VOL.203 MAY 2025
[SPRING SPECIAL ISSUE] VARIOUS VARIETIES OF CHERRY BLOSSOMS IN JAPAN (PART 2): ADMIRING THE CHERRY BLOSSOMS AT CASTLES IN JAPAN
[私が伝えたい日本(日本人インフルエンサー)]日本の鉄道文化を知る
さまざまな車両が展示されている京都鉄道博物館(京都市)。
Photo: 京都鉄道博物館
東京理科大学名誉教授で、日本の鉄道にも詳しい宮村 一夫さん。今月号では、宮村さんに日本の鉄道に関する博物館やテーマパークについて語ってもらった。
日本の鉄道には、150年以上の歴史があります。今回は、その歴史を知ることができる各地の鉄道博物館や鉄道に関するテーマパークなどを紹介します。
鉄道に関する博物館
東京を中心に首都圏や東北地方に路線を持つJR東日本は、埼玉県さいたま市に鉄道博物館を開設して、国内の鉄道の歴史や最新の鉄道技術を紹介しています。博物館の中心には、車両の向きを実際に変えることができる転車台1が設置されていて、一日数回、車両の転回を実演しています。その周辺には、昔懐かしい特急車両などが多数展示されています。巨大な鉄道ジオラマのほか、自分で運転できるミニ運転列車や運転シミュレーターなどの体験型施設も充実していて、一日中楽しむことができます。一方、京阪神2を中心に路線網を展開するJR西日本は、京都市に京都鉄道博物館を開設しています。ここには、日本に現存する最古の鉄筋コンクリート造機関車庫である梅小路機関車庫(扇形車庫3)、54両の実物車両や鉄道ジオラマなどが展示されていて、埼玉県さいたま市の鉄道博物館と同様、日本の鉄道の歴史を知ることができます。愛知県名古屋市にあるJR東海が運営するリニア・鉄道館では、東海道新幹線を中心に、在来線から超電導リニアまでの展示を通じて「高速鉄道技術の進歩」を学ぶことができます。
Photo: リニア・鉄道館
碓氷峠鉄道文化むら
東京から新幹線や在来線を乗り継いで約2時間、群馬県安中市のJR信越本線横川駅には、鉄道のテーマパーク、碓氷峠鉄道文化むらがあります。横川駅から軽井沢駅(隣接する長野県の駅)への在来線が廃線になった後の広い敷地や残った車両基地などを利用した広大な施設であり、碓氷峠の歴史を展示する資料館をはじめ鉄道車両が屋外に30両展示されており、親子連れでもピクニック感覚で楽しめます。ここでは、電気機関車の運転体験(要事前予約)や、旧信越線の急勾配をトロッコ列車(3月から11月までの土日祝日に運行)に乗車して体験することなどもできます。
Photo: 碓氷峠鉄道文化むら
Photo: 碓氷峠鉄道文化むら
東京駅
日本で最も大きなターミナル駅である東京駅4の構内は、地下5階のホームから地上3階相当のホームまである重層構造で、ホームの数が日本一の巨大ターミナル駅です。その構造は、高低差だけではなく、横にも大きく広がった駅構内にアリの巣のように通路や階段が張り巡らされていて、まるで迷宮のようです。数えきれないほどあるホームからは、新幹線や各地に向かう長距離特急などがひっきりなしに発着しています。構内には商業施設や多数のお土産売り場、駅弁5売り場などがあり、グルメやショッピングも楽しめ、まるでテーマパークのようです。
※(注記)各博物館の展示等の状態は2024年3月末現在のもの。
宮村一夫
東京理科大学名誉教授。工学博士(東京大学)。NHKの「ラジオ深夜便」で、「てっちゃん先生の旅のすすめ」に出演し、鉄道マニアとしても知られている。主著として「「乗り鉄」教授のとことん鉄道旅」(潮出版社、2021年)、「ゼロから学ぶ元素の世界(ゼロから学ぶシリーズ)」(講談社サイエンティフィク、2006年)がある。
検索:宮村一夫
- 1. 蒸気機関車の向きを反転させて進行方向を変える装置。
- 2. 京都市、大阪市、兵庫県神戸市の総称。
- 3. 蒸気機関車の格納庫の形態の一つである、転車台を中心として構築された扇形の格納庫のこと。電気機関車やディーゼル機関車など前後反転を必要としない機関車が増えたことにより徐々に姿を消し、現在の残存数は少ない。
- 4. 「HIGHLIGHTING Japan」2024年2月号「開業から110年を迎えた日本最大級の欧風近代建築「東京駅」」参照
- 5. 駅や列車内で販売される弁当。
By MIYAMURA Kazuo
Photo: Usuitouge Railway Heritage Park; kyoto railway museum; SCMAGLEV and Railway Park