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VOL.204 JUNE 2025
JAPAN’S RELATIONSHIP WITH WATER 水郷と呼ばれるまち・柳川を支える「柳川水路」

水郷柳川の名物、夏の「川下り」の様子。
Photo: ISHIZAWA Yoji

福岡県の柳川市は、市全体に「お堀」が大規模に巡る「水路のまち」といわれている。柳川の人々の暮らしや柳川の土地そのものを支えてきた水路について取材した。

柳川市は市全域に総延長930 kmにもおよぶ大小の掘割(水路)が網の目のように巡る独特の景観が築かれている。柳川市役所の水路課の田中たなか 浩孝ひろたかさんによると、柳川水路の形成は、16世紀の江戸時代に遡る。

「柳川のまちづくりは、15世紀の戦国時代にこの地の豪族が支配する拠点にしたことから始まり、17世紀の江戸時代に入ると、城の築造とともに、城の防御や運河機能を兼ねた掘割(水路)が整備され、道路や排水機能を備えた水路がさらに発達し、現在のような景観が生まれました」


ほりし」と呼ばれる清掃作業の様子。(1955年前後に撮影)
Photo: 柳川市

同時期に川から水を引く仕組みも構築され、都市機能と一体化した水路網が形成されるなど、柳川の水路は暮らしや農業、舟での輸送を支える大切な基盤となっていった。

「水路は大雨の際に雨水を一時的に貯めて浸水を防ぐ「遊水機能」や雨水を貯めて干害に備える「貯水機能」、地下水をしみ込ませて地盤沈下を防ぐ「地下水涵養かんよう機能」、さらに水生の生物や微生物の働きで水をきれいにする「浄化機能」を有し、地域に大きく貢献しました。水路は単なる設備ではなく、地域の人々が集まり交流する場でもあり、まちの共同体としての一体感や文化を育む役割も果たしてきました。たとえば、水路の維持管理のために行われる「堀干し」などの行事は、地域の人々が協力して取り組む行事として続けられています。水路は人々の暮らしや生産活動を支えるだけでなく、地域のつながりや文化を育んできたのです」


清掃作業などのために河川から掘割に流れ込む水を一時的にき止める「水門水落」を行って堀干しを行う。
Photo: 柳川市

現在では農業用水や防火用水に加え、観光にも活用されている。柳川市観光協会の西田にしだ 美織みおりさんに「川下り」について教えていただいた。

「川下りは通称「どんこ舟」と呼ばれる舟に乗り、ゆっくりと柳川の水路をめぐる柳川ならではの舟遊びで、観光客に人気です。川下り(お堀めぐり)の魅力は、美しい風景だけではなく、巧みな竿さばきで舟を操る船頭さんの技や、軽快な語りや歌を楽しむことで、より風情が深まることです。船頭さんの話に耳を傾ければ、柳川の歴史や文化、人々の暮らしについて、より深く知ることができます。日本語・英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語の5言語に対応した音声ガイドもありますので、ぜひ柳川の歴史を感じていただきたいですね」


柳川の水路をたどる川下り
Photo: ISHIZAWA Yoji

By MOROHASHI Kumiko
Photo: ISHIZAWA Yoji; Yanagawa City

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