ゼレンスキー氏 NATO加盟認められればウクライナ大統領「辞任する」 トランプ氏発言に反論か
[ 2025年2月25日 05:00 ]
ロシアのウクライナ侵攻は24日、4年目に突入した。膠着(こうちゃく)状態が続く中、ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、首都キーウ(キエフ)で記者会見し、同国の平和が実現するか北大西洋条約機構(NATO)加盟が認められれば「大統領を辞任する用意がある」と述べた。
大統領の任期は5年で、ゼレンスキー氏は昨年5月に任期満了となったが、戒厳令下での選挙が禁止されていることから政権が続いている。これにトランプ米大統領が「選挙なしの独裁者」と非難。ゼレンスキー氏の発言は、トランプ氏からの"いわれなき中傷"への返答の意味もあるとみられる。ゼレンスキー氏は「数十年も政権を握り続けるわけではない」とも強調。首相の座を挟み、20年以上大統領の職にあるロシアのプーチン大統領も意識しているようだ。
2022年2月24日、ロシアはウクライナに侵攻。親欧米でNATO加盟を目指すゼレンスキー政権の排除が主目的だった。プーチン氏には、ウクライナをNATO諸国との"壁"にしたい思惑があった。国連は1月、ウクライナではこの3年間で約1万3000人の民間人が犠牲になったと発表。ロシアはウクライナの国土の約2割を支配下に収めているとみられる。
事態はトランプ氏の大統領就任で急展開した。トランプ政権がロシアと停戦交渉を開始すると一方的に発表した。ウクライナ、欧州各国は"当事国抜き"の交渉に猛反発。トランプ氏は、これまでの米国からの支援の見返りとして、ウクライナのチタン、リチウムなど豊富なレアアース(希土類)を5000億ドル(約75兆円)分渡すという"ディール"も突き付けている。
ウクライナとロシアには、ウクライナが核兵器を放棄することと引き換えに米国、英国、ロシアが安全を保障するという「ブダペスト覚書」が交わされていた。ロシアがこれを破り、米国もそのロシアと単独で交渉を始めようとしている。結局は超大国に運命を握られるという構図。日米安全保障条約は交わされているものの、ロシア、中国と何らかの問題が発生した場合、トランプ政権が日本の頭越しに"超大国交渉"を始めることはないのか。ウクライナのたどる道は、日本の外交にも影響を与えそうだ。
≪トランプ氏介入後 支持率は改善≫
大統領辞任に言及したゼレンスキー氏だが、ウクライナでの支持率は低くない。同国内の研究機関の調査では開戦後の22年5月には支持率90%。その後下降傾向をたどり、昨年12月には52%となった。ただトランプ氏の"介入"後の今月の数字は、57%と改善している。トランプ氏はゼレンスキー氏の支持率は「4%」と発言していた。
大統領選が行われた場合、"ポストゼレンスキー"に名前が挙がるのは、ザルジニー駐英ウクライナ大使だ。同氏は21年、ゼレンスキー氏からウクライナ軍総司令官に任命されたが昨年2月、作戦に関して対立し解任された。
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