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全球団に"低反発球"と"保管庫"が行き渡ったら...今年はメジャーも"投高打低"【AKI猪瀬コラム】

2022年5月25日 06時00分

フェンス際で失速する打球が増えたとされる今年の大リーグ(AP)

フェンス際で失速する打球が増えたとされる今年の大リーグ(AP)

2021年から大リーグでは本塁打が出にくい「低反発球」の導入を進めてきました。公式球を提供しているローリングス社は中南米の小国・コスタリカで全ての公式球を製造していますが、21年は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響で輸送ルートが機能せず、予定量の公式球が米国に届かず、21年シーズンは「高反発球」と「低反発球」が混在していたと言われています。
今シーズンは輸送ルートが正常化し、全ての公式球が「低反発球」に統一されました。その影響は既に成績に表れています。各チームが開幕から40試合前後を消化した米国時間16日時点で1試合平均の本塁打数は0・97本、得点は4・18点。メジャーリーグ史上で最も本塁打が記録された19年が1試合平均1・39本、4・83点だったことを考えると、今季の本塁打数が減少していることが分かります。
「低反発球」の導入に加えて、もう一つ本塁打の減少に影響を及ぼしていることがあります。大リーグ機構は22年から公式球を保管する保管庫の常設を全チームに義務付けました。乾燥地域のアリゾナはよくボールが飛ぶ、高温多湿のマイアミはボールが飛ばない―など地域によってボールの飛距離に違いが出ないようにするための対策です。だから、この保管庫は湿度管理が徹底されています。
新人王とMVPの受賞経験者であるドジャースのベリンジャーは「昨季までなら確実に本塁打だと思った打球が、今季はフェンスの手前で失速してしまう」と語っています。本塁打が減少傾向にあるため、逆に投手陣の成績は向上しています。本塁打狂騒シーズンの19年の平均防御率は4・49でしたが、今季は3・84となっています。
「低反発球」だけの影響とは言い切れませんが、平均打率は史上最低だった1968年の2割3分7厘を下回る2割3分6厘となっています。現在の「投高打低」を維持していくのか、それとも、来季以降に新たなルールでトレンドをつくっていくのか、大リーグ機構の判断に注目です。
(大リーグアナリスト)
(写真はAP)
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