梅星

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梅星(ばいせい)
Umebosinterior.png
軌道要素と性質
軌道長半径0.1245 AU
離心率0.032
軌道傾斜角1.54°
公転周期16.05日
物理的性質
直径8649 km
質量×ばつ1024kg
平均密度3210 kg/m3
自転周期16.05日(=公転周期)
アルベド0.12
表面温度67K 〜 1215K

梅星(ばいせい、Umebos)とは、水星の内側の軌道に存在する太陽系第9惑星である。2008年1月にアメリカの天文学者ウィリアム・A・ロビンソンらによって発見された。

軌道長半径は0.1245AUで、わずか16日周期で公転している。太陽に非常に近い軌道を周回しているため、太陽との最大離角は10°に過ぎない。これが梅星が2008年まで発見されなかった要因である。

梅星は地球と同じように主に岩石からなる岩石惑星で、赤道直径の8649kmは地球直径の68%に相当する。太陽からの強い潮汐力によって、公転周期と自転周期が一致し、常に同じ面を太陽に向けている。また、潮汐力のため、太陽と梅星の中心を結んだ線を軸とする方向に30kmほど引き伸ばされたラグビーボール状に変形している。

英語名は梅干し...もといローマ神話に登場する英雄ウメボスに由来する。

物理学的性質[編集 ]

サイズ[編集 ]

梅星と地球のサイズの比較。

ウメボスの直径は8649kmで地球の68%である。この大きさは、地球や金星より小さいが、火星や水星よりは大きい。体積は地球の3分の1だが、質量は地球のおよそ5分の1である。これは平均密度が小さいからである(後述)。

軌道[編集 ]

梅星は太陽系で最も太陽に近い軌道にある惑星でありながら、太陽系第9惑星である。これには議論があった。梅星を太陽系第1惑星とし、以降の惑星を1つずつシフトさせる案もあったが(これによると地球は太陽系第4惑星になる)、結局梅星を太陽系第9惑星にすることで落ち着いた。

梅星の軌道長半径は0.1245AUである。これは梅星は地球と比べて8倍太陽に近いことを意味する。梅星が見つかるまで最も太陽に近い惑星だった水星と比べても3倍ほど太陽に近い。軌道はわずかに潰れた楕円(離心率0.032)で、太陽からの距離は0.1205AU〜0.1285AUの間で変化する。

公転周期は16日と非常に短い。

自転[編集 ]

梅星は太陽から非常に強い潮汐力を受けている。この潮汐力の結果、梅星の自転速度が奪われ、自転周期と公転周期が一致して、常に同じ面を太陽に向けるようになった。梅星の地表に立って空を見上げると、常に同じ位置に太陽が見えることになる(ただし梅星の公転速度が一定ではないため、太陽の位置はわずかに動いて見える)。

水星は潮汐力の影響で自転と公転が3:2の共鳴関係になっている。これは、軌道離心率の大きい水星の場合、自転と公転が一致するより3:2の共鳴関係になるほうが安定なためである。離心率の小さい梅星の場合は自転と公転が一致した方が安定であり、実際にそのようになっている。

梅星は常に同じ面を太陽に向けているため、恒常的な昼の半球と恒常的な夜の半球が存在する。昼の半球と夜の半球では温度差が激しい(後述)。

大気[編集 ]

梅星の地表の気圧は地球の100億分の1に過ぎない。だが太陽に近いため、太陽のガスがよく飛んでくるため、地表でガスの濃度を測っても正しい大気の量を測れているとは言えない。重力が弱いため、高温の大気を地表に繋ぎとめることができないからである。薄い大気はナトリウムカリウムカルシウムなどがから成っている。

温度[編集 ]

梅星は太陽からの潮汐力によって常に同じ面を太陽に向けている。しかも梅星には、昼の面から夜の面に熱を輸送する大気が存在しない。そのため、梅星はすさまじい寒暖の差を持つ惑星となっている。

常に太陽に熱せられている「昼の半球」の温度は、最高で942°C (1215K) に達している。この値は金星で観測されていた惑星の表面温度の最高記録 (500°C) を大きく塗り替えた。一方で「夜の半球」で観測された最低温度は-206°C(67K)。極寒の世界である。これまで最も寒暖の差が激しい惑星は水星 (-183°C〜427°C) だったが、梅星はそれを大きく上回る温度差を持つ惑星ということになる。

地形[編集 ]

梅星全体は赤みがかった灰色をしている。赤みがかっているのは未知の化合物によるものと思われる。

梅星に接近して観測を行った探査機は存在しないため、詳細な地形は明らかになっていない。しかし地上からの観測によると、「昼の半球」に明暗の模様が観測されている。この模様がどのようなメカニズムで作られたのかは明らかではないが、の海のようなものだという研究結果がある。模様の中で黒い部分は太陽光をよく吸収し、他の部分と比べて高温になっていることが、赤外線による観測で明らかになっている。

梅星の「夜の半球」には永遠に太陽光が当たらないため、きわめて低温の世界となっている。地上からのレーダーによる観測で、梅星の夜の半球には大量の氷が存在していることが分かっている。これは梅星に衝突した彗星に含まれていた氷が、蒸発することなく生き残ったものと考えられている。この氷が、外部からもたらされたものではなく、梅星が形成された当時から存在し続けているものであることを示唆する研究もある。

さらに梅星の「夜の半球」の「昼の半球」に比較的近い側のクレーターが液体のメタンの湖になっていることが最近になってわかってきた。ここに生物がいた場合、タイタンの生物と似ている可能性が高い。

内部構造[編集 ]

梅星を他の岩石惑星と比較した際の特徴として、その低い平均密度 (3210kg/m3) が挙げられる。岩石惑星は岩石と金属からなるが、梅星の場合はほとんどが岩石からなっており、金属はわずかしか含まれないと予測されている。これは一つ外側の惑星である水星が、質量の7割が金属からなっているのとは対照的である。

形成理論[編集 ]

梅星なぜこのような内部組成になったのかについて、確定的な説はまだ現れていない。いくつかの説が提唱されているが、その中でも特に有力と考えられている「衛星説」を解説する。まあ、東大生は分かんないんだろうな

太陽系が形成されたとき、梅星〜火星軌道付近には多くの原始惑星があった。この原始惑星の中で比較的大きなものに別の原始惑星が衝突した。この衝突は原始惑星をかすめる形でおきたため、原始惑星の中心にあった金属核は破壊を免れ、表面の岩石質マントルのみが破片として撒き散らされた。この破片は原始惑星の周囲を取り囲むように周回し、互いに衝突を繰り返し、そして衛星が作られた。この衛星は岩石を多く含むものだった。

ここまでは地球のの起源を説明する巨大衝突説と同じである。

衛星はしばらく原始惑星の周りを回っていたが、そこに別の原始惑星が接近してきた。この接近の結果、衛星は原始惑星の重力圏から引き離され、太陽の周りを回る「惑星」になってしまった。その惑星が今の梅星というのである。

この説は大きな矛盾なく梅星の組成を説明できるので広く受け入れられているが、まだ証拠は得られていない。確証を得るためには今後のさらなる探査が必要である。

人類と梅星との関わり[編集 ]

発見[編集 ]

2006年冥王星が惑星から除外され、太陽系の惑星の数は8個になった。冥王星の発見者はアメリカ人だったため、アメリカ国内は意気消沈した。しかしその直後の2008年、梅星がアメリカ人天文学者によって発見されたことで、国内はお祭り騒ぎになった。ブッシュ大統領(当時)は「これはアメリカの歴史に残る偉大な科学的成果だ」とコメントした。

探査[編集 ]

NASAが発表したウメボス・パスファインディング・オービターの予想図。図中左側に取り付けられた熱遮蔽シールドが特徴である。

現在のところ梅星の観測は地上からのみ行われている。しかし今後、NASAの探査機による調査が計画されている。ウメボス・パスファインディング・オービター (UPO) と名づけられたこの探査機は、2012年に打ち上げられた後、金星と水星のスイングバイを行い、2014年に梅星の周回軌道に投入される予定である。

発見後異例の短期間でNASAの計画が発表されたのは、前述のように梅星の発見者がアメリカ人であることと関連していると考えられる。

NASAのUPOに続いて、欧州宇宙機構 (ESA) や宇宙航空研究開発機構 (JAXA) も独自の探査計画を発表している。

関連項目[編集 ]

  惑星
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