被団協のノーベル平和賞受賞を歓迎する会長談話
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2024年(令和6年)10月11日、日本原水爆被害者団体協議会(以下「被団協」といいます。)がノーベル平和賞を受賞しました。ノーベル委員会は、被爆者が核兵器のない世界の実現に向けて取り組んできたこと、核兵器を二度と使用してはならないことを被爆体験に基づく証言で示したことを授賞理由としています。
当連合会は、被団協のノーベル平和賞受賞を心から歓迎すると同時に、長年にわたり新しい世代に自らの体験とメッセージを伝え続けた努力に敬意を表します。
1945年(昭和20年)8月、米国の原爆投下によって、広島と長崎の多くの市民が命を奪われ、原爆による放射線障害等の被害は途絶えることなく現在まで続いています。私たちは、このような「被爆の実相」を記憶にとどめ続け、高齢化が進む被爆者の記憶と平和に向けた闘いを、将来の世代に確実に伝えていかなければなりません。
来年(2025年(令和7年))は、被爆80年を迎えます。しかし、世界にはまだ1万2千発もの核兵器が存在しています。核戦争は「全人類に惨禍」をもたらし(核兵器不拡散条約)、いかなる核兵器の使用も「壊滅的で非人道的な結末」をもたらすとされています(核兵器禁止条約)。ノーベル委員会は、被団協をはじめとする被爆者の活動は、核兵器の使用は道徳的に受け入れられないという規範"核のタブー"の確立に大きく貢献したと指摘する一方で、"核のタブー"は今日圧力にさらされているとの懸念を表明しました。私たちは、この懸念を重く受け止める必要があります。
核兵器は廃絶されなければなりません。
当連合会は、1950年(昭和25年)に、第1回定期総会を被爆地である広島市で開催し、それに引き続いて開催した平和大会において「地上から戦争の害悪を根絶し、各個人が人種国籍を超越し自由平等で且つ欠乏と恐怖のない平和な世界の実現を期する。」と宣言して以来、核兵器廃絶に向けた様々な取組をしてきました。近時も、2023年(令和5年)4月21日付けで「arrow_blue_1.gifG7広島サミットにおいて、「核兵器のない世界」に向けて、日本政府が議長国として積極的な役割を果たすことを求める会長声明」を公表したところです。
当連合会は、被団協のノーベル平和賞受賞を受け、「核兵器の廃絶」と「平和な世界」の実現に向けて一層の努力を重ねる所存です。
2024年(令和6年)10月21日
日本弁護士連合会
会長 渕上 玲子