このひと月ほど長野・小布施の農村部に毎週のように通い、取材の詰めをしてきた。かと思えば「舞踏ツアー」で白塗りの男衆のコンテンポラった踊りを観たり、銀座や月島・佃島を徘徊したりと、硬軟入り交じったフィールド三昧。いや〜、全て面白い! 特に今、興味があるのが写真...。
若い頃から写真を撮るのは好きだったが、デザインやイラストの仕事をするようになってからは、資料としての写真をよく撮っていた。まち歩きをするようになってからは、訪れた先々のまちの表情をカメラに収めることは勿論だが、そこで発見した奇妙なモノや興味深いモノを撮ることが多くなった。まちをおもしろがる道具としてのカメラだ。
いくつかの段階を経て写真と向き合うことが多くなってきているが、芸術新聞社のこのページに登場するようになってからは、別な側面での写真との対峙がスタートした。それは「アート」。まちを歩いていると、時々ハッとする一瞬のまちの表情に出会うことがある。アートは、美術館や博物館にあるだけじゃない、何気ない町並みの中にアートが潜んでいることに気づく。このブログのバックナンバーの「気になる風景」でも、いくつかをご紹介してきた。
民俗学の「ハレ」(晴れやかな非日常、晴れ舞台的なもの)と「ケ」(日常)を例えて、絵地図や散歩における「ケ」の発見を推奨しているが、「ケ」の中に無限のアートの可能性を感じずにはいられない。
農村部、下町・山の手、港や町工場のある町なんて面白いものがたくさんあるね。外だけじゃない、家の中にも見落としがちな美しいもの...瞬間芸アートがいくつも発見できる。それを発見するコツは、あなたの脳みその柔らかさとハートのセンス。さあ、書を捨て...じゃない、先入観や固定概念を捨て、まちに出ましょう〜。
高橋美江(絵地図師・散歩屋)