トロイの木馬
トロイの木馬(-もくば)は、非常に精巧に作られた木馬。
概要[編集 ]
ホメロスなど詩人の書いた作品に伝わるトロイア戦争で使われたとされる存在で、普通の馬とまるで区別がつかない程に再現度が高い木馬であったという。伝承通りであれば、外見だけでなく、中身、用途までも似通らせる事に成功しており、人類史上最高の模型と言っても過言ではない。
かつてはトロイア戦争自体が創作の神話だと信じられていたが、ハインリヒ・シュリーマンがトロイアの遺跡を発掘、実在の戦争であったことを証明した。そのため、トロイの木馬も実在したものと考えられるが、現時点まで発掘されたものはない。考古学者としては未熟だったシュリーマンは遺跡をきれいに発掘できず、多くの遺物を破壊したため、木馬も破壊されてしまったのではないかと危惧されている。
現代においては、コンピューター上にトロイの木馬を再現するプロジェクトが世界中で行われている。プロジェクトでは、巧妙に作られた木馬をインターネットを通して送付し、どれだけ多くがファイアウォール内に引き入れられるかを研究、いかにトロイアが木馬を引き入れ、滅亡したかがシミュレーションされている。
馬と似せる事に成功した点[編集 ]
- 外見
トロイの木馬の作製にあたり、人々が最もこだわったのは外見である。トロイの木馬は現存していない上、当時は技術がなく、写真も残っていないため、その姿を現代の我々が確認する事はできない。しかし資料には「トロイの木馬を兵士が城に連れ帰った」との記載がある。木馬を城に連れ帰ったところで邪魔なだけであり、何の役にも立たない。そのため、これは戦に役立つ本物の馬と勘違いして連れ帰った、と解釈するのが自然であろう。並みの木馬ならば、映像越しでも偽物だと分かるが、トロイの木馬は実際に生で見た者の目すらも欺いてるのだから、その外見の完成度は素晴らしいものであったと推測される。
- 中身
トロイの木馬の作製に携わった人物には内部にまでこだわる者もいたとされる。彼はトロイの木馬に内臓を入れる事を提案した。しかし、死んだ生き物の内臓を入れてしまうと、それが放つ強烈な異臭によって、折角の外見も含めて台無しになってしまう。「では代わりに生きている動物ごと入れればよいではないか」という案も、動物が中で吠えたり暴れたりする危険性から却下された。そこで考え出されたのが人間を中に入れるという手法。生きている人間ならば、中に入れても異臭もしないし、暴れる事もない。「トロイの木馬の内部に内臓がある」という事実を作るためにはこの手段が最適解であると導き出されたのだ。
- 用途
外見と中身において馬の再現に成功したトロイの木馬。残るもう一つの要素である「用途」についても再現したいという議論が当然のごとく立ち上がった。当時の馬の主な用途は、戦争での利用。そこで、トロイの木馬内に人が入っている事を利用して「敵にトロイの木馬を城内へ運び込ませた後に、中の人間が奇襲攻撃をかける」という形で戦争に利用する案が考え出された。先ほど述べた「トロイの木馬を兵士が城に連れ帰った」という話はその作戦時のエピソードであり、結果として奇襲攻撃は成功している。これによってトロイの木馬は、外見・中身・用途の三項目で馬に似せる事ができたという事になる。
馬と似せる事ができなかった点[編集 ]
そんなトロイの木馬であるが、唯一馬と似せる事に失敗したポイントがある。それは、「繁殖」だ。トロイの木馬は自己増殖の力を持たない。当然野生の馬は自己増殖の能力を有している為、この点において、トロイの木馬と馬とでは決定的な差異が生じてしまっている。