男女登場機会均等法
男女登場機会均等法(だんじょとうじょうきかいきんとうほう)は、日本で1990年代ごろ(詳細な制定年は不明)に制定された法律のことである。映画、ドラマ、漫画、アニメ、小説などといった文芸作品において、男性と女性の登場比率を平均的にすることを目的に制定された。
法制定の背景[編集 ]
日本では明治維新後から太平洋戦争終結まで、大日本帝国憲法や民法など諸法律は男性を優位と位置づけ、男性の戸主が家族を絶対的に支配し、参政権なども男性のみが有すると、女性を蔑視した形で制定されていた。
終戦後、フェミニズムが発達していたアメリカ合衆国が日本を占領すると、女性高官を中心にこれを是正しようとする動きが強まった。終戦年に女性参政権が認められたのを皮切りに、日本国憲法制定や民法、刑法改正などが実施され、憲法24条の「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として・・・」などが象徴するように、アメリカ式の男女同権主義が日本にも伝播することになったのである。
しかし、日本の文芸作家などには戦前生まれのものが多く、それゆえ文芸上の世界ではその後も長らく「作品中では主に男性が活躍し、女性はそれに守られる存在である」と、女性を軽視した形で表現されているものが多く存在した。そのため女性を中心に、この動きを改めるべく運動が行われ、制定されることになったのが本法である。
法施行による影響[編集 ]
本法の施行後、日本においてはドラマや映画作品において、その原作となる小説や漫画に登場する人物は男性ばかりであっても、その一部を女性に置き換える動きが進められた。
例えば小松左京の『日本沈没』においては、原作の小説および初期の映画・ドラマ化作品では登場人物の大半は男性であり、女性はか弱い存在として少し描かれている程度であったが、2006年の映画や漫画化においては現実社会ではまだ事例がほとんどないにもかかわらず、女性の官房長官や特別救助隊員が登場するように内容が変更されている。
またヒーロー物特撮作品においても、昔は女性隊員は皆無か、5名中1名といったように比率的に極めて少ないものが多かったが、昨今では3:2または2:1のように同比率に出来るだけ近づけようとした事例が散見できる。中でも顕著な例はフランシス・カッポレ監督の『ニジュウヨニンジャー』であり、男女の比率の他、人種・年齢・貧富・美醜にも気を配った結果、特撮ヒーローの人数が24人に膨れ上がった(参考:『こちら葛飾区亀有公園前派出所』131巻)。
例外[編集 ]
ただし本法の施行後も、例外と看做され、男性ないし女性の比率が極端に偏った作品は多く見ることが出来る。以下が代表的な事例である。
- スポーツ作品:野球や相撲のように、女性の選手が現実には存在しないスポーツを取り上げた作品では、当然ながら男性のキャラのほうが圧倒的に多い事例が見られる。その逆も然り。
- 特定の性を対象とした作品:男性の読者・視聴者、ないし女性の読者・視聴者のみを当初より対象として作成された作品においては、登場するキャラの性が偏る事例は多々存在する。萌え系や801系などが代表的な事例である。
- 歴史作品:『三国志演義』のように、現実の歴史で登場していた人物が一方の性のみに偏っていた場合、それを題材として作品を作成した場合は、必然的にその登場キャラの性も一方に偏ることになる。ただし作品によっては、上杉謙信や織田信長を女性にしたように、比率を強引にそろえたり、逆転させようとしたものも見られる。
- 某作者の描くギャンブル漫画:アカギやカイジといった作品には女性がまったくでていない。ギャンブルの世界に女は必要ないからとか・・・
- その他全般:『嬲』や『嫐』といった文字を使う作品では必ずどちらかに比率が偏ってしまう。