雨目的地まで道迷ふ
工藤はるみ
風土
201004
街の灯の滲む舗道や冬の雨
佐々木新
春燈
201004
冬の雨傘に小さく入りけり
吉川隆
春燈
201004
冬の雨女子マラソンはひた走る
島純子
ぐろっけ
201005
初冬の雨のち晴といふ天与
稲畑廣太郎
ホトトギス
201011
冬の雨漏れくる辺り喫煙所
稲畑廣太郎
ホトトギス
201012
葬終へてやがてつめたき冬の雨
平絵美子
春燈
201102
冬の雨玉砂利耽と光りたる
加藤みき
槐
201102
冬の雨たそがれてより人恋し
西村滋子
京鹿子
201103
当番の早出に冬の雨あがる
数長藤代
鴫
201103
冬の雨ありしを知らず着陣す
稲畑汀子
ホトトギス
201111
白きもの妖精めきて冬の雨
稲畑廣太郎
ホトトギス
201112
天帝の涙とも見ゆ冬の雨
稲畑廣太郎
ホトトギス
201112
濡れそぼつ寅さん像や冬の雨
西田史郎
璦
201201
立冬の雨寂かなり孔子廟
北村梢
京鹿子
201201
大屋根に唐風の鴟尾冬の雨
米田文彦
かさね
201202
冬の雨止みて夕陽の日本橋
坂上じゅん
かさね
201202
冬の雨遺言状を作りけり
佐々木薫
かさね
201202
ガラス戸に己の顔や冬の雨
塩田博久
風土
201202
立冬の雨軒の端を走りつつ
林美智
ぐろっけ
201202
ギャンブルは無になる時間冬の雨
向江醇子
ぐろっけ
201202
ユーカリの木肌削げ落ち冬の雨
大橋晄
雨月
201202
プラタナス並木に冬の雨の音
藤井美晴
やぶれ傘
201202
急行を待つ鈍行や冬の雨
藤原若莱
春燈
201203
頑張れは病夫への禁句冬の雨
中下澄江
鴫
201203
燈台の照らす限りの冬の雨
宇都宮敦子
鴫
201203
冬の雨らしからぬ降り潦
瀬島洒望
やぶれ傘
201204
みづうみへ煌めきて降る冬の雨
長山あや
ホトトギス
201205
冬の雨尾灯にじみつつ流る
服部早曲
空
201205
冬の雨止みて土より匂ひたち
佐藤喜仙
かさね
201301
冬の雨茶漉しにのこる紅茶の葉
根橋宏次
やぶれ傘
201301
夫留守の閂おもし冬の雨
川村清子
馬醉木
201302
冬の雨墨絵のごとく雲垂るる
飯田美千子
璦
201302
廃校の鉄棒つたふ冬の雨
土江比露
春燈
201303
冬の雨遠景のなき日本海
佐瀬晶子
ろんど
201303
曽根崎に貝焼くにほひ冬の雨
山田美恵子
火星
201304
残されし水車と火の見冬の雨
梶浦玲良子
六花
201304
黒地蔵黒く在はせり冬の雨
瀧春一
花石榴
201312
冬の雨千の棚田のひろがりに
柳橋繁子
槐
201402
ウォッカの余白にさくっと冬の雨
田彰子
船団
201403
見はるかす筑波隠しの冬の雨
和田紀夫
鴫
201403
ぼんやりと昼の街灯冬の雨
佐々木秀子
鴫
201404
一滴も子に触れさせぬ冬の雨
仲里奈央
空
201404
冬の雨雪の予報は裏切られ
松村光典
やぶれ傘
201404
人恋し街の灯点り冬の雨
岩村惠子
ホトトギス
201405
松脂の上を滑れる冬の雨
山尾玉藻
火星
201501
渓一つ深く鎮まる冬の雨
上田由姫子
京鹿子
201501
傘持たず出て立冬の雨に遭ふ
神戸京子
ろんど
201502
眠りさへすれば明日来る冬の雨
栗原公子
沖
201502
泣く如く城址の石や冬の雨
加藤富美子
沖
201502
冬の雨木々の身浄め地に恵み
新田秀子
風土
201502
冬の雨鳥獣戯画見に並びけり
杉浦典子
火星
201502
走り根に躓きをりし冬の雨
小林正史
鴫
201502
窓を打つ冬の雨粒木曽路かな
橋本靖子
璦
201502
ぽとぽとと音立ててをり冬の雨
出口誠
六花
201503
林床を満たしてをりぬ冬の雨
高田令子
鴫
201503
冬の雨駆けむばかりの神馬像
加藤みき
槐
201503
冬の雨音するようなないような
鈴木直枝
ろんど
201503
冬の雨禅僧作の庭無音
岡真紗子
沖
201503
入り船の墨絵めきたる冬の雨
當間シズ
万象
201504
冬の雨忌のこもごむを身ほとりに
すずき巴里
ろんど
201505
一日に会合二ケ所冬の雨
稲畑汀子
ホトトギス
201511
東京の滞在長し冬の雨
稲畑汀子
ホトトギス
201511
病む人の消息二三冬の雨
稲畑汀子
ホトトギス
201511
飛べぬこと知るや駝鳥に冬の雨
大政睦子
京鹿子
201601
立冬の雨にずぶ濡れ風見鶏
安藤久美子
やぶれ傘
201601
名画座の椅子固かりき冬の雨
生方義紹
春燈
201602
鈍色の屋根畳なはる冬の雨
宇都宮敦子
鴫
201602
身とこころ軽くなりたり冬の雨
中田禎子
槐
201603
ゆつくりと電車は駅へ冬の雨
小山陽子
やぶれ傘
201603
老猫に命終迫る冬の雨
秋川泉
あを
201603
松葉杖突きゐる娘冬の雨
松村光典
やぶれ傘
201604
冬の雨薔薇の蕾は果てにけり
山荘慶子
あを
201604
初冬の雨の上つてゐるらしく
稲畑汀子
ホトトギス
201611
初冬の雨の上つてゐるらしく
稲畑汀子
ホトトギス
201611
冬雨の皇帝ダリアヘこたるる
山田六甲
六花
201612
へなへなと閻魔の前へ冬の雨
大坪景章
椿垣
201612
眠りさへすれば明日くる冬の雨
栗原公子
銀の笛
201612
覺悟めく文へ返信冬の雨
田中藤穂
あを
201701
網小屋の貝殻ひかる冬の雨
玉田瑞穗
万象
201702
冬雨に始まるひと日旅と思ふ
佐藤喜孝
あを
201704
あのときの冬雨ねむりのなかにまで
佐藤喜孝
あを
201707
渋滞を避けるすべなき冬の雨
稲畑汀子
ホトトギス
201711
冬の雨通行止めの高速路
稲畑汀子
ホトトギス
201711
冬の雨一枚多く羽織り来し
稲畑汀子
ホトトギス
201711
道迷ふことなく着きぬ冬の雨
稲畑汀子
ホトトギス
201711
冬の雨銀座の鳩はよく歩く
佐藤喜孝
あを
201712
初冬の雨に光るや能登瓦
宮崎紗伎
春燈
201801
いさぎ良き楠の一幹冬の雨
黒滝志麻子
末黒野
201802
被爆の傷修めしドーム冬の雨
川村欽子
雨月
201802
黄昏れて尚降りやまず冬の雨
犬塚芳子
槐
201802
乾きたる音にはじまる冬の雨
戸栗末廣
空
201804
尖るものいよいよ光り冬の雨
南うみを
風土
201902
命あるものに優しく冬の雨
石黒興平
末黒野
201905
一滴も子に触れさせぬ冬の雨
仲里奈央
空
201909
降りさうで降らぬ旅路の冬の雨
稲畑汀子
ホトトギス
201911
奈良の世の瓦に文字冬の雨
田中藤穂
あを
202002
冬の雨あがりビル群呼吸はじむ
田中藤穂
あを
202002
陸蒸気のステンション跡冬の雨
七郎衛門吉保
あを
202002
蓮根を買ひたくおもふ冬の雨
佐藤喜孝
あを
202002
ヘルパーは女性ライダー冬の雨
飯塚トシ子
萱
202002
2021年11月20日
作成