1階・2階
中庭〜日本的な美を感じさせる「中庭」〜
中庭〜日本的な美を感じさせる「中庭」〜
官邸は、伝統的な日本建築が有する「内と外の有機的つながり」を意識した空間構成になっていますが、その考えが一番象徴されているのは「中庭」かもしれません。
中庭そのものは、孟宗竹と切り出したままの花こう岩(庵治(あじ)石)を組み合わせた簡素なつくりです。床面は大ホールと同じ2階にあり、上は屋上まで吹き抜けの構造で、開閉式の屋根が開かれているときは、青空や星空なども望めます。
雨天の時は、降り注ぐ雨水が竹のみずみずしい青さと自然石の荒々しい岩肌を浮き立たせてくれます。
中庭の広さは380平方メートル。その中に竹林と細長い形の庵治石が置かれています。石の中には5メートルを超える大きなものもあります。また、竹は、高さ10メートルを優に超え、先端は5階のフロアにまで達しているものもあります。
中庭の日本的な美しさは、正面玄関、ホワイエ、大ホールなど官邸内のさまざまな場所から楽しむことができます。
ホワイエ〜くつろぎのスペース〜
ホワイエ〜くつろぎのスペース〜
フランス語でロビーを意味するホワイエは、2階南側にあります。天井は吹き抜けになっており、床には3階のエントランスホールと同じ黒みかげ石が敷き詰められ、正面玄関からの連続性が強調されています。
このホワイエは、中庭と一体となった開放的な空間で、中庭の竹や石を間近に鑑賞することができ、緑豊かな南庭が眼前に広がります。
フロアの両側には、木のベンチや、中庭と同じ庵治(あじ)石が置かれ、リラックスした雰囲気が漂うスペースになっています。同じフロアに、小ホールや大ホールが設けられているため、大きな会議やレセプションなどが開かれるときは、出席者たちが打ち合わせに利用したり、お客さまが歓談することができるようになっています。
また、大ホールと小ホールの間には、墨染めの和紙が貼られた高さ8メートルほどの壁があり、日本的な素朴な美しさを醸し出しています。
大ホール〜春をテーマにした空間〜
大ホール〜春をテーマにした空間〜
大規模な会議や行事の舞台となり、また、国公賓等をお迎えする迎賓機能の中心である大ホールは、日本的な素材がふんだんに使われた華やかな空間です。
主賓が座る上座の後ろの壁面は、ほぼ全面に和紙が使われ、背後から光を当てると、行灯(あんどん)をイメージした幻想的な「光の壁」が浮かび上がるようになっています。また、壁や天井には、日本建築の伝統的素材であるカエデが使われています。
足元に目をやると、あでやかな桜色に染まった絨毯が、広さ約400平方メートルのフロア全体に敷き詰められています。図柄は「光の壁」の側に満開の花をつけた桜の枝が、中央は風に舞う花びらが、壁の対面側には桜の花がデザインされています。
旧官邸では、晩餐会などを開く際の定員は最大でも80席程度でしたが、現官邸では約120席と広がりました。大ホールからは、ガラス越しに中庭の美しい竹林と自然石が眺められ、大ホールに開放感を与えています。
大ホール西側の壁面の上部は開閉式になっていて、開くと楽団の演奏用のスペースがあらわれます。列席者に優雅な宴を楽しんでいただくための配慮です。
小ホール〜秋をテーマにした空間〜
小ホール〜秋をテーマにした空間〜
2階には、大ホールと並んで小ホールがあります。華麗な大ホールに比べて、小ホールは簡素な「和」を感じさせるしつらえになっています。
とくに、落ち着いたグリーンの地に黄色い稲穂がそよぐ絨毯や、ススキをモチーフにした模様が刻まれた土の塗り壁などは、日本の原風景を連想させます。桜をあしらった華やかな「春」をイメージした大ホールとは対照的に、小ホールは落ち着いた「秋」のイメージで統一されています。
天井や壁に使われている杉材には、年輪の白い部分が削られて、茶色い部分が浮き上がる「うづくり」という仕上げの技法が施され、部屋全体に日本建築らしい雰囲気が漂っています。また、窓側の壁は全面ガラス張りで、南庭の自然との一体感が楽しめるようになっています。
小ホールでは、副大臣会議など様々な会議が開かれます。小ホールの広さは全体で約200平方メートルですが、可動式の仕切り壁によって、広さを調整することができ、多目的に利用できる空間となっています。
記者会見室〜官邸と国民をつなぐ窓〜
記者会見室〜官邸と国民をつなぐ窓〜
政府の方針や政策を国民によく理解してもらうには、新聞やテレビなどのメディアを通じて迅速に政府の考えを伝えていくことが大切です。記者会見室はその意味で、官邸と国民をつなぐ重要な「窓」の役割を果たしています。
官邸の記者会見室は1階に設けられ、内閣広報室の報道担当室や官邸写真室なども同じフロアにあります。
記者会見室は、総理の記者会見や、毎日行われる官房長官の定例記者会見などに使用されます。
ちなみに、記者会見場のバックのカーテンは3色用意されています。総理の会見の時には濃いブルーかワインレッドが、官房長官などの会見では、薄いブルーが多く使われています。テレビで見るときに、バックのカーテンにも注目してみてください。