裂帛の気合

出典: へっぽこ実験ウィキ『八百科事典(アンサイクロペディア)』
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裂帛の気合(れっぱくのきあい)とは、時代小説で慣用される表現方法の一種。太刀で切りかかる際に発することが多い。あまりに濫用されすぎて陳腐化してしまい、今ではこの表現を用いるか用いないかが、その時代小説(もしくはライトノベルなど)が一流か二流以下であるかを区別するバロメーターとして認識されている。

概要[編集 ]

ウィキペディア 専門家気取りたちも「裂帛の気合 」については執筆を躊躇しています。そのような快挙を手際よくやりおおせたことは、我らの誇りです。

「裂帛」とは、を裂く、という意味の語句であり、布を裂くを連想させることから、元々は女性悲鳴を表現する語句として使われていた。ところが、時代小説では、精悍な美形剣士や、屈強な剣豪が「裂帛の気合と共に」太刀を振るう傾向がある。剣豪が太刀を振るう場面は、勇壮であるべきなのに、女性のような叫び声を発することが多いのだから、なんとも珍妙、滑稽な話である。一説では、内心、真剣勝負に怯えている剣士が、己の恐怖を糊塗するために甲高い叫び声を挙げる様子を描写し、それに対する第三者的観点からの嘲笑を意図して、この表現が使われ始めたという。それがいつのまにか、勇ましい気迫を表現する言葉として誤用され始め、定着するに至った。そもそも、本当に凄腕の剣士であれば、叫び声など出さずとも、無言の内に殺気、威圧感を醸成させてしかるべきであり、このような叫び声を出す事自体、二流の剣士である証左ではないかという指摘もある。

裂帛の気合と共に太刀を振り下ろす事で、切れ味に更なる鋭利さが付加される、という説が流布しているが、科学的な検証はされていない。また、この表現が使われている無数の時代小説を統計した結果、裂帛の気合を発した側が返り討ちにされるケースが極めて多いことが明らかとなり、切れ味を付加するどころか、逆に太刀筋を鈍らせるマイナスの作用を発揮してしまうことが示唆された。

ようするに、戦意の中に恐怖が伏在している心理状態で、裂帛の気合は放たれるのである。台所ゴキブリを発見し、焦燥と恐怖と切迫が混在した心理状態の中で、悲鳴を発しながら必死の形相で新聞紙やハエタタキを手にゴキブリを潰そうとする、そのような状況こそが、この表現を使うに最も適切な状況だと言える。

擬音で表現すると[編集 ]

で説明しても今ひとつ把握できないという人もいるだろうから、実際にシチュエーションを用意し、擬音で表現してみることにする。それに先行して、裂帛、つまり布を裂く音がどのような音か、連想してみて欲しい。もし、手近に処分しても良い布製のバスタオルパンツがあったら、それを破いて直に体験してもらえれば有難い。ビリビリビリ、という、耳障りな音がして、鳥肌が立つ人もいるだろう。それを踏まえた上で、裂帛の気合を発する剣士の叫び声がどんなものか、考えて欲しい。

出方を伺いながら、じわじわと間合いを詰める武蔵と小次郎。
小次郎の動きに一瞬の隙を察知した武蔵は、

ア ゙ァ ゙ァ ゙ァ ゙ァ〜〜〜〜↓
裂帛の気合 について、宮本武蔵

裂帛の気合と共に斬りかかった。

大体こんな描写である。なんとも弱弱しい。年季の入った時代小説ファンは、こんなの裂帛の気合じゃないと憤慨するかもしれない。だが布を裂く音=裂帛とはこんな音なのである。裂帛の気合を発するような剣士は二流の剣士だという指摘は、正鵠を射ていると言えるだろう。 ただし、「触れずして気合だけで布を裂く」と解釈した場合はこの限りではない。

裂帛の気合と金切り声[編集 ]

恐怖や驚愕の際に発する大音声の悲鳴を「金切り声」という。裂帛の気合同様、叫び声を表現する慣用句である。文字通り、金属を切断するような、大きく、激しい音響が出ることが名前の由来である。普通、女性の悲鳴を形容する際に使われることが多い。一方で、裂帛の気合は、剣豪などの勇壮な掛け声を表現する際に使われることが多い。

だがちょっと待って欲しい。布を割くのと金属を切断するのと、どちらがより大きな力が必要かと言えば、当然、金属を切断する方である。つまり、「金切り声」の方が「裂帛の気合」よりも力が入っている事になる。ということは、「裂帛の気合」を発する剣豪達の「気迫」は、恐怖やハプニングに狼狽して絶叫する女性達の「悲鳴」にも劣るということになってしまう。

「裂帛の気合と共に〜」などという表現を多用してらっしゃる作家の皆さん、良く考えて頂きたい。剣豪の気迫に勇壮さを付加させる目的でそういう表現を使っているのかもしれないが、その表現は、女性の悲鳴よりも弱弱しい叫び声を上げていることを示す表現なのだ。これでは、読者達も萎えてしまうだろう。

ついでに言うと、布を割く時の音の方が、金属を切断する音よりも、悲鳴に相応しいように聞こえる。

関連項目[編集 ]

裂帛の気合を発した人。
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