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2013年7月30日 (火)

様々な雇用形態にある者を含む労働者全体の意見集約のための集団的労使関係法制に関する研究会報告書

本日、「様々な雇用形態にある者を含む労働者全体の意見集約のための集団的労使関係法制に関する研究会」の報告書が公表されました。

プレス資料から:

http://www.jil.go.jp/press/documents/20130730.pdf

近年、経済のグローバル化やサービス経済化、IT化の進展等を背景として、産業構造の変化が進む一方で、労働組合の組織率の低下が一段と進み、18%を割り込むまでに至った。そうした状況とともに、労働組合への加入率が特に低い有期契約労働者、パートタイム労働者、派遣労働者等の非正規労働者が増加している。

このような経済社会情勢の変化や非正規労働者の増加に伴い、職場の労働者は多様化している。伝統的労働法モデルは、労働基準法等の労働保護法により労働条件の最低基準を設定し、最低基準を上回る労働条件については労働組合による団体交渉を通じた労働協約により設定することを予定してきたが、こうしたモデルは、労働組合組織率の低下や労働者の多様化によって、十分に機能しなくなってきている。

また、正規労働者と非正規労働者との処遇格差が指摘されるようになって久しい。非正規労働者の処遇問題の解決に当たっては、正規労働者と非正規労働者双方の利害を適切に調整するための、集団的な労働条件設定システムの再検討が求められている

以上のような問題意識の下、平成23 年11 月から「様々な雇用形態にある者を含む労働者全体の意見集約のための集団的労使関係法制に関する研究会」を開催してきたところである。

今般、同研究会の報告書が取りまとめられたので公表する。

報告書のポイントは次の通り。

しろまる 労使協議の形骸化、労働組合の組織率の低下、多様な雇用形態の労働者の増加、個別労働紛争の増加、過半数代表の役割・権限の拡大などの労使関係の変化により、企業別労働組合は様々な課題に直面。とりわけ、企業別労働組合が有効に機能してきたはずの企業・事業所レベルの労使関係において、多様化する労働者の声を十分に反映し得ていないとすれば、改めて集団的発言チャネルの今後のあり方を検討する必要。

しろまる 過半数代表者に関する制度上の懸念から、喫緊に取り組むべき課題は、法定基準の解除を担う集団的発言チャネルの整備である。そこで、新たな従業員代表制の構想も視野に入れながら、法定基準の解除機能の担い手の実質化を図る観点から、課題とその解決のための方向性について検討。

しろまる 今後も、労働組合が集団的労使関係において団体交渉を通じて労働条件設定における中核的役割を担うべきであることが基本スタンス。その上で、次の2つのシナリオを念頭に考察。
1 現行の過半数代表制の枠組みを維持しつつ、過半数労働組合や過半数代表者の機能の強化を図る方策
2 新たな従業員代表制を整備し、法定基準の解除機能等を担わせる方策

しろまる まずは過半数代表者の複数化・常設化等を図った上で、それが日本の労使関係の中でどのように役割を果たすかを検証しながら、新たな従業員代表制の整備の必要性を検討することが適当

しろまる 過半数代表者の機能強化により、全従業員のために苦情処理機能を担うようになれば、非正規労働者等の不満や苦情の受け皿としての役割を果たすこととなる。正規労働者と非正規労働者の処遇格差に対して、分権化した労使レベルで問題を解決することが可能となる

しろまる 今回提案した取組により、我が国の集団的発言チャネルが今後どのように発展していくのか等を見据えながら、集団的発言チャネルの労働条件設定機能を高めるための方策について引き続き検討していくことが必要。

報告書本文はこちらです。

http://www.jil.go.jp/press/documents/20130730/report.pdf

なお、研究会の委員は次の通りで、

座長:荒木 尚志 東京大学大学院法学政治学研究科教授
呉 学殊(独)労働政策研究・研修機構労使関係部門 主任研究員
神吉 知郁子 ブリティッシュコロンビア大学 客員研究員
竹内(奥野)寿 早稲田大学法学学術院准教授
橋本 陽子 学習院大学法学部教授
濱口 桂一郎 (独)労働政策研究・研修機構 客員研究員
久本 憲夫 京都大学大学院経済学研究科教授
本庄 淳志 静岡大学人文社会科学部法学科准教授
水町 勇一郎 東京大学社会科学研究所教授
両角 道代 明治学院大学法学部教授
山川 隆一 東京大学大学院法学政治学研究科教授

座長の荒木先生がアメリカに行ってしまう直前に何とか出せましたね。

と、これを見て気がつきましたが、神吉さんがまだカナダにいることになってますな。現在帰国して立教大学法学部准教授になられてますので、直しておかなければいけなかったのに、うっかりしてた。

(追記)

神吉さんは、7月末日までは「ブリティッシュコロンビア大学 客員研究員」なのだそうなので、間違いではないようです。

ただ、既に立教大学法学部のサイトにも<2013年度後期着任>として載っています。

http://www.rikkyo.ac.jp/law/faculty/introduction.html

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