4階・5階
閣僚応接室〜閣議前の集合場所〜
閣僚応接室〜閣議前の集合場所〜
閣僚応接室は、閣議に臨む閣僚のいわば集合場所です。閣議は、官邸で行われる場合と、国会開会中に国会内で行われる場合とありますが、両方に閣僚応接室があります。
これらの部屋では、閣議の前に閣僚の懇談などが行われます。皆さんがテレビなどでよく見かける、総理を中心に閣僚がコの字型に並んで座っている場面は、閣議が始まる前のものです。
官邸の閣僚応接室は、床の絨毯は赤を基調としており、波形の模様が直線状に広がっていくデザインになっています。三方の壁は、スギやヒノキの間伐材を積み重ねた積層壁となっており、木のぬくもりや優しさを感じられる空間になっています。
この部屋の奥には、内閣の意思決定が行われる閣議室があります。
閣議室〜最高の会議の場にふさわしい厳粛さ〜
閣議室〜最高の会議の場にふさわしい厳粛さ〜
官邸には、閣僚応接室の奥に閣議室があります。閣議室は、旧官邸に比べやや広く、閣議室の象徴である閣議テーブルも、これまでの楕円形から円形のテーブルに生まれ変わり、部屋全体が、このテーブルに調和するようなデザインになっています。
例えば、天井は、いわゆる「高天井」になっており、四方の壁から中央に向かってせり上がり、中央は円筒状の凹みになって、そこから照明の光が差し込んでいます。絨毯は、閣僚応接室と同じ波形模様ですが、閣議テーブルの形状に合わせて、円を描くように広がっていくデザインになっています。
中央に置かれた閣議テーブルは直径5.2メートルで、硬度があるのに加工しやすいマカンバの集成材が使われています。ドアや壁にも同じマカンバを使うことで、部屋全体に統一感を生みだしています。
壁は、珪藻土(けいそうど)の土壁で、総理の席の正面には、ガラス越しに自然石を配した「坪庭」があります。木、土壁、石の自然素材が、落ち着いた格調高い品位を醸しだし、政府最高の意思決定の場にふさわしい厳粛な雰囲気を創り出しています。
特別応接室〜トチの木の応接室〜
特別応接室〜トチの木の応接室〜
4階の特別応接室は、主に首脳会談などの少人数の会議や総理のお客様との応対などに利用されています。この部屋の仕切り壁の奥には、別に会議室があります。
総理と外国の首脳とは、この応接室で会って報道陣の写真撮影に応じています。奥の会議室のテーブルは、直径約2.5メートルほどの円形で、首脳同士の親密な会談ができるようにしつらえてあります。
この部屋は、和紙をイメージした光天井とともに、トチの木の板とステンレスをストライプ状に組み合わせた壁により、全体的に明るい雰囲気に包まれています。外国のお客様をあたたかくお迎えするスペースに、トチの木の明るさがよく似合っています。
大会議室〜大型スクリーンを備えた大会議室〜
大会議室〜大型スクリーンを備えた大会議室〜
官邸の執務機能のなかで、最も充実したのは会議室かもしれません。旧官邸に比べ、会議室の数が大幅に拡充されました。
4階にある大会議室は、多目的に利用され、官邸の中でも使用頻度の高い会議室です。この会議室の特徴的な機能は、正面の壁に取り込まれた「大型スクリーン」で画像情報を用いての会議が可能になっていることです。
総合防災訓練などでは、この会議室で開かれる関係閣僚会議や緊急災害対策本部会議などで、大型スクリーンが活用されています。
機能の向上に加え、部屋の壁も明るい色調のトチの木の集成材が使われ、床も明るいグレーの絨毯が敷かれています。窓側は全面ガラス張りで、開放感のあるしつらえになっています。
また、大会議室の入口の脇には、素焼きの石を積み上げた壁があります。
石庭〜官邸の空中庭園〜
石庭〜官邸の空中庭園〜
総理執務室、総理応接室、官房長官室、官房副長官室や総理会議室などが並ぶ5階には、ちょっと神秘的で壮大な空間があります。
廊下に出ると、中庭の吹抜けを囲むようにガラスの仕切りがありますが、その仕切りの内側には、吹抜けを挟んで、東西に2つの「石庭」が造られています
2階の中庭と同様に、白い花こう岩の小石や敷石が敷き詰められた上に、切り出したままの大きな庵治(あじ)石がそれぞれ数個ずつ配置されています。その庵治石の中には、その一端が下の中庭にせり出さんばかりに置かれたものもあるなど、大胆な造形がなされています。
また、真上にある開閉式の屋根が開いていると、石の白い地肌が明るい日差しに映え、まるで「空中庭園」を目の当たりにしているかのような、不思議な気分にいざなわれます。
この石庭には何も植栽されていませんが、中庭に植えられた竹の先端が5階まで届いて、「石庭」と一体化しているようにも感じられます。シンプルですが、非常に細やかな「日本の心」に触れられる空間です。
総理をはじめ、5階で執務をする人たちに、ちょっとした心の潤いを提供しています。