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VOL.203 MAY 2025
[SPRING SPECIAL ISSUE] VARIOUS VARIETIES OF CHERRY BLOSSOMS IN JAPAN (PART 2): ADMIRING THE CHERRY BLOSSOMS AT CASTLES IN JAPAN 弘前城とともに守られる日本屈指の桜の名所

215年前に建てられた弘前城天守と満開のヤエベニシダレ。日本に12棟しかない現存天守(江戸時代(17世紀初頭から19世紀後半半ば)以前に建てられ、修復されながら今日に現存する天守)の一つ。
Photo: 公益社団法人 弘前観光コンベンション協会

本州最北端にある青森県の城下町である弘前ひろさき市。400年ほど前の築城当時からの城の姿を残す弘前公園は、春には52種約2,600本の桜が美しく咲き誇り、次々に見頃を迎える桜を長期間楽しめる花見の名所で知られる。

1611年に弘前藩藩主の津軽氏の居城として築城されてから400年を経た弘前城。215年前に建てられた天守が現存し、三つのやぐら1、五つの城門とともに国の重要文化財に指定されている。城跡がある弘前公園は日本屈指の桜の名所としても知られている。弘前観光コンベンション協会の井澤いざわ 智映子ちえこさんに弘前城の桜の歴史を伺った。

「弘前公園に桜が植えられたのは1715年、京都からカスミザクラ2などを持ち帰ったのが始まりだといわれています。その後、1871年に藩が廃されて荒れてきた城内3へ 1882年に旧弘前藩士が二の丸などに1,000本余りのソメイヨシノを植栽し、1895年には弘前城跡が公園として一般開放されました」

その後も1903年に1,000本とソメイヨシノの植栽は続き、1918年から花が咲く時期に「観桜かんおうかい」が始まった。1961年からは「弘前さくらまつり」へと名称を変えて現在に至り、開花時には大勢の市民をはじめ、国内はもとより海外からも観光客が訪れる日本屈指の桜の名所となったという。


外濠そとぼりの水面が、散ったソメイヨシノの花びらに埋め尽くされている光景。例年4月下旬が見頃。
Photo: 公益社団法人 弘前観光コンベンション協会

ソメイヨシノの開花後、13日から16日後から咲き始めるフゲンゾウ。園内では長い期間、桜を楽しめるようさまざまな品種が植えられている。
Photo: 公益社団法人 弘前観光コンベンション協会

「弘前さくらまつりの期間はソメイヨシノを中心に、シダレザクラ4やヤエザクラ5など、52種類約2,600本の桜が咲き誇ります。ソメイヨシノの場合は、樹齢100年を越えた古木でも一つの花芽(花を咲かせる芽)から咲く花の数が4個から5個と花付きが豊かなことが特徴で、満開の枝の下にたたずむと空が見えないほど密度高く咲く優美な桜は圧巻の景観です」

これだけの見応えある桜の美しさを維持する秘訣と工夫について、井澤さんは続ける。

桜守さくらもりといわれる樹木医が、歴史ある弘前公園の桜を守るため管理を徹底していることがあります」


桜の樹勢調査の際、桜守が発見し、名所となった「桜のハート」
Photo: 公益社団法人 弘前観光コンベンション協会

ソメイヨシノの寿命は60年ほどと言われており、実際に弘前公園でも1880年代以降に植えられた桜が1950年代に入ると徐々に衰え始めていった。

「「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」のことわざがあるように、切り口から病気になりやすいとされる桜の剪定せんていは御法度とされていました。しかし公園管理事務所の初代所長であった工藤くどう 長政ながまさ氏が、桜とリンゴが同じバラ科であることから、リンゴ農家に教えを請い剪定の研究を開始。日本一のリンゴ生産地弘前市ならではの「弘前方式」で桜の剪定を行ったところ、樹木が回復していきました」

その後、「弘前方式」は公園職員に代々受け継がれ、2014年4月からは樹木医の資格を持つ職員3人と現場職員などを含む45名が「チーム桜守さくらもり」として弘前公園の桜の管理はもちろんのこと、桜以外の樹木も含め植物全般の管理を行っている。

45名の「チーム桜守」が剪定せんていや施肥作業、枝の雪下ろしまで多岐にわたる管理を続けている。
Photo: 弘前市都市整備部公園緑地課

「先人たちが大切に守り続けてきたおかげで、弘前公園には樹齢100年を越えるソメイヨシノが400本以上現存しています。開花量も豊かな古木の存在が、日本屈指といわれる弘前公園の花景色を生み出しています。ほかにも弘前公園の桜守がおすすめする七つの風景「弘前桜七景」や 見ごたえのある厳選七品種のヤエザクラ「弘前七桜」、一つの花芽から七つの花が咲く「弘前七輪咲き桜」があったりと、七にまつわる桜の見どころがたくさんあります。それぞれの花の開花時期や見どころのわかる案内図も含め、公式ウエブサイトなどで公開しています。例年4月中旬から5月上旬までが見頃で、桜を長期間楽しめます。園内をゆっくり歩けば1周2時間ほど。散策を兼ねてぜひお越しください」


西にしほりにかかる「春陽しゅんようばし」。ライトアップされた夜ザクラは幻想的な景観。
Photo: 公益社団法人 弘前観光コンベンション協会
  • 1. 城郭内に物見として建てられた建物。
  • 2. バラ科(APG分類:バラ科)の落葉高木。高さ15メートルから20メートルになる。日本に広く分布する野生種。開花期はソメイヨシノより遅く咲く。
  • 3. 1873年に「廃城令」が政府から出された。目的は、城跡を軍用地として利用することにあり、軍用地利用の場合は陸軍省が所轄し、そうでない場合は廃城となった。
  • 4. バラ科の落葉高木。エドヒガンの栽培品種で枝先が垂れ下がることが特徴。別名イトザクラ。広義には、枝が垂れ下がる桜の木全般を指す。
  • 5. 桜の園芸品種。花は八重咲きで、花色は白色、淡紅、紅など。

By MOROHASHI Kumiko
Photo: Hirosaki Tourism and Convention Bureau; Hirosaki City Parks and Urban Greenery Division; PIXTA

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