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VOL.206 AUGUST 2025
THE APPEAL OF YOSHOKU: JAPANESE-STYLE WESTERN CUISINE (PART 1) 日本の家庭で親しまれている「コロッケ」

じゃがいも、牛肉、玉ねぎを使った基本的なコロッケの一例。

日本で広く親しまれているじゃがいもを使った「コロッケ」は、ヨーロッパから伝来した揚げ物が日本独自に発展を遂げたメニューだ。コロッケの普及を目的として設立された協会の代表者に話を聴いた。


コロッケの主材料であるじゃがいも。

コロッケは日本独自の食べ物だ。一般的なコロッケは茹でたじゃがいもをつぶして、炒めたひき肉や野菜を混ぜて成形したものに、パン粉の衣をつけて揚げたものを指す。1854年に欧米諸国との交流が始まると西洋の食文化が急速に流入し、その中でコロッケも誕生したとされる。

コロッケにはどのような歴史があるのか、日本コロッケ協会の会長である藤井ふじい こうだいさんはこう語る。

「コロッケの起源については諸説ありますが、19世紀の終わり頃に日本にもたらされたフランス料理の前菜であるクロケットが由来とされています。クロケットはベシャメルソース1を使った揚げ物ですが、日本ではその当時乳製品の加工技術が発達していなかったため、このクリームソースの代わりにじゃがいもを使ったコロッケが発明されたと考えられています。当時クロケットはまだ西洋料理店で提供される富裕層向けの料理でした。その後、1895年に発売された女性向け雑誌において、「クリームコロッケ=西洋のクロケット」、「コロッケ=ポテトコロッケ」と区別され、コロッケが大衆向けレシピとして掲載されていたことから、じゃがいもを使ったコロッケが日本の家庭に広まったようです」


じゃがいもの産地として有名な北海道でコロッケの普及活動をする、日本コロッケ協会の藤井さん。
Photo: 日本コロッケ協会

さらに、1917年に「コロッケの唄」2というコミックソング3が大流行したことが、日本全国で食されるきっかけとなったと言われている。

「1953年に学校給食用に冷凍食品のコロッケが開発されたことで、大量生産の需要が伸びていきました。また、このようにあらかじめ調理された食品の普及によって、コロッケを買って家で食べる、というスタイルが定着したことも一般家庭に広まった理由でしょう」と藤井さんは続ける。

日本独自に進化したコロッケには、どのような魅力があるのだろうか。

「コロッケの人気の秘密は、ほくほくと甘みのある日本のじゃがいもをメインの食材として使用している点にあると思います。また、基本材料のじゃがいも、牛肉、玉ねぎに加え、自由にほかの食材を取り入れることができるという柔軟性もコロッケの魅力です。例えば、旬の食材を生かしたカボチャコロッケや枝豆コロッケもおいしいですし、地域の特産品を使ったご当地コロッケは、その土地の魅力を伝える料理としても活用されています」

日本のスーパーやコンビニでも手軽に購入できるコロッケ。海外ではあまり見かけない日本ならではの洋食を、日本を訪れた際に見つけたら是非試してみてもらいたい。


日本のスーパーマーケットで販売される調理済みのコロッケの一例。

カボチャを使ったコロッケの一例。
Photo: ISHIZAWA Yoji
  • 1. バターと小麦粉を炒め、牛乳を加えて作る白いクリームソースのこと。フランス料理を起源とする。
  • 2. 1917年発表の日本の流行歌。作詞は益田ますだ 太郎たろう冠者かじゃ、作曲者は不明で外国曲とされる。
  • 3. 聴く人を「笑わせる」という意図が組み込まれた、日本の楽曲のジャンル。

By TANAKA Nozomi
Photo: ISHIZAWA Yoji; Japan Croquette Association; PIXTA

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