紅梅水鳥図/滋賀県立琵琶湖文化館 The Museum of Shiga Prefecture,Biwako-Bunkakan

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近江の文化財

紅梅水鳥図(こうばいみずとりず) 鈴木其一筆 1幅 江戸時代 本館蔵

鈴木其一(すずき きいつ:1796〜1858)は、江戸琳派を興した酒井抱一(1761〜1829)の高弟であり、実質的な後継者である。はじめは師・抱一の優美で叙情的な作風を慕っていたが、次第に、より明快で鮮やかな独自の画風を確立した。モチーフの形や色にこだわる造形感覚は、抱一よりもむしろ尾形光琳を髣髴とさせるものがあり、かつ近代絵画に先行するようなモダンで洗練された感覚も見出すことができる。また、江戸琳派が得意とした花鳥図のみならず、美人画や歴史画も其一は手がけており、その扱う画域の広さにも興味深いものがある。
其一はしばしば師匠の絵の代筆を担当しており、初期の作品の中には抱一画と酷似したものが見られる。琳派の伝統に回帰する一方で、其一の個性的で斬新な造形感覚がさらに磨かれ、奥への広がりを感じさせる構図、樹木や花などの細やかな表現、たらし込み技法を用いた彩りの諧調や微妙な濃淡、特徴を明晰に捉えたシャープな描線など、画風の完成度を高めていった。

其一が確立した構図や描写は、明治以降の日本画を先取りしたかのような新しくモダンな感覚にあふれていた。その作風は、やがて、明治から昭和にかけて、絵画はもちろんデザインの世界でも活躍した京都の画家・神坂雪佳(かみさかせっか:1866〜1942)の「近代琳派」へと継承されていく。

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