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家計調査 用語の解説

用語の解説

  1. 収支項目
  2. 各種比率
  3. 現金収支と現物収支
  4. 用途分類と品目分類
  5. 世帯と世帯員
  6. 調整集計世帯数
  7. 世帯数分布(抽出率調整)
  8. 購入頻度(100世帯当たり)、購入世帯数(10,000分比)
  9. 年間収入階級と五分位、十分位階級
  10. 住居の所有関係
  11. 実質増減率の算出方法
  12. 平成14年以降の食料の購入数量の推計方法
  13. 分布補正
  14. 基礎的・選択的支出及び支出弾力性
  15. 消費水準指数
  16. 季節調整の方法
  17. 家計消費指数

用語の解説

1 収支項目

家計の収支は消費構造の分析に有用なように、収入については収入源別に、支出については用途別に区分されている。この区分を収支項目といい、その分類方法は 「収支項目分類の基本原則」(2023年報から引用)(PDF:409KB)を参照のこと。

ここでは主な収支項目等について説明する。

1-1. 収入

(1)実収入......いわゆる税込み収入であり、世帯員全員の現金収入を合計したものである。

(2)実収入以外の受取(繰入金を除く)......言わば「見せかけの収入」であり、現金が手元に入るが、一方で資産の減少、負債の増加を伴うものである。

(3)繰入金......前月から持ち越した世帯の手持ち現金である。

(4)受取......「実収入」のほか、「実収入以外の受取(繰入金を除く)」、前月からの「繰入金」を含み、「支払」と一致している。

1-2. 支出

(1)実支出......「消費支出」と「非消費支出」を合計した支出である。

(2)消費支出......いわゆる生活費のことであり、日常の生活を営むに当たり必要な商品やサービスを購入して実際に支払った金額である。

(3)非消費支出......税金や社会保険料など原則として世帯の自由にならない支出である。

(4)実支出以外の支払(繰越金を除く)......言わば「見せかけの支出」であり、手元から現金が支出されるが、一方で資産の増加あるいは負債の減少を伴うものである。

(5)繰越金......当月末における世帯の手持ち現金である。

(6)支払......「実支出」、「実支出以外の支払(繰越金を除く)」、翌月への「繰越金」から成り、「受取」と一致している。

1-3. その他

(1)可処分所得......「実収入」から税金、社会保険料などの「非消費支出」を差し引いた額で、いわゆる手取り収入のことである。これにより購買力の強さを測ることができる。

可処分所得 = 実収入 - 非消費支出

(2)黒字......「実収入」と「実支出」との差であり、マイナスの場合は赤字ということになる。これは「可処分所得」から「消費支出」を差し引いた額とも同じである。

黒字 = 実収入 - 実支出 = 可処分所得 - 消費支出

(3)貯蓄純増......「預貯金」と「保険料」の合計から「預貯金引出」と「保険金」の合計を差し引いたものである。

貯蓄純増 = (預貯金 + 保険料) - (預貯金引出 + 保険金)

(4)金融資産純増......「貯蓄純増」に「有価証券購入」と「有価証券売却」との差を加えたものである。

金融資産純増 = 貯蓄純増 + (有価証券購入 - 有価証券売却)

2 各種比率

(1)エンゲル係数......消費支出に占める食料費(用途分類による)の割合である。

エンゲル係数 = 食料費 ÷ 消費支出 ×ばつ 100

(2)黒字率......可処分所得に対する黒字の割合である。

黒字率 = 黒字 ÷ 可処分所得 ×ばつ 100

(3)平均貯蓄率......可処分所得に対する貯蓄純増の割合である。

平均貯蓄率 = 貯蓄純増 ÷ 可処分所得 ×ばつ 100

(4)金融資産純増率......可処分所得に対する金融資産純増の割合である。

金融資産純増率 = 金融資産純増 ÷ 可処分所得 ×ばつ 100

(5)平均消費性向......可処分所得に対する消費支出の割合である。

平均消費性向 = 消費支出 ÷ 可処分所得 ×ばつ 100

3 現金収支と現物収支

収支は現金収支と現物収支に分けられる。現物収支について、2017年までは、現金収支とは別に大きな分類のみ集計していた。2018年以降は、家計簿の現物(「もらい物」及び「自家産物」)欄削除に伴い、集計していない。

4 用途分類と品目分類

支出の中の「消費支出」は「用途分類」と「品目分類」の二通りの方法によって分類されている。

「用途分類」とは、世帯で購入した商品を、その世帯で使うか、それとも他の世帯に贈るかという使用目的によって分類する方法であり、「品目分類」とは、この用途にかかわらず、同じ商品は同じ項目に分類する方法である。

5 世帯と世帯員

(1) 世帯

世帯とは、住居及び家計を共にしている人の集まりをいい、家計調査では施設等の世帯及び学生の単身世帯を除く一般世帯を対象にしている。これらの世帯を、家計費に充てるための収入を得ている人を世帯主として、世帯主の職業により、次のように区分している。

[画像:世帯区分を説明する図]

「勤労者世帯」とは、世帯主が会社、官公庁、学校、工場、商店などに勤めている世帯をいう。ただし、世帯主が社長、取締役、理事など会社団体の役員である世帯は「勤労者・無職以外の世帯」とする。

「無職世帯」とは、世帯主が無職である世帯をいう。例えば、年金、恩給、仕送り金、保険金、財産収入等により家計を営んでいる世帯をいう。

「勤労者・無職以外の世帯」とは、勤労者世帯及び無職世帯以外の世帯をいう。

なお、勤労者・無職以外の世帯の収入は、年間収入しか調査されていないので、消費支出及び年間収入の結果数字しか得られない。

(2) 世帯員

世帯主とその家族のほかに、家計を共にしている同居人、家族同様にしている親戚の子供、住み込みの家事使用人及び営業使用人なども世帯員とみなしている。

また、家族であっても別居中の人、家計を別にしている間借人などは世帯員に含めない。

(3) 世帯の属性分類

世帯の分類に用いている「職業」、「産業」、「企業規模」は、世帯主の就業状態によるものである。なお、「企業規模」は勤め先の企業の従業者数の大きさによって分類している。

世帯類型......世帯を世帯員の続き柄による構成によって分類したもので、いわゆる核家族と呼ばれる「夫婦のみ又は夫婦と未婚の子供から成る世帯」を始め、「両親と子供夫婦又は未婚の孫から成る世帯」、「母親と20歳未満の子供のみの世帯」など家計分析に有効なように世帯を区分している。

6 調整集計世帯数

調査世帯の抽出率は全国一律でなく、結果利用上の観点及び実査上の制約を考慮して、できるだけ調査に無駄がないように定めている。例えば、令和2年国勢調査結果でみると東京都区部では抽出率が408/2,421,845であるが、都道府県庁所在市のうち、最も世帯数の少ない市は168/81,713となっている。集計に当たってこの抽出率の違いを無視すると、東京都区部のように抽出率の低い地域の実情が過小評価されることとなる。そこで、各地域ごとに係数(調整係数という。)を乗じて集計している。こうした抽出率調整などを行った世帯数の和が調整集計世帯数(結果表上は10倍値で表章)である。

7 世帯数分布(抽出率調整)

各区分に該当する世帯数の割合を調整集計世帯数を使って表したもので、1万分比又は10万分比で表章される。これにより、母集団の世帯分布を知ることができる。

8 購入頻度(100世帯当たり)、購入世帯数(10,000分比)

購入頻度は、当該品目への支出の頻度を抽出率調整などを行った上で表したもので、100世帯当たりの回数で表章される。

一方、購入世帯数は、当該品目への支出があった世帯の割合を調整集計世帯数を使って表したもので、1万分比で表章される。

なお、四半期又は年の結果においては、購入頻度は当該期間中の各月結果の合計で表章されるが、購入世帯数は当該期間中の各月結果の単純平均で表章される。

9 年間収入階級と五分位、十分位階級

「年間収入」は過去1年間の収入であるため、各年間収入階級の実収入の平均を12倍しても必ずしも当該階級内には入らない。

「五分位階級」とは、全ての世帯を毎月の実収入(現金収入)、世帯主の定期収入、世帯の年間収入などを収入の低い方から順番に並べ、それを調整集計世帯数の上で五等分して五つのグループを作った場合の各グループのことで、収入の低い方から順次第I、第II、第III、第IV、第V五分位階級という。それぞれの階級について収入と支出をまとめたものが「五分位階級別」の結果であり、所得階層別に家計収支をみたり、所得の格差の動きをみたりする際に有用である。

「十分位階級」は、上記と同じ要領で十等分した場合の十のグループのことである。

10 住居の所有関係

住居は、その所有関係から次のように区分している。

「持家」とは、居住している世帯がその住宅を所有している場合をいう。未登記又は分譲住宅などで分割払いの未払分があっても、居住していればこれに含める。

「民営借家」とは、居住している世帯がその住宅を借りている場合で、次の「公営借家」、「給与住宅」に該当しないものをいう。

「公営借家」とは、都道府県営、市町村営のほか、都市再生機構、住宅供給公社などの公的機関が市民を対象に経営する賃貸住宅に居住している場合をいう。

「給与住宅」とは、勤め先の会社、官公庁、団体などがその職員家族を居住させるために所有管理又は借り上げている住宅に居住している場合をいう。なお、玄関、台所、便所の専用、共用の別は問わない。

11 実質増減率の算出方法

消費支出の各項目ごとの対前年(同期・月)実質増減率は、次式により求めている。

なお、実収入、可処分所得及び消費支出は、消費者物価指数の持家の帰属家賃を除く総合指数の変化率を用いている。

実質増減率=((100+名目増減率)÷(100+各項目に対応する消費者物価指数の変化率)−1)×ばつ100

12 平成14年以降の食料の購入数量の推計方法

平成14年から食料の数量調査が6分の1の世帯(調査開始1か月目)のみ調査することとなったため、14年以降の購入数量は、金額と数量を共に調査している世帯から「平均価格」を求め、全ての世帯の1世帯当たりの「支出金額」を除して「購入数量」を求めている。このため、内訳項目の購入数量の合計値とその上位項目の購入数量は一致しない。

13 分布補正

単身世帯は、抽出率の逆数である調整係数を乗じたのみの推定で、十分な結果精度を得ることができない。そこで、結果精度の向上を図るため、結果の推定に当たって分布補正を行っている。あわせて、総世帯の結果を求めるため、二人以上の世帯についても分布補正を行っている。

すなわち、調整係数を用いて地域間の補正を行った後、調査世帯の属性分布の偏りを、労働力調査の結果に基づき、二人以上の世帯については、世帯人員(4区分)別、地方(10区分)別世帯分布を、単身世帯は地方(6区分)別、男女、年齢階級(3区分)別世帯分布を用いて補正を行い、結果を推計している。

14 基礎的・選択的支出及び支出弾力性

支出弾力性とは、消費支出総額が1%変化する時に各財・サービス(以下「支出項目」 という。)が何%変化するかを示した指標である。支出弾力性が1.00未満の支出項目は基礎的支出(必需品的なもの)に分類され、食料、家賃、光熱費、保健医療サービスなどが該当する。1.00以上の支出項目は選択的支出(贅沢品的なもの)に分類され、教育費、教養娯楽用耐久財、月謝類などが該当する。

詳しい計算方法は、支出弾力性の計算方法及び基礎的・選択的支出の格付け方法についてを参照のこと。

15 消費水準指数

消費支出から世帯人員及び世帯主の年齢、1か月の日数及び物価水準の変動の影響を取り除いて計算した指数で、家計消費の面から世帯の生活水準をより的確に把握することができる。 月々の1世帯当たりの世帯人員、世帯主の年齢階級別消費支出額を基準年の世帯分布で加重平均し、30.4日(365日÷12か月)の額に調整した後、これを消費者物価指数で除して実質化し、さらに、2015年平均を基準として指数化したものである。

(注記) 2018年12月分をもって消費水準指数の作成を取りやめました。2019年1月分以降は、世帯消費動向指数(CTIミクロ)の調整系列(分布調整値)をご覧ください。

16 季節調整の方法

季節調整値は、原系列から季節変動部分を除去したもので、原系列を季節指数で除して求めたものである。季節指数の計算にはセンサス局法(X-12-ARIMA)を用いた。

なお、最新年の1月から12月の季節調整値は、前年12月までのデータから計算される予測季節指数を用いて求めている。この予測季節指数に基づく季節調整値は、翌年1月の季節調整値の計算の際に、当該年の12月までのデータから計算される季節指数を用いて改定している。

現在、二人以上の世帯の結果について、うるう年や曜日などの影響も取り除いた結果を掲載している。

(注記) 季節調整法の変更について(PDF:277KB)(家計調査の結果を見る際のポイントNo.12)
(注記) 家計調査における季節調整値の改定について(PDF:153KB)(2024年3月8日)
(注記) 総世帯及び単身世帯の結果、並びに消費水準指数については、うるう年や曜日などの影響は調整していない。なお、2023年10〜12月期をもって総世帯及び単身世帯の結果、並びに2018年12月分をもって消費水準指数の作成を取りやめました。

17 家計消費指数

家計消費指数は、家計消費の動向をより安定的に把握するため、家計調査結果のうち購入頻度が少なく結果が安定しにくい高額消費部分について、家計調査とは別に大サンプルの「家計消費状況調査」で調査し、家計調査の結果を家計消費状況調査の結果で補完して新たな結果を作成した後、指数化したものである。平成14年1月以降作成している。

詳しくは、家計消費指数についてを参照のこと。

(注記) 家計消費指数は、2018年1月分から公表している消費動向指数(CTI: Consumption Trend Index)のうち、世帯消費動向指数に統合され、過去2002年まで遡及した結果を公表しています。このため、2017年12月分をもって家計消費指数の作成を取りやめました。

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