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医療社会学|sociology of medicine / sociology of health & illness

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作成:藤原 信行+ last update: 20160531

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だいやまーく立岩 真也 2015年11月13日 『精神病院体制の終わり――認知症の時代に』,青土社,433p. ISBN-10: 4791768884 ISBN-13: 978-4791768882 2800+ [amazon]/[kinokuniya] (注記) m.
だいやまーく立岩 真也 2014年08月26日 『自閉症連続体の時代』,すず書房,352p. ISBN-10: 4622078457 ISBN-13: 978-4622078456 3700+ [amazon]/[kinokuniya] (注記)
だいやまーく立岩 真也 2013年12月10日 『造反有理――精神医療現代史へ』,青土社,434p. ISBN-10: 4791767446 ISBN-13: 978-4791767441 2800+ [amazon]/[kinokuniya] (注記) m.

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だいやまーく学会・学術雑誌等
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だいやまーく引用――医療社会学をめぐる基本的な事柄(のごく一部)
しろいしかくsociology "of" medicine と sociology "in" medicine
しろいしかく「医療化」「医療化論」
医療化とは?
コンラッド(Conrad, P)とシュナイダー(Schneider, J W)の「逸脱の医療化(medicalization of deviances)」
医療化の推進力について
医療化,脱医療化,再医療化
評価概念としての医療化
医療化と責任帰属の変容
ネオリベラリズムと共鳴する医療化批判(1)――医療供給の公的責任の放棄,疾病の自己責任化
ネオリベラリズムと共鳴する医療化批判(2)――〈ただ生きて在ること〉の否定
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厚生労働科学研究費補助金報告書(sociology "in" nedicine の研究も稀に含まれる)の検索・閲覧ができます(概要は1997年度,本文は1998年度より.PDFファイル).
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しろいしかくPubMed(U.S. National Library of Medicine)
医療社会学・医療人類学もふくめた,医学系文献を検索できます.一部無料・無登録で閲覧できる文献もあり.英語.
[外部リンク]http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?db=pubmed


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しかく学会・学術雑誌等

しろいしかく学会等
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だいやまーくSociety for Medical Anthropology: A Section of the American Anthropological Association ([外部リンク]部会公式HP)

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しろいしかく学術雑誌等
だいやまーく『保健医療社会学論集』,ISSN: 13430203(日本保健医療社会学会)
→CiNiiで一部全文公開(PDFファイル)されています.[外部リンク]CiNiiの当該雑誌ページへ
だいやまーく『福祉社会学研究』,ISSN: 13493337(福祉社会学会)
→J-Stageで一部全文公開(PDFファイル)されています.[外部リンク]J-Stageの当該雑誌ページへ
だいやまーく『社会政策学会誌』,(社会政策学会,旧:『社会政策学会論叢』『社会政策学会年報』)
だいやまーく『社会政策研究』,ISSN: 13460552(社会政策研究ネットワーク)

だいやまーくAnthropology & Medicine, ISSN: 13648470/14692910[online]
だいやまーくCulture, Medicine & Psychiatry, ISSN: 0165005X
だいやまーくHealth: An Interdisciplinary Journal for the Social Study of Health, Illness & Medicine, ISSN: 13634593
だいやまーくJournal of Health & Social Behavior, ISSN: 00221465
だいやまーくJournal of Health Politics, Policy & Law, ISSN: 03616878
だいやまーくMedical Anthropology Quarterly: International Journal for the Analysis of Health, ISSN: 07455194 (Society for Medical Anthropology)
だいやまーくQualitative Health Research, ISSN: 10497323
だいやまーくSocial History & Medicine, ISSN 0951631X/14774666[online]
だいやまーくSocial Science & Medicine, ISSN: 02779536
だいやまーくSocial Theory & Health, ISSN: 14778211/1477822X[online] (European Society for Health and Medical Sociology [ESHMS])
だいやまーくSociology of Health & Illness: A Journal of Medical Sociology, ISSN: 01419889/14679566[online] (Medical Sociology Group: A Study Group of the British Sociological Association)


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しかく人(含関連領域)

だいやまーく阿部 あかね(医療史・精神科看護)
だいやまーく秋谷 直矩(科学技術コミュニケーション,京都大学)
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だいやまーく藤崎 和彦(医学教育学・医学概論・医療社会学・保健医療行動科学)
だいやまーく藤原 信行
だいやまーく福島 智子(医療社会学)
だいやまーく平井 秀幸(社会学,四天王寺大学)
だいやまーく広井 良典
だいやまーく本郷 正武(社会学,和歌山県立医科大学)
だいやまーく細田 満和子(社会学)
だいやまーく堀田 義太郎(生命倫理学)
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だいやまーく井口 高志(社会学)
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だいやまーく金子 雅彦(医療社会学,防衛医科大学校)
だいやまーく樫田 美雄(医療社会学,神戸市看護大学)
だいやまーく加藤 秀一(社会学・フェミニズム)
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だいやまーく黒田 浩一郎(医療社会学,龍谷大学)
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だいやまーく前田 泰樹(社会学,東海大学)
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だいやまーく松山 圭子(医療社会学・科学社会学)
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だいやまーく円山 誓信(医学史・医療倫理学)
だいやまーく南 保輔(社会学,成城大学)
だいやまーく三島 亜紀子(社会福祉学)
だいやまーく三井 さよ(社会学)
だいやまーく南山 浩二
だいやまーく皆吉 淳平(生命倫理学)
だいやまーく美馬 達哉(医療社会学・社会福祉学)
だいやまーく武藤 香織(社会学・医療福祉論)
だいやまーく棟居 徳子
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だいやまーく森岡 正博(生命学・哲学・倫理学,大阪府立大学)
だいやまーく中川 米造
だいやまーく中島 憲子(医療・看護の社会史)
だいやまーく西阪 仰(社会学,明治学院大学)
だいやまーくぬで島 次郎(社会学)
だいやまーく野口 裕二(社会学,東京学芸大学)
だいやまーく大谷 いづみ(生命倫理学)
だいやまーく大出 春江(社会学・出産)
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だいやまーく小野 尚香(衛生制度)
だいやまーく斉藤 有紀子(生命倫理)
だいやまーく坂田 勝彦(社会学)
だいやまーく崎山 治男(感情社会学)
だいやまーく佐々木 洋子(医療社会学,大阪市立大学)
だいやまーく佐藤 哲彦(社会学,関西学院大学)
だいやまーく佐藤 純一(医療社会学,医療思想史,医学概論)
だいやまーく佐藤 雅彦
だいやまーく進藤 雄三(医療社会学,大阪市立大学)
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だいやまーく園田 恭一
だいやまーく高橋 涼子(精神障害者の権利,金沢大学)
だいやまーく武川 正吾(社会学・社会政策)
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だいやまーく柘植 あづみ(社会学・不妊/性殖技術,明治学院大学)
だいやまーく土屋 貴志(倫理学・生命倫理,大阪市立大学)
だいやまーく土屋 葉(社会学,障害学)
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だいやまーく山田 富秋(社会学,松山大学)
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だいやまーく吉田 幸恵(医療社会学・人類学)

だいやまーくConrad, Peter
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だいやまーくStrauss, Anselm L.
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だいやまーくYoung, Allan


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しろいしかく論文・その他書かれたもの(別ページ)

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しろいしかく初学者向け入門書

だいやまーくGabe, J., M. Bury & M. A. Elston eds., 2004, Key Concepts in Medical Sociology, London, Thousand Oaks & New Delhi: Sage. ISBN-10: 0761974423 ISBN-13: 978-0761974420 [amazon]/[kinokuniya] sm
だいやまーく進藤 雄三・黒田 浩一郎 編 19991030 『医療社会学を学ぶ人のために』,世界思想社,308p. ISBN:4-7907-0777-6 2310 [amazon]/[amazon] (注記) sm.
だいやまーく山崎喜比古編,20010620,『健康と医療の社会学』東京大学出版会.ISBN-10: 4130624067 ISBN-13: 978-4130624060 2940円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) sm
だいやまーく中川輝彦・黒田浩一郎編,20101020 『よくわかる医療社会学』ミネルヴァ書房.ISBN-10: 4623058212 ISBN-13: 978-4623058211 2625円 [amazon]/[kinokuniya] sm

(注記)医療人類学の文献については医療人類学をご覧ください.
(注記)生命倫理学の文献については生命倫理 bioethicsをご覧ください.


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しかく引用――医療社会学をめぐる基本的な事柄(のごく一部)

しろいしかくsociology "in" medicine; sociology "of" medicine; sociology of health & illness
だいやまーくStraus, R., 1963, "The Nature & Status of Medical Sociology," American Sociological Review, 22(2): 200-4.ISSN: 00031224

「一年前,われわれは,医療社会学(Medical Sociology)を医療を対象とする社会学(sociology of medicine)と医療における社会学(socioloigy in Medicine)という二つのカテゴリーに分けることを提案した.われわれは,sociology of medicine が行為システムとしての医療の組織的構造,役割関係,価値システム,儀礼,そして機能といったような対象を研究することにかかわり,かつこの類の研究は医学業界(formal medical setting)外部の独立した位置から実施できるような人物によって遂行されることが,最も望ましい.socioloigy in medicine は,しばしば多様な専門領域の概念・方法・人の統合をともなった共同研究や教育からなる.われわれはさらに,これら二種類の医療社会学は互いに相容れないものとなる傾向があることに思い至った;sociology of medicine のほうの医療社会学者は,もし医学教育や臨床検査にあまりに深く一体化してしまったならば,研究の客観性を失いかねないと考える一方で,socioloigy in medicine のほうの医療社会学者は,ofのような考えではいざ同僚〔の医療専門職〕を対象とした研究を試みる場合に良好な関係を危険にさらすことになると考える.
〔中略〕医療専門職および彼/彼女たちのかかわる医療供給組織にかんする研究は,まずもってsociology of medicine のほうの医療社会学〔の役割〕である.教育活動,および社会学者が病いへの患者の反応に影響を与える疾病過程ないし諸要因を医師と協力して研究することは,socioloigy in Medicine のほうの医療社会学〔の役割〕である」(203; 亀甲カッコ内コンテンツ作成者加筆:太字もコンテンツ作成者による).

だいやまーくFriedson, E., 1970, Professional Dominance: The Social Structure of Medical Care, New Brunswick & London: Aldine Transaction. ISBN-10: 0202308553 ISBN-13: 978-0202308555 [amazon]/[kinokuniya] sm
(=19920915,進藤雄三宝月誠『医療と専門家支配』恒星社厚生閣.ISBN-10: 4769907354 3570円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) sm)

「本書では医療一般を検討するが,そのなかでも特に医療専門職と医療ケアを提供する諸施設とを,「医療を対象とする社会学(sociology of medicine)」の観点から検討する.この観点を採用することによってこそ,医療機関の特性をよりよく評価することが可能となり,実践的な社会政策の定立に貢献できる〔中略〕外部の批判的観察者の視点をとることによってのみ,公共の福利にそって医療を研究することが可能となるのである〔中略〕医療を外部者の観点から研究すれば,次のようなとらえかたが可能となる.すなわち,医療というものが人間によって構築されている数多くの制度のひとつであって,複数の知的・道徳的観点のひとつを反映しているにすぎず,現代社会における多数の組織化された集団のうち,ただ一つの集団の物的利害関心とイデオロギー上の傾倒とを表現しているにすぎない,ととらえることが可能となるのである」(38;太字はコンテンツ作成者による).


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しろいしかく「医療化」「医療化論」

◇医療化とは?
だいやまーく進藤雄三,19901020,『医療の社会学』世界思想社.ISBN-10: 4790703770 ISBN-13: 978-479070377 1988円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) sm

「「医療化(medicalization)」という概念は,従来他の社会領域――宗教・司法・教育・家族など――に属すとされてきた諸社会現象が,次第に医療現象として再定義される過程を指示するものとして,歴史的変動の傾向・趨勢を縮約する記述概念である」(173; 太字はコンテンツ作成者加筆).

だいやまーく佐藤哲彦,19991030,「医療化と医療化論」進藤雄三黒田浩一郎編,19991030,『医療社会学を学ぶ人のために』世界思想社,122-38.ISBN-10: 4790707776 ISBN-13: 978-4790707776 2310円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) sm

「医療化(medicalization)という概念は,通常,従来は医療的領域外にあったさまざまな現象が医療的現象として再定義される傾向を意味している.〔中略〕諸社会現象に対して医療的対処(医学的知識による解釈とそれに基づいた医療的実践による改善,それらの制度化)をうながす歴史的傾向が医療化と呼ばれている〔中略〕」(122-3).

だいやまーくGabe, J., 2004, "Medicalization," J. Gabe, M. Bury & A. Elston eds., Key Concepts in Medical Sociology, London, Thousand Oaks & New Delh: Sage, 59-63. ISBN-10: 0761974423 ISBN-13: 978-0761974420 [amazon]/[kinokuniya] sm

「医療化〔論〕は,これまで医療とはかかわりのなかった問題(problems)が,医学的問題として定義され扱われるようになる――たいてい病気(illnesses)ないしは障害(disorders)の観点から――過程,を記述する」(59; 亀甲カッコ内コンテンツ作成者加筆).

だいやまーくConrad, P, 2007, The Medicalization of Society: On the Transformation of Human Conditions into Treatable Disorders, Baltimore: John Hopkins University Press. ISBN-10: 080188585X ISBN-13: 978-0801885853 [amazon]/[kinokuniya] sm

〔医療化とは〕「ある問題が医学用語により定義され,医学の言葉を用いて記述され,医学的枠組みの借用をつうじて理解され,医学的介入をともなうかたちで「処遇される」ようになることだ」(5; 亀甲カッコ内コンテンツ作成者加筆).

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◇コンラッド(Conrad, P.)とシュナイダー(Schneider, J. W.)の「逸脱の医療化(medicalization of deviances)」論
だいやまーくConrad, P & J W Schneider, [1980]1992, Deviance & Medicalization: From Badness to Sickness, expanded ed, Philadelphia: Temple University Press. ISBN-10: 0877229996 ISBN-13: 978-0877229995 [amazon]/[kinokuniya] c0104 sm
(=20031110,進藤雄三監訳/杉田聡・近藤正英訳『逸脱と医療化――悪から病へ』ミネルヴァ書房.ISBN-10: 4623038106 ISBN-13: 978-4623038107 7350円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) c0104 sm)

「たいていの医療化研究は,何がいかに医療化され,いかなる帰結を伴うものであるのかに焦点を合わせるものであり,何が「本当の」医療問題を構成するのかという困難な問いを括弧にくくっている.研究者の関心は人間の諸問題が過剰に医療化されるという問題に持続的に注がれてきたし,医療ケアの恩恵に目が向けられることは少なかった」(2).

「医療化は「建設的」あるいは共同的なものとなりうる〔中略〕しかし大半の研究者は,医療化は医療の管轄権を拡張し,医療的社会統制と人間の生活に対する監視を増大させ,患者の能力と自律性を減少させ,複雑な社会問題を個人化し,社会政治的な問題を臨床的・科学的問題へと変容させ,個人の責任感を減退させていると主張してきた(4).」

だいやまーく進藤雄三,19901020,『医療の社会学』世界思想社.ISBN-10: 4790703770 ISBN-13: 978-479070377 1988円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) sm

「逸脱の医療化について,おそらく最初の本格的な社会学的検討の試みと評しうる〔中略〕コンラッドとシュナイダーは分析対象となった具体的事例――狂気・飲酒癖・薬物常用・非行・多動・児童虐待・同性愛など――についての研究を踏まえたうえで,医療化の生起する諸段階についての帰納モデルと,これらの諸事例の経験的分析から導かれる一般的命題とを提示している(175).」

「コンラッド・シュナイダーの功績は,「医療化」をめぐる包括的な議論に,具体的・経験的な投錨点を提示した点にあろう」(177).

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◇医療化の推進力について
だいやまーくConrad, P. & J. W. Schneider, [1980]1992, Deviance & Medicalization: From Badness to Sickness, expanded ed., Philadelphia: Temple University Press. ISBN-10: 0877229996 ISBN-13: 978-0877229995 [amazon]/[kinokuniya] c0104 sm
(=20031110,進藤雄三監訳/杉田聡・近藤正英訳『逸脱と医療化――悪から病へ』ミネルヴァ書房.ISBN-10: 4623038106 ISBN-13: 978-4623038107 7350円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) c0104 sm)

「医療化に対して果たす医療的関与の役割は一様ではない.医師あるいは医療システムの一定の部分が関与することはよく見受けられるが,こうした関与は医療化の必要条件ではない.医療化と医療帝国主義とを等置する研究者もあるが,事態はそれほど単純ではない〔中略〕問題によっては医師によるクレイム申し立て活動を確認できる場合もあるが(たとえば注意欠陥障害あるいはADHD),医療専門職に文字通り無理強いされた問題もあるのだ」(2).

「われわれが検討したほとんどすべての事例において,医療専門職のごく一部の専門的小集団しか逸脱認定と逸脱の医療的定義の促進のポリティクスに関わっていない.これらのクレイム申し立てをしている医師は数としては少ないが,彼らの参加は医療化の成功のために中心的で決定的な意味を持つ」(314).

「医療化は,それが経済的利益をもたらす場合,直ちに増進する」(320).

だいやまーくConrad, P., 2005, "Shifting Engine of Medicalization," Journal of Health & Social Behavior, 46(March): 3-14. ISSN: 00221465
(=20060930,進藤雄三・松本訓枝訳「医療化の推進力の変容」森田洋司・進藤雄三『医療化のポリティクス――近代医療の地平を問う』学文社,3-27.ISBN-10: 4762016020 ISBN-13: 978-4762016028 2730円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) sm)

「製薬産業とバイオテクノロジー産業は,医療化における主要なプレイヤーとなりつつある」(7-8).

「病気を売り込み,それらの病気を治療する薬を販売することは,「プロザック後」の現在ではありふれている」(10).

「医療システムの変化の中で,保健医療ケアの消費者は主要なプレイヤーになった.保健医療ケアはより商品化され,市場の力に従属しているので,医療は他の製品やサービスのようになった」(14).

「医療化の推進力は〔中略〕今や専門職のクレイム申し立て者よりも商業的・市場利益によって駆動されている」(20).

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◇医療化と脱医療化
だいやまーくConrad, P. & J. W. Schneider, [1980]1992, Deviance & Medicalization: From Badness to Sickness, expanded ed, Philadelphia: Temple University Press. ISBN-10: 0877229996 ISBN-13: 978-0877229995 [amazon]/[kinokuniya] c0104 sm
(=20031110,進藤雄三監訳/杉田聡・近藤正英訳『逸脱と医療化――悪から病へ』ミネルヴァ書房.ISBN-10: 4623038106 ISBN-13: 978-4623038107 7350円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) c0104 sm)

「逸脱の医療化の歴史は,その期間の長さにおいても,またその内容の「豊富さ」においても,脱医療化の歴史を凌ぐものである」(360).

「脱医療化は,ある問題が医学用語によってはもはや定義されず,かつ医学的治療がもはや問題解決のための直接的手段と考えられなくなって初めて生起するのだ」(492).

だいやまーくConrad, P., 2007, The Medicalization of Society: On the Transformation of Human Conditions into Treatable Disorders, Baltimore: John Hopkins University Press. ISBN-10: 080188585X ISBN-13: 978-0801885853 [amazon]/[kinokuniya] sm

「ゲイ・ライツ・ムーブメント(ゲイ,レズビアン,バイセクシャル,トランスジェンダー,クィア.GLBTQ)は,同性愛の定義を病いから性的嗜好にかんするライフスタイルへと成功裡に変更させた抵抗活動の古典的事例である〔中略〕いくつかの重要な文化的・科学的変化にもかかわらず,同性愛の脱医療化は,1974年のアメリカ精神医学会の決定以降30年以上にわたり持続している」(157).

「もうひとつ,脱医療化に成功した例としては,障害者の権利獲得運動が存在する〔中略〕その到達点の一つが,障害とは第一義的には医学的問題ではなく社会の側の問題であるというかたちでの定義の変更を成し遂げたことだった(cf. Oliver, 1996).自立生活運動関係の諸集団は,障害の有無にかかわらず社会のなかで活動するうえで不可欠なもの/ことに焦点を当てた」(157).

「出産は,おそらく1950年代に医療化された経験とされる度合いが頂点に達しようとしていた〔中略〕この状況にたいする反応として,基本的に医療化される度合いのより低い出産方法を開発・奨励するものとしての「自然なお産運動(natural childbirth movement)」が起こった〔中略〕われわれの考察にとって興味深いのは,これらの変化は出産の脱医療化というよりも,医学による出産の再編こそを反映していた,ということだ〔中略〕医療化された出産はなおいっそう支配的なものとなっており,かつここに来てさらに進展しているようである」(157-8).

(注記)上記で言及された文献
Oliver, M., 1990, The Politics of Disablement: Critical Texts in Social Work & the Welfare State,London: Macmillan. ISBN-10: 0333432932 ISBN-13: 978-0333432938 [amazon]/[kinokuniya] (注記) ds
(=20060605,三島亜紀子・山岸倫子・山森亮横須賀俊司『障害の政治――イギリス障害学の原点』,明石書店.ISBN-10:4750323381 ISBN-13: 978-4750323381 2940円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) ds

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◇評価概念としての医療化
だいやまーく進藤雄三,19901020,『医療の社会学』世界思想社.ISBN-10: 4790703770 ISBN-13: 978-479070377 1988円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) sm

「医療化をめぐる議論が論争的性質を帯びるのは,この過程がもたらす一定の現実的帰結に対する評価を前提としているからである.この意味において,「医療化」概念は記述概念であると同時に,是認と否認の価値判断を色濃く反映した評価概念でもある.「医療化」論の基調は,この仮定がもたらす否定的帰結の強調にある」(178; 下線コンテンツ作成者が加筆).

だいやまーく進藤雄三,20060930,「医療化のポリティクス――『責任』と『主体化』をめぐって」森田洋司・進藤雄三『医療化のポリティクス――近代医療の地平を問う』学文社,29-46.ISBN10: 4762016020 ISBN-13: 978-4762016028 2730円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) sm

「ある現象や行動を「医療化」の事例として設定すること自体の中に,すでに一定の価値判断が入り込んでいる可能性があることは〔中略〕明確に自覚化しておく必要があるだろう」(43).

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◇医療化と責任帰属の変容
だいやまーくFriedson, E., 1970, Professional Dominance: The Social Structure of Medical Care, New Brunswick: Aldine Transaction. ISBN-10: 0202308553 ISBN-13: 978-0202308555 [amazon]/[kinokuniya] sm
(=19920915,進藤雄三宝月誠『医療と専門家支配』恒星社厚生閣.ISBN-10: 4769907354 3570円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) sm)

「疾病概念は実践的には,客観的であると同時に評価的あるいは道徳的概念でもある.この概念は〔中略〕たとえ暗黙のうちにであれ,疾病状態に対する責任を同時に指示する」(3-4=3).

だいやまーく藤原信行,20090525,「自殺(予防)をめぐる『物語』としての精神医学的知識の普及と自死遺族」浅野弘毅岡崎伸郎『自殺と向き合う』批評社,119-28.ISBN-10: 4826505043 ISBN-13: 978-4826505048 1890円 [amazon]/[kinokuniya] s01

「Jさん〔自死遺族〕はIさん〔自殺者〕の理解しがたい発言や体調不良,そして自殺を,「自殺の主因はうつ病であり,自殺の前に自殺者はサインを発する」という精神医学的知識=物語を受け入れることで,因果的に理解できるようになった.だがその物語は〔中略〕「うつ病のサインを正しく理解せず,〔Iさんを〕精神科受診に導くことを怠った〔中略〕死は私の不適切な対応のせいだ」というかたちで強化・明確化された自責の念を,Jさんに付与してしまう」(125).

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◇ネオリベラリズムと共鳴する医療化批判(1)――医療供給の公的責任の放棄,疾病の自己責任化
だいやまーく進藤雄三,19901020,『医療の社会学』世界思想社.ISBN-10: 4790703770 ISBN-13: 978-479070377 1988円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) sm

「予防・健康増進・セルフケア・プライマリーケアといった多様な理念の背後には,医療費抑制という政策上の意図が貫徹している.この時代環境における「過度の医療化」の強調は,医療専門職のスケープゴート化による行政責任の免罪という政治的機能を果たす〔中略〕」(183).

だいやまーく進藤雄三,20060930,「医療化のポリティクス――『責任』と『主体化』をめぐって」森田洋司・進藤雄三『医療化のポリティクス――近代医療の地平を問う』学文社,29-46.ISBN10: 4762016020 ISBN-13: 978-4762016028 2730円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) sm

「「医療化」論は,「脱医療化」志向,健康−病気の「自己責任」志向を含意するものとして,「キュアからケアへ」「治療から予防へ」というスローガン,〔中略〕医療消費の抑制を目的とする政策的志向性と親和性をもっている」(42).

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◇ネオリベラリズムと共鳴する医療化批判(2)――〈ただ生きて在ること〉の否定
だいやまーく立岩真也,20041115,『ALS――不動の身体と息する機械』医学書院.ISBN-10: 4260333771 ISBN-13: 978-4260333771 2940円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) als n02 s sm

「〔たとえばイリイチやフーコーのように〕なおすことを「権力」の作用とし,生かす権力への抵抗を語ることによって,「自然な死」を賞賛する言説と結びついてしまうことになる.批判的に語られるものとしての「医療化」,医療の過剰という理解は,「たんなる延命」といった言い方とある親和性をもってしまう」(68-9; 亀甲カッコ内コンテンツ作成者加筆).

だいやまーく市野川容孝,19940401,「死への自由?――メディカル・リベラリズム批判」『現代思想』22(5): 308-29. (注記)

「「死への自由」という形で「生−権力」に抵抗することは,同時に,その抵抗の主体が,自己の実存を完成することをも意味するだろう.フーコーの「生−権力」論と,その「実存の美学(esthéthique de l’exsistence)」は,奥深いところで互いに共鳴しあっているように思われる.イヴァン・イリッチもまた,「医療化(medicalization)」にたいする批判という文脈の中で,死への自由,あるいは死における主体性ということを訴えている.
〔中略〕
フーコーやイリッチの批判的言説において,死は,自由という主題に結びつきながら,個人の自律性,その主体性という問題を喚起していると言えるだろう.
だが,誤解のないように言っておこう.私は,こうした主張をきわめて懐疑的に受けとめているのだ」(309-10).

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◇医療領域/非医療領域の線引き問題
だいやまーく佐藤哲彦,19991030,「医療化と医療化論」進藤雄三黒田浩一郎編,19991030,『医療社会学を学ぶ人のために』世界思想社,122-38.ISBN-10: 4790707776 ISBN-13: 978-4790707776 2310円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) sm

「これまでの多くの医療化論では,「本来」医療的な領域と「本来」そうでない(非医療的)領域の境界が仮定されている〔中略〕それは「自然な(natural)」領域と「社会・文化的な(socio-cultural)」領域とを分けることができるという素朴な仮定である.実はこれは,病の「自然な」側面をdiseaseとして対象とはせず,その「社会・文化的」側面をillnessとして医療社会学の対象と確定した,医療社会学自体の出発点における仮定なのである.しかしながら自然は〔中略〕なんらかの共働的解釈行為を通じて立ち現れてくる,構成(産出)されるものである.正確には,科学の中における自然は「自然な」ものであると同時に「社会文化的な」ものでもある」(135).

だいやまーく額賀淑?カ,20060331,「医療化論と生物医療化論」『社会学評論』56(4): 815-28.ISSN: 00215414 ([外部リンク]J-Stageで全文閲覧可.PDFファイル)

「医療化論において,非医学的な問題を社会的な問題と見なし,社会的な問題と医学的な問題との間にはすでに明確な違いがあるという前提がある.しかし,医療社会学者は,その区別の理論的根拠を十分に明らかにしたとはいえない.社会的な問題と医学的な問題がどのように区別できるのか,社会的な問題が医学的な問題より先に存在するのはなぜか,という問いが残されている」(821).


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しろいしかく「専門家」「専門性」「専門家支配」
だいやまーく進藤雄三,19991030,「医師」進藤雄三黒田浩一郎『医療社会学を学ぶ人のために』世界思想社,42-59.ISBN-10: 4790707776 ISBN-13: 978-4790707776 2310円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) sm

「医師は弁護士とならんで専門職中の専門職として,高い職業威信と高い倫理性を象徴する職業とみなされるだけでなく,抗生物質の発見とその臨床的応用によって急性伝染病を目に見える形で駆逐することを通して,その「専門」的知識に近代科学(=医学的細菌学)の威光を付け加えた.しかし,先端医療革命の進展と福祉国家の転換が指摘されはじめた一九七〇年代以降,専門職に対する社会的理解と意識に大きな変化が見られるようになる.
〔中略〕
こうした変化を象徴的に示したのは,公民権運動,フェミニズム,消費者運動,学生運動が大々的に展開された「異議申し立て」の一九六〇年代の時代を背景に,「クライエントの反逆」と呼ばれた教育・医療・司法領域への批判の高まりを受け,利他主義の象徴とされてきた専門家−クライエント関係を「支配」という観点からとらえようとするアメリカにおける傾向であった.一九七〇年に上梓されたフリードソンの『医療と専門家支配』は当時の時代意識を代弁している.この延長線上にイリイチによる一層急進的な医療批判(I・イリイチ,金子嗣郎訳『脱病院化社会』晶文社,一九七九年)が展開されることになる」(48-9).

(注記)上記で言及された文献
☆Friedson, E., 1970, Professional Dominance: The Social Structure of Medical Care, New Brunswick & London: Aldine Transaction. ISBN-10: 0202308553 ISBN-13: 978-0202308555 [amazon]/[kinokuniya] sm
(=19920915,進藤雄三宝月誠『医療と専門家支配』恒星社厚生閣.ISBN-10: 4769907354 3570円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) sm)
Illich, I., [1975]1976, Limits to Medicine: Medical Nemesis, The Expropriation of Health, new ed., London & New York: Marion Boyars. ISBN-10: 0714525138 ISBN-13: 978-0714525136. [amazon]/[kinokuniya] i06
(=[19790130]19981010,金子嗣郎訳『脱病院化社会――医療の限界』晶文社.ISBN-10: 4794912625 ISBN-13: 978-4794912626 2520円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) i06)

だいやまーくFriedson, E., 1970, Professional Dominance: The Social Structure of Medical Care, New Brunswick & London: Aldine Transaction. ISBN-10: 0202308553 ISBN-13: 978-0202308555 [amazon]/[kinokuniya] sm
(=19920915,進藤雄三宝月誠『医療と専門家支配』恒星社厚生閣.ISBN-10: 4769907354 3570円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) sm)

「知識の適用が患者の自由選択を制限するある権限によって支えられている,というのが医療専門職の特徴であり,この権威は科学者の権威よりも官吏の権限に類似しているのである」(117).

「「専門職」という語は対社会的イメージを改善しようとする事実上すべての職種が,自職種の称号としてその使用を主張する言葉なのである」(120).

「保健医療サービスは厳格で機械的で権威主義的であり,有機的な連携を欠いているといわれるが,これらの現象の過半は,官僚制的な原理によってというより専門職を中心に組織化されていることによって引き起こされている」(123).

「一般的に専門職,とりわけ医療専門職は,その本性からして,自分の仕事の内容と条件とを統制する完全な自律性を所有するかぎり,そして分業体制において支配的地位を占めるかぎり,自ら表明した理念に忠実であることはできない〔中略〕私が提案したのは,管理者に対する責任,個々の患者自身に対する責任,そして医師と競合しうる職種の計画的育成によって,医療専門職による支配とその自律性とを制限する方法なのである」(214).

→cf. 立岩真也,20020325,「医療社会学の本・1――専門職・専門性について(医療と社会ブックガイド・14)」『看護教育』43(3).

だいやまーく立岩真也,19991030,「資格職と専門性」進藤雄三黒田浩一郎『医療社会学を学ぶ人のために』世界思想社,139-56.ISBN-10: 4790707776 ISBN-13: 978-4790707776 2310円 [amazon]/[kinokuniya] (注記) sm

「たとえば漁師も魚をとる専門家である.しかしその人たちは,特に「専門性」を主張したりしない.それに比して,たとえば看護職の人たちはなぜ専門性を言うのか.「地位の向上」を目指してのことである」(145).

「看護職の給料が高くない,すくなくとも伸びないのは,それが専門職とみなされていないから,専門性が認められていないからだろうか.たとえば役所の職員がいる.専門職とはあまり言われない〔中略〕しかし,給料は悪くないし,昇給は看護職よりよい.それはこの職業が専門職だから,専門職とみなされているからではない」(149).


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しろいしかく階級ないし/および貧富の格差と健康
だいやまーくBlack, D., J. N. Morris, C. Smith & P. Townsend (Edited by P. Townsend & N. Davidson), [1980]1992, "The Black Report," P Townsend et. al., Inequalities in Health: The Black Report & The Health Divide, 2nd ed., London: Penguin. ISBN-10: 0140172653 ISBN-13: 978-0140172652 [amazon]/[kinokuniya]

「統計上の死亡率は,両性および全年齢階級において,職業上の地位が低いほど高くなる傾向になる.両親が非熟練単純労働者の子どもの出生時および生後1ヶ月間の死亡率は,両親が専門職の子どもの2倍高く,その後の11ヶ月においても男子で3倍弱,女子で3倍強も高い.年齢が上がるにつれ,最も貧困な階級に属する子どもの死亡率は,最も富裕な階級に属する子どもたちの死亡率よりも1.5-2倍高い程度に低下するが,青年期に死亡率の格差は再び拡大する〔中略〕」(55-6).

「〔階級が低いほど健康状態も悪いことを説明するにあたって〕文化的要因〔=社会経済的要因とは無関係に健康を害する生活習慣を身につけているせいだ〕・遺伝的要因による説明も――とくに後者は出生後間もない時期において――いくぶんか根拠のあるものであるが,ほとんどのデータは,他のあらゆるものよりも,われわれが「物質的」「構造的」説明と呼ぶものによって説明されるものである」(125; 亀甲カッコ内コンテンツ作成者加筆).

だいやまーくGiddens, A., [1989]2009, Sociology, 6th edition, Cambridge: Polity Press. ISBN-10: 0745643582 ISBN-13: 978-0745643588 [amazon]/[kinokuniya]
「サッチャー政権(1979-1990)は,The Black Reportの知見を軽蔑し,斥けた〔中略〕彼女とその政権は,健康の不平等を説明するにあたって,文化的・慣習的要因に焦点を当てる傾向が強かった.彼女/彼たちは,下層階級の連中は,たとえば喫煙・栄養の乏しい食事・多量飲酒といった健康を害する活動を〔貧しさとは無関係に〕好む傾向があると主張した」(409; 亀甲カッコ内コンテンツ作成者加筆).

「The Acheson Report(1998年)において,多種多様な健康上の指標から,〔階級間の〕健康の不平等がここ10-20年のあいだ〔1980-90年代; サッチャーとその後継政権の時代〕で全般的に拡大したことが確認された」(411; 亀甲カッコ内および太字はコンテンツ作成者加筆).


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