栗原管内では女性起業家を中心に多数の農産加工品が生産され,直売所や催事等で高い販売額を上げ,農業経営の重要な位置づけとなっています。
しかし,その加工技術は伝統的手法や自己流の製法で製作されたものが多く,品質そのものに問題があったり,販売品としての清廉さや消費ニーズ,流行をとらえ切れず,販売が伸び悩んでいる商品も少なくありません。
そこで,プロの基本的技術,応用技術,ワンランク上のテクニックなどを学ぶことにより,商品の品質改善とともに,あらたな商品展開へのステップとするため,去る11月9日,「高度技術習得による新たな商品開発への展開」と題し,「果樹加工経営学習会」を開催しました。特に今回は,果樹を使った加工品の品質チェック,加工技術の理論,基本と応用,新たな商品展開に向けた経営戦略の構築などについて,実習を兼ねながら講義をいただきました。
当日は株式会社クレオバンテールの渡邉代表取締役より,ジャム,ソース加工の基本である,素材そのものが持つペクチン量の測定方法や,ペクチン・糖・pHのバランスによってジャムができあがること,素材色の退色要因となる加熱温度と時間の関係,甘味と糖度の違いなど,まるで化学反応の勉強をする様な指導をいただきました。資料で見ると非常に難しい内容ではありましたが,実際に実験をしたり実習の中でいつも作っているジャムがこのように「化学反応」をしていることを知ると,参加者からは感嘆の声があがりました。
また,既存の製品についてコメントをいただき,退色や香りが少なくなってしまっているのは製造工程のこの部分に原因がある,糖度をそのままに甘味を下げる方法,素材の持つ栄養素で食味が悪くなってしまうことなど,まさに自分の製品そのもののチェックをいただき,参加者全員が問題意識を新たにしました。
さらに今後,商品の改善や,新たな商品展開をする上で,同じジャムであっても,昔と現在の食生活の変化からくる消費者の舌の変化=ニーズの違いについても触れていただき,従来の製法での生産が今のニーズに合っているかをきちんと把握すべきと指導いただきました。
これらを総合し,改めてジャムを作ったところ,これまでの商品の問題点が一挙に改善された素晴らしいジャムができあがり,参加者は「同じ材料なのに,理屈を知って作ったジャムとそうでないジャムがこんなにも違うなんて」と本当に驚き,改めて基本を知ることの重要性がいかに大切か身にしみていた様でした。
渡邉先生の講義終了後,栗原保健福祉事務所食品薬事班の小野技術主査より,食品営業を営む際の注意点と適正な食品表示ということで,加工許可のいらないジャム製造であっても留意すべき点について講義をいただきました。
普及センターでは,今後も,栗原の農産加工技術がよりレベルアップし,時代に合わせた商品開発が展開できる様,専門家等を活用しながらバックアップしていきます。
ジャムの理論を説明する渡邉代表取締役
ペクチンテストの手法を学ぶ
理論を聞いて実際にジャムを作成
<連絡先>
宮城県栗原農業改良普及センター 地域農業班
TEL:0228-22-9404 FAX:0228-22-5795・6144
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