日本人のライフスタイルに関する世論調査結果について
(筑波研究学園都市記者会配布)
独立行政法人国立環境研究所
社会環境システム研究センター
環境計画研究室 室長 青柳みどり
その結果、
〇マスメディアに登場するジャーナリストなどが大学や研究機関の研究者よりも情報源として信頼されていること、
〇最近の気候について9割の回答者が「変わってきている」と感じていること、
〇環境悪化もしくは東日本大震災の将来世代への影響についていずれも9割以上の回答者が影響があると考えていること、
〇2割近くの回答者が「いまだに放射能汚染の可能性から産地を選んだ食品の購買を行っていること」、
などがわかりました。
1.概要
国立環境研究所では、平成25年2月に、全国3000名の成人男女を対象に、日本人のライフスタイルについての世論調査を実施いたしました。その結果、1,121名からの有効回答がえられましたので、ここにその回答の集計結果の抜粋を報告いたします。
① 省エネについて、6割以上の回答者が将来的にも前向きに取り組む意向であることがわかりました。
② 環境問題を含む社会の出来事について情報源を3つまで聞いたところ、90%以上がテレビ、75%が印刷された新聞、23%がラジオと回答しました。インターネット関連は合計で20%程度にとどまり、マスメディアはまだまだ優位であることがわかりました。
③ 信頼できる情報源について地球環境問題と原発関連とについて聞いたところ、いずれも「テレビ、新聞、雑誌などに出演して発言するジャーナリスト・評論家」を過半数の回答者が選択し、「大学や様々な研究機関の研究者・学者」は3割弱の回答でした。マスメディアの役割の重要性がさらに認識されました。
④ 環境を守るための取り組みの参加について、大震災関連の寄付について7割を超える回答者が既に行ったもしくは今後行いたいと回答しました。
⑤ 最近の地球上の気候の変化について9割が変わってきているという意見にそう思うと回答しました。また8割近くの人が人間の活動に原因があると回答しました。
⑥ その気候変化の影響としては、極端な気候が起きることに5割以上の回答者が回答しました。
⑦ 環境問題の将来世代の健康について9割以上の回答者が影響があると回答しました。
⑧ 原子力発電所の事故について、8割近くが事故被害について心配していると回答しました。
⑨ 震災がれきの広域処理について約5割の回答者が「放射性物質をきちんと測って安全性が確認されたものだから、もっと全国の自治体での処理を進めるべきだと思う」と回答しました。
⑩ 食料の購入について6割が産地を確認していると回答しました。また、2割が農産物を購入する際に放射能汚染がありそうな産地を避けると回答しました。産地での安全性に向けての努力をさらに周知する必要がありそうです。
なお、本調査は環境省総合研究推進費にて実施いたしました。
2.調査方法
本世論調査は以下のように実施いたしました。実査を担当した(株)サーベイリサーチセンターは、調査の国際規格ISO20252認証を取得しており、今回の調査もその認証の基準を満たしています。
1) 調査名:「ライフスタイルに関する世論調査」
2) 調査主体:(独)国立環境研究所(環境省総合研究費ZF-1202「技術・社会に対する価値観の変化とリスク受容性に関する調査研究」による)
3) 実査:(株)サーベイリサーチセンター
4) 調査地域:全国(150 地点)
5) 調査対象:満20歳以上〜80歳未満の男女個人3,000 人
6) 実施期間:2013年2月9日〜2月24日
7) 抽象方法:層化2段無作為抽出法
8) 調査方法:個人面接法
9) 有効回収数(率):1,121票(37.4%)
*回収不能内訳
*設問全体について載せた報告書を準備しています。本件担当者に問い合わせいただければお送りいたしますので、ご希望の方はご連絡ください。
-
[2.5MB]
3.まとめ
東日本大震災の甚大な被害は未だに収束せず、福島、宮城、岩手の3県をはじめとする被災地域に住んでいる方々を始め、多くの人は何らかの形で震災の影響を受けてきました。省エネルギーや、放射能汚染などが特に目に見える形で、我々の生活に大きな見直しのきっかけをもたらしたといえるかもしれません。本調査の結果から、人々はこれらの変化に比較的前向きに取り組んでいる様子がみられます。
インターネットの普及が進んでいるとは言え、人々は主に新聞テレビなどのマスメディアから情報を得ていますし、マスメディアに登場する人たちの発言に重きを置いています。一方で、関連する分野の専門家の知識や意見はなかなか届いていないようです。また、そもそも放射線に関する知識が曖昧な状況であることもわかりました。東日本大震災後の、変化への対応について、様々な施策や放射能に関する知識などの周知にマスメディアの役割はますます重要になると思われます。
4.問い合わせ先
国立環境研究所 社会システム環境研究センター
青柳みどり 室長
TEL:029-850-2392
E-mail:aoyagi(末尾に@nies.go.jpをつけてください)
関連新着情報
-
2022年8月31日報道発表個人のカーボンフットプリントを可視化し
脱炭素ライフスタイルの選択肢を提案する
プラットフォームを共同開発(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付) - 2016年10月6日報道発表日本人の環境意識に関する世論調査結果について(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ配布)
-
2016年9月29日報道発表「持続可能社会転換方策研究プログラム」国立環境研究所研究プロジェクト報告の刊行について(お知らせ)
(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ同時配付) -
2016年6月1日お知らせ「環境についての意識調査」を実施します
(お知らせ) - 2015年11月30日報道発表日本人のライフスタイルに関する世論調査結果について(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ配布)
-
2015年8月5日お知らせ「ライフスタイルに関する世論調査」を実施します
(お知らせ) - 2015年3月20日報道発表日本人のライフスタイルに関する世論調査結果について(筑波研究学園都市記者会配布)
-
2014年10月31日お知らせ「ライフスタイルに関する世論調査」を実施します
(お知らせ)【終了しました】 - 2014年10月20日更新情報高校生も楽しめる資源循環・廃棄物研究情報誌オンラインマガジン環環2014年10月号 近況:「国立研究開発法人化を控えて」、循環・廃棄物のけんきゅう:「2030年のライフスタイルを考える」、けんきゅうの現場から:「タイの廃棄物埋立地における人工湿地」が公開されました
- 2013年1月24日お知らせ「ライフスタイルに関する世論調査」を実施します(お知らせ)
- 2011年6月15日報道発表国連環境計画(UNEP)の「サステナブル・ライフスタイルに関するグローバル調査報告書 〜変化へのビジョン〜」和訳版公開について(お知らせ)(筑波研究学園都市記者会、 環境省記者クラブ同時配付 )