日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。

2023年10月27日(金)の例会予告

2023年10月24日(Tue)

Category例会予告
題目:羽仁五郎とその「明治維新史」研究
発表者:岑静雯(立命館大学文学研究科)
日時:2023年10月27日(金)16時〜
場所:対面、Zoomのハイブリッド開催(立命館大学衣笠キャンパス究論館プレゼンテーションルームA&B)
(会員以外の参加希望者はshisoshiken@gmail.comにご連絡ください。)

要旨:
先行研究において、羽仁五郎(1901〜1983)が「講座派」マルクス主義者として位置付けられている。『講座』の編集と刊行に尽力した中心人物の一人として知られているが、羽仁五郎と左派団体との間に距離があるという犬丸義一、前田亮介の指摘も看過してはいけない。実際に、羽仁五郎はその生涯、日本共産党員ではなかったし、1946年から歴史研究会と距離を取りはじめることに至ったのである。また、井上清の指摘によると、「歴史における勤勞生産民衆の決定的な役割は、進歩的歴史家ならだれでも強調するが、このことを理論的にのみならず、日本歴史の具体的分析と叙述の上で、最初に決定的に明確にしたのは」、羽仁五郎の明治維新史研究である。したがって、本発表では、羽仁におけるマルクス主義論理がその「明治維新史」研究とどのような関係があるのかを考察し、それにより羽仁五郎の思想の見直しを目指す

主要参考文献
羽仁五郎(1966)『私の大学―学問のすすめ―』講談社
羽仁五郎(1967)『日本史・明治維新』青木書店
羽仁五郎、羽仁進(1983)『父が息子に語る歴史講談』文芸春秋
鈴木正編(1969)『日本のマルクス主義者』風媒社。
稲垣真美[ほか](1979)『人生の教師たち(人物昭和史6)』筑摩書房。
粕谷一希(1981)『戦後思潮:知識人たちの肖像』日本経済新聞。
藤田省三(1959)「昭和八年を中心とする転向の状況」『共同研究
転向』上巻、平凡社所収。
犬丸義一著、申健訳(1986)「戦後日本マルクス主義歴史学ノート」『世界史訳書シリーズ:現代歴史学における回顧及び展望』、山東大学歴史学科日本史研究室。
前田亮介(2023)「『左派外交史学』の曙光―1930年代日本のマルクス主義歴史家立」『「戦前歴史学」のアリーナ:歴史家立の一九三〇年代』、東京大学出版会。
井上清(1956)「たたかう歴史学―解題に代えて」『明治維新史研究』岩波書店。
など

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2023年10月13日(金)の例会予告

2023年10月09日(Mon)

Category例会予告
題目:白鳥敏夫と「八紘一宇」理念
発表者:中井悠貴(立命館大学院文学研究科D4)
日時:2023年10月13日(金)18時〜
場所:Zoomでオンライン開催
(会員以外の参加希望者はshisoshiken@gmail.comにご連絡ください。)

要旨:
本報告で取り上げる白鳥敏夫(1887-1949)は、満洲事変後、日本を中心とする世界新秩序理念を模索した外務省革新派のリーダーと仰がれた外務官僚である。ただ、白鳥を論じる先行研究の多くが太平洋戦争以前の検討となっており、太平洋戦争期の内在的な検討は十分になされていないために、その思想的営為を統一的、内在的に把握することを困難ならしめている。かかる傾向は、そもそも太平洋戦争期の白鳥の言説が荒唐無稽な『竹内文献』のような「偽書」論を多分に含み込んでおり、そのことが奇しくも開戦前後の時期に精神疾患を発症していた事実と関連付けられていることとも関係するものと考えられる。
だが、かかる太平洋戦争期の言説は精神疾患の結果として創出されたものではなく、また「国体」の世界的「明徴」の物証たる「偽書」の援用こそ、国体明徴運動と随伴した外交論を展開してきた白鳥ら外務省革新派の思想的特徴が最も凝縮されたものではないか。
以上のような問題関心から、本報告では太平洋戦争期の白鳥の言説を論理内在的な帰結点として位置付けつつ、ともすれば全てが機会主義的なものにも映る、「八紘一宇」理念として世界新秩序理念を導出する白鳥の思想的営為を貫く論理と時代的意味に迫りたい。

参考文献
小林啓治『国際秩序の形成と近代日本』(吉川弘文館、2002年)
戸部良一『外務省革新派』(中央公論新社、2010年)
拙稿「「八紘一宇」理念における「世界性」とその時代性」(『立命館大学人文科学研究所紀要』133号、2022年)

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2023年10月6日(金)の例会予告

2023年10月03日(Tue)

Category例会予告
秋学期の日本思想史研究会例会について、御連絡をいたします。

秋学期第1回目の例会を、10月6日(金)18時より、 Zoomによるオンラインで開催いたします。

秋学期の研究活動は、各会員の個人報告となっております。
第1回目は、例会日時の調整、報告順などについての打ち合わせを行う予定です。
報告を希望される方は、ぜひご参加をいただければ幸いです。
(会員以外の参加希望者はshisoshiken@gmail.comにご連絡ください。)

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