所長挨拶
就任に当たって
農林水産政策研究所長 倉重 泰彦
令和7年6月25日付けで農林水産政策研究所長を務めることになりました倉重泰彦(くらしげやすひこ)です。よろしくお願い申し上げます。
農林水産政策研究所は、戦後間もない昭和21年末に「農業に関する経済上の諸問題の総合的調査研究を行う」国の附属機関として「農業綜合研究所」が設立されたのをその端緒としています。当時は戦後の我が国における大きな改革の一つである農地改革が行われつつありましたが、農地改革後の農業政策のあり方を検討するに当たり、そこに科学性を入れるべきだとの考えの下、社会科学的観点から行政と研究を橋渡しする役割を担うことをその目的とし、爾来平成13年の農林水産政策研究所への改組を経て今日に至っています。
当研究所の研究分野は大きく分けて、国際領域、食料領域、農業・農村領域からなり、それぞれの領域を合わせて約40名強の社会科学系の研究者が調査研究を進めており、この分野では我が国有数の規模の研究機関となっています。令和2年からは、「政策研究基本方針」に基づき、(1)ポスト新型コロナウイルス時代の食料安全保障のあり方、(2)担い手の経営改善、(3)輸出・海外展開、(4)地域振興、(5)主要国の農業政策・貿易政策等の5分野を重点分野に位置づけて、行政部局と議論を重ねつつ調査研究を実施してまいりました。令和7年度はこの「政策研究基本方針」の改訂時期に当たり、食料・農業・農村基本法及び同基本計画の改正や、昨今の国内外における経済社会情勢の大きな変化、物価高騰等を踏まえ、過去の調査研究との継続性はきちんと担保した上で、新たな農林水産政策の立案に社会科学の観点から当研究所が寄与していく調査研究分野を検討しているところです。
当研究所の調査研究結果については、所報である「農林水産政策研究」、研究員の研究成果を書籍としてとりまとめた「農林水産政策研究叢書」、隔月に発行し最新の成果を掲載する「農林水産政策研究所レビュー」等を発行するとともに、研究成果報告会やセミナー等を開催し、その普及に努めています。また、当研究所には、初代所長東畑精一氏から寄贈を受けた「東畑文庫」をはじめ、国内外の農業経済・関連経済・法律・社会学を中心とする図書、資料、文献からなる、蔵書数約20万冊を誇る図書館も併設されており、大学等の研究機関との連携を進めながら、我が国における調査研究の発展にも寄与していきたいと考えています。
今後とも、農林水産業や食品産業、そして農山漁村の持続的発展につながる調査研究を進めていきますので、国民のみなさま、そして関係各位の一層のご理解とご支援をお願い申し上げます。
倉重 泰彦(くらしげ やすひこ)
農林水産政策研究所長(Director-General)
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