経験がなくて不安な税理士・調査官のための
税務調査を今一度ちゃんと考えてみる本
・国税調査官・税理士・公認会計士―それぞれの視点から「調査先の選定」〜「税務訴訟」までのすべてを振り返る
調査官なら誰もが抱える悩み、税理士なら誰もが持つ疑問、それらひとつひとつを丁寧に検証
税務調査が不安な税理士にも、新人の調査官にも役立ててもらえるように、税務調査を「受ける側」・「進める側」の両方の視点から、税務調査を検証したものです。
著者は、高校卒業後に東京国税局に入局し、税務署において中小企業の税務調査に従事してきました。その後、在職中に公認会計士試験に合格し、退官後に監査法人にて会計監査に携わり、調査官と監査人の経験を活かして、法律事務所にて大規模法人の税務調査対応や税務訴訟等を経験してきました。
「調査を行う調査官」として、「調査を受ける税理士」として、「訴訟に発展してしまった調査事案の補佐人税理士」として、様々な立場から税務調査に携わり続けてきた経験から、調査官なら誰もが抱える悩み、税理士なら誰もが持つ疑問、それらをひとつ一つ丁寧に検証し、つかみにくい税務調査の実像に迫ります。
「税務調査」をめぐる様々な情報のなかには、いまだに、正確性に欠けるものが多く見られます。
例えば、
・調査官はノルマが全てだから何が何でも増差を取りに来る
・調査先に選定されるには理由がある
・雑談から売上除外を見抜かれることもあるので、雑談に応じてはいけない
などといったものです。
このような正確とはいえない情報は、納税者や税理士を不安にさせるうえに、調査前から「国税vs納税者(税理士)」といった対立構造がつくられてしまうことにもつながります。結果として、調査に携わる全員に無駄なストレスと不要な準備を強いることにもつながりかねません。
本書は、国税調査官と税理士、両方の経験に、会計監査人や補佐人税理士といった複数の視点も加えて、税務調査に携わる人たち気持ちや、置かれた状況まで含めて、税務調査の実際の姿を描き出しています。
調査官と納税者(税理士)にとって、税務調査が「勝った負けた」の場ではなく、適正な申告のための建設的な議論ができる場であることを再認識させてくれます。
【執筆者プロフィール】
村上 博隆(むらかみ ひろたか)
公認会計士・税理士。福岡県生まれ。福岡市育ち。
地元の商業高校を卒業後、東京国税局へ入局。都内の税務署にて、資本金1億円以下の中小企業の法人税・消費税・源泉所得税調査、公益法人等に対する消費税単独調査、消費税還付審査、大規模法人(主として国税局調査部所管法人)の印紙税調査等に従事する。
在職中に公認会計士試験に合格し、大手監査法人にて、上場企業等に対する会計監査(金商法監査、準金商法監査、会社法監査)、IPO(株式公開)支援業務等に従事する。
国税調査官としての経験及び会計監査人としての経験を活かすため、大手法律事務所にて、税務訴訟(東京地裁〜最高裁。補佐人税理士として)、税務調査対応(東京国税局調査部、統括国税実査官部門、税務署特別国税調査官部門など)、M&A関連業務(税務会計アドバイザー)、税務顧問業務(主として上場企業)、会計不正調査対応(特別調査委員会の補助者として)等に従事し、2022年3月より村上公認会計士事務所の本格稼働を開始。
国税、監査法人、法律事務所での豊富な経験と知識を活かして、会計・税務アドバイザリー業務や会計税務顧問、執筆活動を行っている。
好きな言葉は「努力に勝る天才なし」「日々精進」「Slowly but surely」。
(略歴)
2004年 福岡市立福翔高等学校(旧:福岡商業高等学校)卒業
2004年 東京国税局にて、中小企業の税務調査等に従事(〜2013年)
2009年 専修大学経済学部卒業(二部(夜間部))
2011年 公認会計士試験合格
2013年 大手監査法人にて、東証一部上場企業等の会計監査、株式公開支援業務等に従事(〜2017年)
2015年 公認会計士登録
2017年 税理士登録
2017年 大手法律事務所にて、税務顧問業務(主として上場企業)、税務訴訟(補佐人税理士)、大規模法人に対する税務調査対応支援、税務アドバイザリー業務、税務デューデリジェンス等の業務に従事(〜2022年)
2018年 日本公認会計士協会 東京会 税務委員会委員(〜2019年)
2022年 村上公認会計士事務所の本格稼働を開始(2022年3月1日〜)
・税務調査の情報について思うところ
・なぜ上記の問題は解決されないのか
・本書の構成
・自己紹介
・国税庁の統計からみる税務調査の状況
Column 「平均値」が実態を示しているとは限らない
第1章:国税の組織と調査体制
・国税の組織及び調査体制
・強制調査は査察、税務署の調査は任意調査
・税務署に勤めることの良さ
・税務署に勤めることの悪い点
・国税局の税務調査と税務署の税務調査
・国税局と税務署の調査は違うのか?
・税務調査での税法の議論
・税務調査の種類
・税務調査を担当すると若いうちから判断する機会が与えられる
Column 税務大学校の試験について思うこと
Column 本科研修の選抜試験
Column 急拡大している事務所
Column 税務署の職員上がりに会計監査は無理?
第2章:税務調査先の選定
・どのようにして選定されるのか?
・法人事業概況説明書を税務署との会話のツールに
・タレコミ
・反論すると税務調査の頻度が上がるのか?
・税務署のブラックリスト?
Column たくさんの申告書を見ることで得られるもの
Column 勘定科目内訳明細書「住所欄」記載省略の弊害
Column 情報提供制度の悪用
Column 会計案件の調査委員会での経験を踏まえて
第3章:税務調査(全体)
・税務調査の時期
・7月〜12月に税務調査が多い理由
・異動の時期を利用するという情報
・税務調査のノルマ
・場数を踏む
・増差所得金額による評価
・税務調査の指令
・税務調査の日程調整
Column 成績が良くないと調査部門から外されるのか
Column 調査官が言う「出張」の意味
第4章:準備調査では何をしているのか
・準備調査のやり方
・誤記が原因で税務調査の対象となることもある
・準備調査のやり方は人それぞれ
・決算書をキャッシュフローで読む
・事前通知
・3期分の資料の準備が必要か?
第5章:実地調査〜雑談と概況聴取〜
・税務調査の大きな流れ
・雑 談
・雑談には気を付けた方がいいのか?
・概況聴取
・概況聴取で売上除外を発見できるのか?
・概況聴取で売上除外を発見するための視点・やり方
・会社規模で概況聴取の仕方が変わる
・日常業務で作成している書類等の把握
Column 雑談は自然とできるようになる
Column 模範解答を丸暗記
Column 国税OBの税務調査の立ち会い
第6章:税理士の立ち会い
・税務調査のリハーサル
・税理士の立ち会いのない税務調査
・概況聴取では誰が説明するのか?
・調査官も言葉遣いに気を付けた方が良い
・代表者の立ち会いがない場合
Column 借入金返済は費用じゃないのか? という質問
Column 税務署になんかお世話になってねーよ
Column 「みそか締め」という言葉
第7章:帳簿調査で何がわかるのか
・帳簿調査
・期ズレの検討
・期ズレの対応をどこまですべきか
・「帳簿を見ないのが税務調査だ」というアドバイス
・適切な売上の検討の仕方
・月次推移表を作っていた
・期末から直近3か月間の取引しか見ない理由
・大規模法人は「どこを見るべきか」の見極めが重要
・勘定科目の誤り
Column 簿記3級の知識だけで税務調査ができるのか?
第8章:売上計上漏れと売上除外
・売上計上漏れと売上除外の違い
・「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
・現金売上の計上漏れは売上除外か?
・一筆重加(いっぴつじゅうか)
・預金通帳との突合で売上除外が見つかることもある
・コミュニケーション不足から生じた売上除外
・税務調査に関する情報の得方
・身近に国税OBはいる
Column やる気がない調査官が来たら嬉しい?
Column なぜ、税務調査の情報を聞きたいのか
第9章:反面調査の難しさ
・実務補習所でのディスカッション
・いろいろな反面調査先
・書面による反面調査
・反面調査は難しい
・個人(一般消費者など)への反面調査
・税務調査先と反面調査先の力関係
・人の記憶ほどあてにならないものはない
・3年前の取引について正確に答えられますか?
Column 訴訟記録の閲覧
第10章:不正経理事例編
・不正経理の事案は案外単純
・理屈どおりにはいかない
第11章:調査結果説明(講評)
・講 評
・一種のセレモニーのようなもの
・慣れないと少し恥ずかしい
・会計監査での報告会
・税務署の感覚で判断するとすべて及第点
・調査結果説明
・指摘事項一覧表の書面は必ずもらうこと
・経理担当者からの質問
・他社例を知る機会はそんなにない
・IPO支援の経験から
・良い取組み事例を開示しても良いのではないだろうか
・うちの税理士はどうですか?
・未払法人税等を計上するタイミング
第12章:修正申告で気をつけておきたい点
・修正申告書作成から提出までの流れ
・修正申告書作成の大まかな流れ
・修正申告書ドラフトあるある
・簿記ができない税務職員
・調査1年目の調査官を苦しめるのがこれ
・修正申告の内容を第三者に見てもらう
・調査の記録を残す
・更正処分
・「訴訟に耐えうる」とは何?
・間接証拠しかない場合
・判断から逃げないで欲しい
第13章:指導事項への対応
・指導事項
・指導事項への対応
第14章:消費税還付審査
・消費税還付審査
・消費税の還付申告
・机上審査
・還付が遅いと苦情を入れても「やぶへび」
・主担部門(消費税・間接諸税担当)
・消費税還付審査は難しい
・還付申告には必ずストーリーがある
・主担部門経験者として悔しい経験
・「お尋ね文書」が来ると思っていた方がよい
・還付理由を説明できるかを確認
・不課税売上の証明が結構難しい
・具体的にイメージするとわかる
・不正還付事案
・簡易課税適用法人の還付申告
・状況に応じて実地調査へ移行
・どこかおかしな還付申告
・課税売上であると指摘した事例
・建設仮勘定(中間金)の課税仕入れの時
・輸出申告書の名義が相違している事例
・還付額が減っただけでも加算税はかかる
・消費税が苦手な人が多い
・契約書を締結した方がよい
・個別対応方式をざっくりと
・真面目に申告している人が損をすることへの疑問
・今後もますます重要になると思う
第15章:無予告現況調査
・無予告現況調査とは
・心を無にする
・思っている金額に落ちていく
・納税者から同情された
・ノルマのためではなく正義感からではないかと思う
・調査官に問題がある事例が余計に話をややこしくする
・一番こたえるのが「どうぞ、どうぞ」
・調査官にとっても税務調査は怖い
・税務署と警察とは喧嘩をするなという教え
Column 「正義」という言葉について
第16章:無申告法人に対する税務調査
・所得税の確定申告シーズン
・無申告が一番悪い
・商業登記の情報
・設立はしたが未稼働
・稼働無申告法人
・納税までを意識して調査する
・個人事業主の無申告
・どうやって接触するのか
・銀行員と税務職員の恰好は似ている
・無申告になった理由
第17章:印紙税の税務調査
・印 紙 税
・印紙税があまり好きではない
・印紙税はとても怖い税金
・一の文書の意義と、素朴な疑問からくる質問
・大企業の税務調査を経験できる
・調査先の選定
・税務調査の事前通知
・実地調査(行政指導?)
・調査日数
・覚 書
・社内文書ではない
・請負に関する契約書
・文書の所属の決定
・契約書全てを読む必要はあるか?
・新しい指摘というよりは同じ事の繰り返し
・契約先が必要部数以上作成してきたときはどうする?
・第三者へ提出用という抗弁
・貼付漏れがあった場合
・過 怠 税
・過怠税について調べてみる
・自主監査のやり方
・写しに印紙は必要なのか?
・何事も経験
Column 「印紙税の手引」をご紹介
第18章:消費税単独調査
・収益事業とは
・実費弁償契約
・特定収入
・かなりややこしい
・個別対応方式と似ている
・特定収入の誤り事例
・課税取引に該当するかも検討している
・意外にも監査法人でも役に立った
・システムに依拠してブラックボックス化
・何のための調査?
第19章:税務訴訟
・この章を読むにあたって
・2023年3月6日最高裁判決
・事案の概要
・様々な視点
・それぞれの視点でこの事例を見てみる
・実務の考え方で解決できるのは国税不服審判所まで
・税務調査の場面ではどうか?
・税務訴訟の大きな流れ
・高裁と最高裁
・代理人を探すタイミング
・代理人の選び方
・税務訴訟のデメリット
・税務訴訟における税理士の役割
・どのようなタイプの税理士が向いているか?
・リサーチの方法
・協業作業だと思う
・リサーチによる副産物
・訴訟の戦略はどのようにして決まっていったのか
・噛み合わない主張合戦
・百聞は一見にしかず
・事実上不可能だった場合どうやったら救われたのか
・わざわざ訴訟で解決を図る必要があるのだろうか?
・小さな可能性に向けてのメッセージ
・税理士と弁護士がコラボすれば何かが変わるのではないか?
同じジャンルの商品
ご注文
3,190円(税込)