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VOL.202 APRIL 2025
ENJOYING JAPANESE SAKE, NIHONSHU 数多くの酒米のルーツとされる岡山県の雄町(おまち)


雄町米が作付けされている田んぼの様子(岡山県中南部の赤磐市)
Photo: 岡山県酒造好適米協議会

日本では古来より稲作が盛んであり、お米を主食としてきた。実は、日本には日々の食事でいただく食用のお米とは違う、日本酒造りに適した米の品種があり、酒造しゅぞう好適こうてきまい1、一般に酒米さかまいと呼ばれており、現在では100種類以上を数える。それらの一つに、岡山県で栽培されている「雄町おまち」(以下「雄町米」)がある。数多くの酒米のルーツともされる品種だ。その魅力や特徴について、岡山県の農協組合のかたに話を聴いた。

雄町米は、山田やまだにしき2とともに、日本の酒造好適米(以下「酒米」)の中でも特に高い品質を誇る。

雄町米の特徴は、米粒が大きく、やわらかいことだ。雄町米を使った日本酒は、酒造りの工程の発酵段階で溶けやすく、ふくよかな口当たりとなり、味が濃厚で深くしっかりしていると評される。JA全農おかやまの西村にしむら 将大まさひろさんはこう説明する。


雄町米(写真右)と食用米(写真左)の大きさの比較。平均的な重さは雄町米で約27.0グラム、一般米は約22.2グラム。(千粒当たりの重さ)
Photo: 岡山県酒造好適米協議会

濃醇のうじゅんと表現される、その味わいに魅了されて雄町米で造られた酒を愛する人を、最近ではオマチストと名付けるほど愛好者が増えているようです」と西村さんは言う。

雄町米の歴史は古く、1859年、岡山県の雄町(現在の岡山県岡山市中区雄町)の農家が発見したため、その地名から「雄町米」と名付けられたと伝わる。19世紀には酒米の最優良品種として国内各地で使われはじめ、20世紀前半の日本酒品評会では、「雄町でなければ賞はとれない」とまで言われたという。

しかし、一時生産量が激減した時代もあった。

「食用米の品種は成長しても高くなっても120センチメートルくらいになるのに対して、酒米は約150センチメートルに達するものもあります。とりわけ雄町米は、更に背丈が約160センチメートルと平均的に高いため倒れやすく、また、病害虫にも弱いために栽培が難しい品種とされていました。そのためもあって、第二次世界大戦中から1970年代前半にかけて収穫量が激減し、なかなか手に入らなくなり、一時は幻の米とも言われていました。今では地元の酒造メーカーや農家のかたなどの努力によって生産量も回復し、全国の酒蔵で使用されています」と川田さんは語る。温暖な気候の岡山県が雄町米の生産量の95パーセントを占め、岡山県の特産品ともいえる。


雄町米の花(外皮が2つに割れた中から出ている白い毛のようなものが雄しべ)
Photo: 岡山県酒造好適米協議会

日本酒を選ぶ際に、原料のお米に注目してみるのも楽しみ方の一つだ。160年以上前に発見され、今、全国で使用されている多くの酒米のルーツであるとされているお米「雄町米」を使ったお酒を味わってみてはいかがだろうか。


収穫間近の雄町米
Photo: 岡山県酒造好適米協議会

雄町米(写真左)と食用米(写真右)の稲の長さの比較。雄町米は約160センチメートルと長い。
Photo: 岡山県酒造好適米協議会
  • 1. 日本酒造りのために栽培された米。食用米と異なり大粒で、米の中心部分が大きくでんぷん質が多いのが特徴。酒米とも呼ばれる。
  • 2. 1923年に兵庫県で生まれた酒造好適米の代表的な品種。知名度や作付け面積などでトップを誇り、酒米の王とも言われる。

By TANAKA Nozomi
Photo: Okayama Prefecture shuzo-koteki-mai Association

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