日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。

2023年8月18日(金)の例会予告

2023年08月11日(Fri)

Category例会予告
題目:「文明批評」と土田杏村の役割―近代日本思想史の一断面
発表者:小糸咲月(一橋大学大学院博士後期課程)
日時:2023年8月18日(金)18時〜
場所:Zoomでオンライン開催
(会員以外の参加希望者はshisoshiken@gmail.comにご連絡ください。)

要旨:
土田杏村(きょうそん)(1891〜1934)は、大正から昭和初期にかけて活動した思想家である。分野横断的かつ多作であった杏村の思想的営みの全貌は、未だ明らかになっていない部分も多い。とりわけ、特定の専門をもたず、アカデミズムの世界にも、文壇・論壇コミュニティーにも属することのなかった杏村を、日本近代思想史のなかにいかに位置づけられるのかという点については、考察の余地が残されていると考える。この杏村の位置づけにくさに関わるのが、生涯にわたって杏村が自称した「文明批評家」という肩書にある。
本報告では、杏村の思想的営みを「文明批評家」として日本思想史上に位置づけるための前段階として、これまでほとんど分析されてこなかった「文明批評」の概念史を整理する。この「文明批評家」に注目しているのが飯田泰三である。飯田は、「文明批評家」に注目することで、「大正知識人」を取り巻く問題連関を俯瞰することができると考え、「文明批評家」たちの言説を分析している。しかしながら、「文明批評」研究は飯田の研究を除いてほとんど進展がなく、基礎的な分析を積み重ねていく必要がある。この状況を踏まえて本報告では、「文明批評」が、1910年代〜30年代の「文明批評」にかんする言説を概観したうえで、杏村の「文明批評」の位置づけについて考察したい。

参考文献
近代日本思想史研究会『近代日本思想史』青木書店、1956年
蓮實重彦「「大正的」言説と批評」『近代日本の批評III 明治・大正篇』講談社、1998年
飯田泰三『大正知識人の思想風景』法政大学出版局、2017年

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