去る11月1日,栗原合同庁舎を会場に,みやぎオリジナル品種「サワールージュ」学習会を開催したところ,管内のりんご生産者及び関係機関30名ほどが集まりました。
サワールージュは,宮城県農業・園芸総合研究所がりんごでは初めて種苗登録した品種で,近年,地産地消の意識の高い実需者や家庭での料理を念頭に置いた消費者の声に応えるべく開発されました。これまでの酸味系リンゴ「紅玉」よりも早生で,さらに「紅玉」の栽培上の欠点を克服した品種です。
当管内におけるりんご経営は「ふじ」に偏った品種構成となっており,販売は贈答販売,庭先販売です。よって,これまでの経営に酸味系品種であるサワールージュを導入する場合は,これまで持っていた顧客への販売だけでは苦慮することが予想され,販売先が課題となります。
そこで,生食以外での新たな販売チャネルを検討するため,学習会ではホテルメトロポリタン仙台の渡邉副総料理長を講師に迎え,料理長自らが試作したサワールージュの料理に舌鼓を打ちながら,より「料理業界が期待するみやぎの果樹」と題し,酸味系品種サワールージュおよびみやぎの果樹にかける期待について講演をいただきました。サワールージュの酸味を活かした“りんごとヨーグルトの冷製ポタージュ”,“りんごのジュレそば粉クレープ包み”,“りんごのムース”など目にも鮮やかな料理が参加者の笑顔を誘ったほか,スイーツだけではなく日本料理や中華料理など幅広い分野で利用した事例も発表され,サワールージュの可能性を示唆いただきました。また,「甘みはいくらでも加えることはできるが,果物の持つ酸味は人工的にはなかなか作り出せないもの,サワールージュの酸味は非常に魅力的」というお話しもいただきました。
学習会後半は実際にサワールージュを栽培するに当たって品種の特性,栽培上の留意点等を育成者である宮城県農業・園芸総合研究所より説明いただきました。
普及センターからは,「いまやりんごは「りんごの産地」=「ふじの産地」となっている。サワールージュを含め,ここ栗原でしか手に入らない品種,様々な顧客なニーズに対応できる産地など特徴のある産地づくりをしていくことが,今後りんご産地として生き残る道,選ばれる産地ではないか」と提案しました。
登録前から当管内には本品種の現地ほ場が金成に設置され,樹齢7年目となる本年,1本あたり40kg程度の量が収穫されました。周辺のリンゴ生産者は新品種の動向に注目しており,販売状況や評価次第では新品種の普及動向が変わってくると思われます。今後も生産者の新たな経営戦略に対する不安を解消すべく,普及センターとしては栽培面,販売面を全面的にバックアップしながら,特徴あるりんご産地づくりの支援をしていきたいと思っています
みやぎの果樹への期待を語る渡邉副総料理長
熱心に聞き入る生産者
目にも鮮やかなサワールージュの料理
<連絡先>
宮城県栗原農業改良普及センター 先進技術班
TEL:0228-22-9404 FAX:0228-22-5795・6144
goo blog お知らせ
プロフィール
ログイン
goo blog おすすめ
カレンダー
最新記事
カテゴリー
- 1先進的経営体等の育成・経営安定化・高度化 (346)
- 2新たな担い手の確保・育成 (423)
- 3先端技術等の推進・普及による経営効率化・省力化 (110)
- 4園芸産地の育成・強化支援 (758)
- 5収益性の高い水田農業・畜産経営の展開支援 (281)
- 6時代のニーズに対応した農畜産物の安定供給 (85)
- 7地域資源の活用等による地域農業の維持・発展 (217)
- 8環境に配慮した持続可能な農業生産 (58)
- 9大規模自然災害等からの復旧・復興 (16)
- 10要請・緊急対策,その他 (22)
- 以下旧カテゴリー(選択しないこと) (0)
- 先進的技術に取り組む経営体の育成・支援 (1229)
- 競争力のあるアグリビジネス経営体の育成 (354)
- 安全安心な農畜産物の生産に取り組む経営 (566)
- 環境と調和した農業生産に取り組む経営体 (65)
- 地域農業を支える意欲の高い担い手確保 (1077)
- 地域農業の構造改革に向けた取組支援 (67)
- 農村地域の振興に向けた取組支援 (482)
- 東日本大震災からの復興に関する支援 (208)
- その他 (71)